かつての『銀魂』オタクがアニメ『3年Z組 銀八先生』を観たら……懐かしくてエモくて、令和的配慮がツボだった!
2025年秋アニメとして10月6日より放送中のアニメ『3年Z組 銀八先生』。
原作の完結から数年が経った2025年に、おまけコーナーから始まったスピンオフ小説『3年Z組 銀八先生』がアニメ化されるということで、かつて学校の朝読書用に『3年Z組 銀八先生』を持ち込んでいた筆者はワクワクドキドキでした。
ということで、その後実際にアニメ『3年Z組 銀八先生』第1話を視聴した古の『銀魂』オタクこと筆者が感想をお伝えしていきます。
※以下、アニメ『3年Z組 銀八先生』第1話のネタバレとなる箇所があります。
銀時×銀八のご褒美シーン有り! 原作ファンへのフォローもしっかり
本編に入る前には、坂田銀時から坂田銀八へ、銀さんから銀さんへと主人公をバトンタッチする“引き継ぎの儀”のシーンがあり、これが秀逸でした。
そもそもアニメ『3年Z組銀八先生』とは、『銀魂』の舞台を江戸から現代の学校へと移し、学園モノとして描いたスピンオフ小説を原作としています。登場するキャラクターはおなじみのメンツとはいえ、ストーリーは原作と繋がっているわけではありません。
ということで、前振りとして『ドラゴンボール』ネタや実写ネタ、「昔の銀魂でもやったから!」というかつての『銀魂』ファンが嬉しくなるようなツッコミも交えながら、今回のアニメ『3年Z組 銀八先生』が制作・放送されるに至った経緯を丁寧に説明してくれる銀時。
『銀魂』らしいおもしろおかしさ加減でハードな大人の事情まで語ってくれて、原作ファンへの気遣いがすごい……!
この時代にアニメで銀時×銀八の共演が観られるとは思わず、銀さんファンである筆者的には嬉しいご褒美シーンでした。そんなうれしさのなかに、原作での金時のエピソードを思い出すようなちょっとした切なさとエモさもあり。視聴した方のなかには同じように感じた方もいるのではないかと推察しますが、いかがでしょうか?
変わらぬ『銀魂』ノリの安心感! オープニングのオマージュも胸熱
そんなこんなで銀八にバトンタッチしてはじまった本編は、原作小説をベースに進みます。
あっちゃこっちゃで繰り広げられる血みどろのボケ、一生懸命声を張ってツッコむ新八、全員がどうかしていて収集がつかないこの感じ……! まさに『銀魂』らしいノリとテンポ感でギリギリを攻めていくこの感じ……! 怒涛の『銀魂』ギャグに、実家のような安心感を感じます。「永遠に不潔」とうたって完結しただけのことはありました。
しかし、なんだか突然の『銀魂』過剰摂取でほのかに胸焼けしてくる感じも……? 変わらずおもしろいんだけれども、あの勢いとスピード感に自分も食らいつこうこうとするよりは、俯瞰でみんなを見守る心持ちといいますか……かつて涙が出るほど笑っていたギャグを「フフw」くらいで受け取れる程度に落ち着いたといいますか。
もしかして、Xで見たみんなの反応の正体はこれなのではないか。
ということで、あのころの『銀魂』キッズたちは『銀魂』喋りを冷静に聞けるほど大人になったんだな、という個人的見解に至りました。時代は令和ですね。
でもやっぱり、最後は銀さんがビシっと決めちゃう感じが懐かしくてアツくて、毎週観たい!
ちなみに第1話では「桜風」(ぼっちぼろまる)にのせたオープニング映像がラストに流れたのですが、この映像にはこれまでの『銀魂』オープニング・エンディングのオマージュを感じさせるカットが多々ありました。
桜が舞ったり、銀さんがバイクで走ってきたり、みんなが河原を歩いていたり……などなど。昔からアニメを追いかけてきたファン的には、かなり胸熱だったのではないでしょうか。製作陣の愛も感じられるオープニング、これから毎週観られるのが楽しみです。
そして歌に関していえば、本編でお通ちゃんの「チョメ公なんざクソくらえ!」が少し聞けたのも嬉しかった筆者でした!
令和へのアップデートとコンプラ配慮を感じる場面も
時代は令和といえば、時代に合わせたアップデートや配慮を感じる場面もいくつかありました。
原作小説では沖田にガラケーを奪われ出会い系サイト(と見せかけてさらにアングラなサイト)に登録させられそうになっていた土方さんが、アニメ『3年Z組 銀八先生』ではスマホでマッチングアプリに登録させられそうになっていたり。
はたまたエキゾチックなビジュアルをいじられたキャサリンが「見た目で判断するのはルッキズムだろ!」とキレていたり。
使用されるアイテムやツッコミポイントが時代に即したかたちになっていて、さらにコンプライアンスへの配慮まで行き届いた令和の『銀魂』であることを実感させられました。
とはいえ、キャサリンがモザイクつきで中指立てたり、近藤さんがケツから血を吹いたり、さっちゃんが際どい夢小説の話をしたりすることは全然できていました。すごい!
SNSを見ていると、視聴したファンからも「令和だからちょいちょいマイルドになってる!でもノリが平成でめっちゃ笑った」「ピー音が昔より多い気はするけど、この時代にこれだけ暴れられるのはさすが銀魂」「コンプラに配慮してるのかしてないのかわからん(笑)」といった感想が多いように思います。
ちなみに、さっちゃんの夢小説のくだりでは、己の黒歴史がよみがえり悶えた人がきっと少なからずいるはず。もちろん私もその1人です。
『ONE PIECE』ネタがうれしかった話もさせてください
筆者はふだん『ONE PIECE』を生きがいとしている『ONE PIECE』オタクです。ライターとしても『ONE PIECE』関連のコラムを書くことが多いのですが、最後にそんなワンピオタク視点の感想を。
今回、教頭のじいがジャンプで『ONE PIECE』を読んでたんです。たぶんあれは、完全にワノ国編……! ジャンプの表紙にもシャンクスらしき人物が確認できました。
そんな小ネタをぶっ込めるのも、『銀八先生』がこの2025年にアニメ化されたからこそ。原作小説の第1巻が発売されたのは2006年なので、『ONE PIECE』はまだ新世界編にすら入っていないころでした。
アニメ開始早々『ドラゴンボール』ネタが出たし『ONE PIECE』も来るかも、と内心期待していたので結構うれしかったです。
ちなみに『銀八先生』小説の作者である大崎知仁氏は、じつは『ONE PIECE』の小説も書いています。
それが、海賊ではないいわゆる“普通の人”視点で見たルフィたちを描く小説『麦わらストーリーズ』。
そして、この『麦わらストーリーズ』を元にしたアニメ『ONE PIECE』25周年記念作品『ONE PIECE FAN LETTER』がめっっっちゃくちゃいいんです。一度でも『ONE PIECE』にハマっていた時期がある人は、ぜひこちらも観てみてほしいですね。
『ONE PIECE』の宣伝になっちゃったけど、『銀八先生』のBlu-ray・DVDの特典には「ワンピースボックス」がつくそうなので、まあいいか。「ワンピースボックス」ってなんだろう。
[文/まりも]