【シンギュラリティの到来】コンピュータが人類の知性を超える?【眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話】
シンギュラリティの到来でAIは人間を超えてしまうのか?
2023年3月、理化学研究所で国内初の量子コンピュータ「叡(えい)」が公開されました。量子力学という小さな世界のルールで動くコンピュータは、その計算能力においていまのスーパーコンピュータを圧倒的に超える「量子超越性」を持つことが2019年Googleの研究で実証されました。このときのデモンストレーションでは、スーパーコンピュータが1万年かかる計算を量子コンピュータは200秒で解いたのです。
20世紀後半におけるコンピュータの発展は、現代テクノロジーをすさまじい勢いで進化させました。その代表として挙げられるインターネットやスマホは、わたしたちの生活が便利になったとか速くなったという量的な変化だけではなく、生活スタイルや生き方自体を根本から変えてしまいました。テクノロジーの追求はAIや脳への埋め込み可能なニューロチップ、種々のサイバー空間、量子コンピュータなどを出現させたのです。
そうした中、「シンギュラリティの到来」が密かにささやかれています。シンギュラリティは「技術的特異点」ともいわれ、AIを含めたコンピュータの能力が人間を超えたあとに起こります。人間より賢くなったAIは勝手に物理を勉強しはじめ、新しいコンピュータチップを自己開発する。自分が制御するフルオート工場でチップをつくり新しいチップをインストールしてパワーアップする。さらに学習や開発を繰り返すことで、人類を圧倒的に超えた無敵な知性を獲得するだろうという予想です。そうして「人間を超える能力」を提供するかもしれない次世代コンピュータの1つとして量子コンピュータがあります。
もちろん、これらは少しSFのような要素を含んでいます。さらにコンピュータが人間に追いついて「人間化」をしているのと同時に、さまざまなウェアラブル機器やニューロチップなどで人間の「機械化」も確実に進んでいます。もしかすると人間の機械化した脳にインターネットケーブルを挿せば、すべてのインターネット情報が脳に入り、インターネットにつながったすべてのカメラで世界を見て、つながっているすべての機械を自由に扱えるような日が来るのかもしれません。そのとき人間は、量子コンピュータにもつながる「スーパー量子人間」になっているのかもしれません。
国内初の「量子コンピュータ」が誕生!
2023年3月、理化学研究所が公開した国内初の超伝導量子コンピュータ「叡」。
https://www.riken.jp/pr/news/2023/20231005_1/index.html
Googleが開発した量子超越性チップ
量子超越性を示したSycamoreチップ。チップの中には54個の量子ビットが埋め込まれている。2019年、Googleは既存のスーパーコンピュータでは1万年かかる計算を量子コンピュータがわずか200秒で解いたと発表した。
https://japan.googleblog.com/2019/10/quantum-supremacy-using-programmable.html
コンピュータが人類の知性を超える!
「スーパー量子人間」が誕生?
アメリカの未来学者レイ・カーツワイル(1948年〜)は、その 2005年の著書『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』で「シンギュラリティの到来」を予想した。シンギュラリティは「技術的特異点」といわれ、AIを含めたコンピュータが人間の知性を超えたあとの話だ。その「人間を超える能力」を提供するのが量子コンピュータなのかもしれない。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』著:久富隆佑、やまざき れきしゅう