江戸庶民が愛した「巣鴨の菊」をめでる。「第33回すがも中山道菊まつり」が11月6~14日に開催!
秋の深まりを感じる頃、東京都豊島区の巣鴨周辺にある眞性寺や大正大学、旧中山道沿道では、「第33回すがも中山道菊まつり」が2025年11月6日(木)~14日(金)に開催。丹精込めて育てられた菊がさまざまな仕立て方によって展示され、見る者を楽しませてくれる。色鮮やかな菊を観賞して、秋のひとときを過ごそう。
巣鴨は江戸時代、園芸の里だった
江戸時代、巣鴨の周辺には多くの植木職人が住んでいて、園芸の里として知られていた。秋になると職人たちがそれぞれ腕を競って観賞菊作りに励み、江戸庶民から「巣鴨の菊」ともてはやされた。そんな歴史を背景に、1993年から毎年11月6~14日に開かれているのが「すがも中山道菊まつり」だ。メイン会場の江戸六地蔵尊眞性寺をはじめ、大正大学、旧中山道沿いの店舗や駅のロータリーなど街のあちこちに色とりどりの菊が展示される。
会場では、「三本立ち」「千輪咲き」「懸崖(けんがい)」など、さまざまな仕立ての菊が並ぶ。「三本立ち」は1本の苗から3本の枝を伸ばしてそれぞれの枝に花を咲かせる仕立ての方法、「千輪咲き」は1本の茎から半球状に多数の花を咲かせたもの、「懸崖」は崖から垂れ下がるよう姿に仕立ててあり、どれも見事な見せ方で菊を楽しむことができる。
また眞性寺では、江戸時代の観賞スタイルであった「形造り」も。神話や物語の主人公などをモチーフに、毎年テーマを変えて菊アートとして制作される。2024年は眞性寺に祀られている閻魔大王だったが、2025年は巣鴨地蔵通り商店街の公式マスコットキャラクターの「すがもん」が登場する。
地元がワンチームになって開く菊まつり
菊まつりは巣鴨周辺にある3つの商店街や地元の方々、巣鴨信用金庫職員、大正大学などによって運営され、街を挙げて行われる手作りの祭りだ。「地元の商店街や大学などがワンチームとなって、お店が終わった後に集まって各会場の準備をしています」と話すのはすがも菊まつり実行委員会の野溝規雄さん。埼玉県川口市にある菊の愛好会「川口好菊会」の方々や個人の菊愛好者の方が丹精込めて育てた、菊をイベントのために借りて、実行委員会がひとつずつ並べている。
6日(木)~12日(水)には眞性寺境内に「菊見茶店」が出店(10~16時)。往時を思わせるようなよしず小屋の下で、『岡埜栄泉』の団子や『わらび餅もとこ』のわらびもち、『松月堂』の甘酒、『山年園』の緑茶など、商店街の銘品を味わうことができる。ほかにも眞性寺では大道芸のパフォーマンスや草月流生け花の展示、大正大学では書道部による書の展示も行われる。
「1年間、手間ひまかけて育ててくださった菊を展示します。秋の風情が感じられ、とても美しいのでぜひご覧いただければ」と野溝さん。園芸の里といわれた巣鴨で、古きよき情緒がたっぷりと味わえる菊まつりに足を運んでみよう。
開催概要
「第33回すがも中山道菊まつり」
開催期間:2025年11月6日(木)~14日(金)
開催時間:菊の展示は終日実施(会場によって異なる)
会場:眞性寺、大正大学、旧中山道沿道(東京都豊島区巣鴨・西巣鴨)
アクセス:JR山手線・地下鉄三田線巣鴨駅から徒歩4分(眞性寺)
【問い合わせ先】
巣鴨地蔵通り商店街振興組合☎03-3918-2101
URL:https://sugamo.or.jp/
取材・文=香取麻衣子 ※写真は主催者提供
香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。