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微生物は目に見えない程とても小さいのに〝巨大生物〟と呼ばれる理由とは?【微生物の話】

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微生物は目に見えない程とても小さいのに〝巨大生物〟と呼ばれる理由とは?【微生物の話】

土中に微生物王国があり、ウイルスをつなぐと1000万光年の長さ

微生物のほとんどは、目に見えない小さな生物です。1つ1つの個体はとても小さな生物なのでとても非力に見えてしまいます。ところが、その増殖スピードは、私たちとはまったく違います。

大腸菌が、仮にもっとも生育しやすい環境にあると、20分で1回細胞分裂し、2つの個体へと増殖します。これが続くと、1時間では8匹(2×2×2)になります。その結果、1日経つと47垓(がい)(4.7×1021)匹、さらにもう1日同じスピードで増殖すると2200正(せい)(2.2×1043)匹となります。

微生物の重さを10-12gくらいとすると、2日で2.2×1028㎏となり、地球の重さ5.972×1024㎏よりも10万倍も重くなってしまいます。

もちろん、実際には、もっとも増殖しやすい環境は人工的につくり出す以外にはなく、自然環境中では栄養が枯渇して生育がストップします。なので、こうしたことは起こりえませんが、微生物の潜在能力が、非常に高いことがわかります。ただし、彼らが本気を出すと、ひょっとすると微生物が世界を支配するかもしれません。

私たちのような多細胞の生物は、それぞれの個体のなかで細胞同士が勝手に行動しては、個体として成り立たなくなるため、コミュニケーションをとり合うことで個体としての統合性を保持しています。

ところが、微生物同士もお互いにコミュニケーションをとりながら生活していることがわかってきています。それも同種の微生物同士だけではなく、ほかの種類の微生物ともコミュニケーションをとり、競争と協働をおこないながら、自分たちの棲(す)み易い生活圏を形成していくことが明らかになってきました。微生物もネットワークをつくって社会を形成できるわけです。

最近になって、海底の地中を2500m近くまで掘削(くっさく)して、2300万年から2500万年前の地層からサンプルを抽出したうえで土中の微生物を調査するという世界的なプロジェクトが始動し、地中の奥深くにも微生物が群集することを明らかにしました。

地下に広がる新しい生物圏は、地球の海の約2倍もの広さ(20〜23億㎦)があって、そこに生きている微生物を炭素重量に換算すると150〜230億トンもある、これは人の炭素重量の数百倍にもなる、とのことが報告されたのです。

これらの微生物の一部は、泥岩(でいがん)や石炭層に含まれるメタノールやメチルアミンなどのメチル化合物を資化(しか) して、メタンや炭酸ガスを放出することが示されています。つまり、私たちの住む陸圏、水圏などとはまったく異なる「第3の生命圏、微生物の王国」が発見された、というわけです。

こうした微生物がどのように暮らしているのか、地球の環境にどのような影響を及ぼしているかなど、まだまだわからないことだらけです。

もう1つの巨大微生物群はウイルスです。ところで、ウイルスがいちばんたくさんいる場所がどこか、ご存知でしょうか?

海中です。ウイルスは細菌よりずっと小さいので、一般的な顕微鏡で観察しても見ることができませんが、電子顕微鏡などで観察すると、海の水1㎖あたり数千万〜数億個のウイルスが浮遊しています。海全体を考えると1000穣(じょう)(1031)個のウイルスがいることになります。

仮に、海のウイルスに含まれる炭素量を0.2fg(フェムトグラム)とすると約2億トンにもなり、シロナガスクジラ7500万頭分に相当します。ウイルスの大きさを0.1㎛として、これを全部つなげると、私たちの銀河の直径の100倍(1000万光年)にもなります。

私たちは、肉眼で見ることはできませんが、土中は微生物の王国、なかでも海はウイルスの王国だったのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 微生物の話』
著者:山形洋平  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1961年生まれ。東京農工大学農学部農芸化学科卒業。東北大学大学院農学研究科農芸化学専攻(博士課程後期)修了。東北大学農学部助手、東京農工大学共生科学研究院准教授、東京農工大学大学院農学研究院准教授を経て、現在は東京農工大学大学院農学研究院教授。農学博士。趣味は、醗酵食品の食べ歩きと醸造飲料の飲み歩き。

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