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筋肉が減ると仕事も減る?きんに君25年の苦悩

TBSラジオ

「パワー!」という掛け声とともに登場したなかやまきんに君。TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』にゲスト出演した彼は、デビュー25年を迎えた今も変わらない筋肉芸で人々を笑顔にされています。パーソナリティのパンサー向井慧と火曜パートナーのココリコ田中直樹が、その芸風が生まれた経緯から近年の活躍まで、じっくり話を聞きました。

「きんに君」という芸名の誕生

「もうね、1年ぐらい前からずっとオファーしてたんですよ」と向井が語るほど、出演が待ち望まれていたきんに君。しかし本人は「ラジオってトークでしょ?大丈夫ですか?」と逆に心配する一幕もありました。


今や誰もが知る「なかやまきんに君」という芸名は、吉本興業の養成学校・NSCに入学した当初からあったわけではないそう。本人の話によると、当時は「なかやましょうじ」を名乗っていたといいます。きっかけは藤原寛さんの主催イベントでした。


「若手に芸名をつけよう大喜利コーナー」に出演した際、FUJIWARAの原西孝幸さんが「きんに君」と書いてボケた。会場は大ウケ。その後、テレビ朝日の若手芸人オーディション「おもいっきり時間」に応募する際、芸名欄に「きんに君」と記入。テレビ出演後は劇場の周りのお客さんからも「きんに君だ!」と声をかけられるようになり、自然と芸名として定着していったという。

筋肉との出会いとボン・ジョヴィの意外な関係

きんに君が筋肉トレーニングを始めたのは17歳の高校3年生のとき。もともとはお笑い芸人になることが夢だったが、趣味で筋トレを始めたことが後の芸風につながります。


彼の代名詞となったボン・ジョヴィの「It's My Life」をバックに筋肉ポーズを決めるネタには、意外な出会いがあったそうです。


「ジムでアルバイトをしながらトレーニングしていたんです。そこのボディビルの先輩が大会に出るということで、見に行ったんです」


ボディビル競技では決勝審査で1分間のフリーポーズがあり、選手は好きな曲を選んで自分で振り付けしてポーズを決めます。その中で、ボン・ジョヴィの「It's My Life」をかけていた選手のパフォーマンスに衝撃を受けたそう。

「めちゃくちゃかっこいいなって思いまして。それをお笑いライブのコーナーで先輩の真似をしようと思ってやったんですよ。僕は真剣にかっこいいと思ってやったんですけど、お客さんがなぜか笑い出したんです」


これが筋肉芸の始まりでした。2000年のデビュー以来、23年間にわたって同じネタを続けてきました。そして2023年には、意外な展開が待っていました。


「2023年に洋楽のダウンロードサイトで、この曲が日本で1位になったんです。それで本物のボン・ジョヴィから直接メッセージをいただいて、公式アンバサダーになってくれと言われました」

変わらない芸風の強みと難しさ

芸歴25年を誇るきんに君だが、最近になって仕事が増えたと感じることも多いという。今年はACジャパンのCMで目にすることも多くなりました。

「でも本当に分からないんですよ。やってることは同じなので、なぜ最近よく見るんですかって言われても、自分では分からないです」

向井が「変わらない面白さ」と評するこの芸風には、実は独特の難しさがあるといいます。

「筋肉芸人の宿命というか、忙しくなると嬉しいじゃないですか。でも忙しくなると時間がなくなってジムに行けなくなるんです。仕事が増えると筋肉が減っていく。筋肉が減るとネタが全然受けなくなる。そうすると仕事が減って、時間ができてジムに行けるようになる。そうすると筋肉が増えて、また仕事が増える...この反比例状態を繰り返してるんです」

アメリカ留学と新たな挑戦

2006年、きんに君は「筋肉留学」と称してアメリカへ渡りました。4年半の留学では、意外にも専門的な知識を身につけていました。


「17歳のときに月刊ボディビルディングという雑誌で、アメリカ西海岸・ベニスビーチの特集を見たんです。青空が広がって、ヤシの木があって、野外でトレーニングしている写真を見た時に衝撃が走って、いつかここに住みたいと思いました」


留学の目的は二つ。一つは筋肉の本場でトレーニングすること。もう一つは、ハリウッドのテレビや映画のオーディションを受けることでした。


「MTVのオーディションを受けたら通ったんです。でも学生ビザだったので、就労ビザが2週間では用意できないということになって、残念ながら実現しませんでした」


その後、サンタモニカカレッジで運動生理学を専攻。勉強が大変で体重が減ってしまったが、その知識は今のYouTubeチャンネル(登録者数は7月8日時点で269万人)での活動に生きているそう。


「やっぱりアメリカでも『ヤー!』『パワー!』は受けるんですよ。わけわからないけど笑ってるんです」と語るきんに君。現在も「アメリカでなにか仕事ができたらいいな」という思いは持ち続けているといいます。

変わらない中に変わらない魅力

番組中、スタジオに流れるボン・ジョヴィの「It's My Life」が独特の雰囲気を作り出す。きんに君が「筋肉飴取りゲーム」と呼ぶ、子どもたちを舞台に上げて行うパフォーマンスについて質問が及ぶと、「紙コップを持ってもらって、最後『ヤー!』の時にかごをひっくり返すんですけど、なぜか今まで取れた方は一人もいないんです」と笑顔で説明しました。


向井が「なぜかじゃないんですよ」とツッコむと、スタジオは笑いに包まれていました。
トレーニングを始めて30年、芸能活動を始めて25年。その間に社会は大きく変化しましたが、なかやまきんに君の「ヤー!パワー!」は変わりません。だからこそ、多くの人に愛され続ける魅力がそこにあるのではないでしょうか。

(TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』より抜粋)

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