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ヒートショック 交通事故の3倍!?

TBSラジオ

この時期よく耳にする「ヒートショック」。急激な温度差に触れることによって、血圧が大きく上下するそのことによって起こる体の異変、健康被害のことを指します。
詳しく、注意喚起などを行う、消費者庁 消費者安全課の金子 拓矢さんのお話しです。

消費者庁 消費者安全課の金子 拓矢さん

ヒートショックであったり入浴中に溺れて亡くなった高齢者の方のデータについて厚生労働省のデータを見ますと、昨年と2013年の比較となりますけれども、10年前に比べて亡くなった方というのは増えております。2013年には4378人、2023年に6073人と、約2000人弱増加してございます。
不慮の溺死および溺水のうち、家や居住施設の浴槽で亡くなった方の数と交通事故で亡くなった方の数を過去10年間見てみましたところ、いずれの年も家や居住施設の浴槽で亡くなった方の数の方が交通事故よりも多くなっています。直近の数字を見てみますと、交通事故の3倍近くといった形になっております。
消費者庁として引き続き注意喚起していきたいと思います。

こちら消費者庁、そして専門家の方にも伺ったのですが、

そもそもヒートショックで亡くなる方は圧倒的に65歳以上の方が多い。
・その理由は、高齢者の方が「動脈硬化」が進んでいるから
・血圧が大きく上下に変動するというのがヒートショックの元々の原因ですが、血圧が大きく、特に急に上昇するときに動脈硬化が進んでると血管が、血圧に耐えられない。そうすると、例えば頭の中で血管が破けてしまう、これが脳内出血になったとか、それから心臓の周辺の大血管が詰まってしまう、これが心筋梗塞になるということで、動脈硬化があるからヒートショックが起こりやすい、これが高齢者の特徴でもある「山型ヒートショック」。
・そして高齢化によって現在、人口が高齢者の方が多くなっているので、ヒートショックで亡くなる方の数が右肩あがりの現状となってしまっているそう。

では若者は特段注意しなくても大丈夫なのでしょうか?
その辺り、ヒートショックに詳しい東京都市大学の早坂信哉教授に伺いました。

若者は谷型ヒートショック

東京都市大学の早坂信哉教授

こちらは若い方でも非常に危険性が高いものだというふうに思っておりまして、元々若い方は血圧が低い方が多いもんですから、こちらは動脈硬化の有無に関係なくですね、血圧が下がりすぎてしまうことによって、意識を失う、そのことによって大きな怪我をしたり溺れてしまうといったことが起きます。お風呂の温かさによって血管が広がってくる拡張するんですね、そうしますと血圧が下がってくるということになります。ただ、下がってきてる状態ではあるんですけれども、その瞬間にお風呂から立ち上がる、湯船から出ようとするとですね、座った状態から立つということで血圧が下がってしまうということですね。お風呂に入ってると、体を締め付けてる状態で血圧を維持できてるわけなんですけども、急に立ち上がることによって締め付けが取れてしまう水圧がなくなるんですね。そうしますと一気に、さらに血圧が下がってきて下半身に血液が集まってしまって、頭に十分に血液が回らないということで意識を失ってしまうということがあります。谷型ヒートショックということになります。

・若い方でも、高血圧だとか糖尿病それからコレステロールが高い中性脂肪が高いなどの病気を放置していると、動脈硬化が進むので山型ヒートショックが起こる事もありますが、基本は血圧が低いからこそ起こる「谷型ヒートショック」に要注意。
・要は、お湯に長く漬かっていると、逆に血圧が下がっていく。ここで、日常生活などでも起こるような立ちくらみの酷い状況になると、意識を失って倒れてしまったりする事がある。また、お風呂から立ち上がって、ふらっとする立ちくらみの瞬間に頭を打ったり、溺れたりしてしまう。これは高齢者だけじゃなくて、若者にも注意が必要です。

では、どんな対策をして気を付けていけばいいのか?再び早坂教授に伺いました。

東京都市大学の早坂信哉教授

温度差で言うと5度以上温度差があると血圧の上昇が起こるというふうに言われております。
ですのでリビング例えば脱衣所の温度差をですね5度以内にしていただきたいということにありますけども、具体的に言うと脱衣室はできれば20度以上を保っていただきたいということですよね。それから浴室は、なかなか暖房器具を置くわけにいきませんので、お風呂に入る前に少しその洗い場の方に温かいシャワーでかけ流しをしていただくとすぐ温まるということですね。また湯船にお湯を張る時には、蓋をしないでお湯を張っていただきますと湯気よく温まるということがあります。
お湯の温度が熱すぎても血圧が上がる原因にはなりますので、40度以下にしていただくということが大事なポイントです。それから、長風呂しすぎてしまいますと血圧が下がっていきますので40度でせいぜい10分ぐらいというですねこのくらいの時間と温度を守っていただければなと思っておりますね。

・その他に、脱水+血圧が下がりすぎるのを同時に防いでくれるのが「水分補給」。コップ1杯分を入浴前に摂取すると良い。

・また、湯舟から立ち上がる時は、ゆっくり立ち上がるなど、基本的なことを日々徹底する。これに尽きるとのこと。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:竹内紫麻)

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