中央区「月島駅」の住みやすさは?再開発で生まれたタワーマンションと既存市街地が混在する街の魅力
月島駅(つきしまえき)は、東京都中央区の南部に位置し、東京メトロ有楽町線や都営大江戸線の2路線を利用できる交通利便性の高い駅です。
近年は周辺で市街地再開発事業も積極的に進められています。その背景には、月島の歴史が関係しますので後ほど解説します。ぜひ、この記事で、月島駅周辺の魅力を再認識していただけるとうれしいです。
月島駅周辺の基本情報
月島駅周辺の概要
交通利便性の高さが月島駅の魅力のひとつであることは間違いありませんが、注目すべき点はそれ以外にも多くあります。例えば、月島の主要な観光ストリートにもなっている「月島もんじゃストリート」、さらに北側には、佃煮の発祥の地となった「佃島(現在の佃一丁目)」や、造船の歴史を有する「石川島(現在の佃二丁目)」などです。さらに、勝どきエリアの南側に目を向ければ、従前の住居表示では同じ月島であった「勝どき」があります。
歴史的にみると、月島エリアは東京湾の埋立事業とともに歩んできた歴史があります。現在の月島・勝どきエリアは、1892年、1894年、1913年に埋め立てによって誕生し、明治・大正・昭和初期と、日本の経済や近代化を支えた工業とともに発展してきました。現在の月島1〜4丁目にあたるエリアは1892(明治25)年に誕生しています。当時この埋立地は、工業・倉庫などの産業に加えて、働く方々の住宅や商店が混在する街として成長してきました。しかし、1959年に制定された工業等制限法により、徐々に工場・倉庫が郊外に移転。跡地が再開発されていき、現在では市街地再開発事業によって生まれた大規模なタワーマンションと趣のある密集市街地が混在しています。
築地や銀座、日本橋といったエリアに容易にアクセスすることができ、隅田川や朝潮(あさしお)運河などの水辺空間にも近い点は、月島エリアの魅力の一つといえます。
人口増加が進む月島駅周辺
月島駅周辺の住みやすさを理解する上で参考になるのは人口増加の傾向です。
中央区によると、2025年7月1日現在の月島地域(晴海を除く)の人口は約6.3万人で、中央区の人口の約33%を占めています。このうち、月島1〜4丁目には約1.6万人が居住していて、中央区内でも人口が多く、区政としても重要な位置付けにあるエリアとなっています。
上図は2000年から2020年にかけての人口推移です。20年で月島周辺の人口が大幅に増加していることが分かります。従前から一定の人口を抱えていたエリアであったものの、市街地再開発事業などの効果で、この20年間に大きく人口が増加しました。見方を変えれば、さまざまな人々が流入することで、街が変化を続けているとも考えられます。なお、現在も市街地再開発事業が進められていますので、今後も人口増加が進む予定です。
月島駅周辺の住みやすさ
月島駅周辺の交通利便性
月島駅には、東京メトロ有楽町線と都営大江戸線が乗り入れていて、新木場や有楽町、永田町、新宿などの主要駅に乗り換えなしでアクセスすることが可能です。また、東京メトロ有楽町線は西武池袋線や東武東上線との相互直通運転を実施しているため、所沢駅や川越駅へも乗り換えなしでアクセスできます。さらに周辺は都営バスの利用も便利であり、月島駅前から東京駅八重洲口へはバスで約11分で到着する近さです。
<月島駅から主要駅へのアクセス時間>
・東京駅:約11分(路線バス利用)
・有楽町駅:約5分
・新宿駅:約24分
・品川駅:約22分(大門駅乗り換え)
月島駅周辺の買い物・飲食店事情
月島駅周辺には有名な観光スポットでもある「もんじゃストリート(西仲通り商店街)」があります。この他にも、魅力的な地元商店が多くあり、日常的な買い物環境には恵まれています。また、隅田川を渡れば、東京を代表する買い物環境がそろった銀座や築地などのエリアにもアクセスが可能です。大型の百貨店の地下で買い物をしたいという人でなければ、問題ない買い物環境は整っていると思われます。
月島駅周辺には大型商業施設は立地していませんが、一方でそうしたまちづくりが月島・勝どきエリアの魅力でもあります。鉄道やバスを利用して都心側へアクセスしても良いですし、月島からアクセスしやすい晴海にある「晴海アイランド・トリトンスクエア」の商業ゾーンには豊富な店舗・飲食店があります。
月島駅周辺の自然環境
月島駅周辺を代表する自然環境は、隅田川と朝潮運河です。それぞれに遊歩道が整備されているため、散歩すると潮風を堪能することができます。また、少し北側の旧石川島(現在の佃2丁目)には、隅田川と晴海運河に沿って石川島公園があり、水辺に加えて、緑にも触れあえることができます。
月島駅周辺の公共施設
月島駅周辺には、月島区民センターをはじめとした区立の主要施設が集まっています。
<月島駅周辺における主な公共施設>
・中央区月島特別出張所
・中央区立月島図書館
・月島保健センター
・月島区民館
・月島社会教育会館
・月島児童館
月島駅周辺の治安・ハザード
上図は、2024年に発生した犯罪のうち警視庁が認知した件数を地図上に表示したものです。参考情報として、月島地区以外の周辺エリアについても表示しています。ご覧いただくと、中央区の銀座(赤色部分)に比べると月島地区は件数が低いことが分かります。
なお、月島駅周辺は、おおむね月島1〜4丁目にあたりますが、犯罪認知件数は80件とされ、中央区全体の認知件数である1,979件の約4%を占めています。なお、犯罪の種別としては、多い順に自転車窃盗(25件)、詐欺(11件)、万引き (9件)となっています。なお、あくまでも認知件数のため、警察が認知できていない件数は統計化されておらず、実際の発生件数ではないことに注意が必要です。
また、人口(2025年1月1日時点)1,000人あたりの認知件数でみると、勝どきエリアは、約4件月島エリアは、約5件、中央区全体では約10件となっています。
中央区では防犯対策に関する特設ページを設けていますので、地域の治安状況や注意喚起情報を得るためにも、住まい探しの検討の前に一度確認しておくと安心です。
月島駅周辺は、冒頭でお伝えしたように明治時代以降に東京湾を埋め立ててつくられた土地(人工島)となります。この人工島は、西側を隅田川、東側を朝潮運河に挟まれています。こうした地形的特徴から、高潮浸水や河川洪水のリスクがあります。特に高潮浸水については、東京都などが公表しているリスクデータによると、月島エリア全体が浸水する可能性があるとしています。過去には、1917年の大正6年10月台風による高潮浸水により、月島や銀座、築地などにおいて死傷者1,524名、浸水被害約18万棟を記録しています。
とはいえ、その後、都による高潮対策により、護岸整備が進められているほか、隅田川沿いでのスーパー堤防の整備などにより、被害を低減する取り組みが進められています。
なお、公表されている高潮浸水が発生する確率は非常に稀ですが、満潮と著しく低い気圧が重なると発生する可能性が高まることに留意しておく必要があります。月島エリアに居住する場合には、注意が必要です。日頃から避難経路の把握が重要となるので、ハザードマップで浸水想定エリアを確認しておくことをおすすめします。
月島駅周辺の病院事情
月島駅周辺には日常生活に不可欠な診療所が多く立地しています。この他にも、月島駅から程近い佃2丁目には中央区休日応急診療所があり、休日の応急診療を担っています。さらに、月島から佃大橋を渡ってすぐの明石町には、救命救急も担っている聖路加国際病院があり、地域の医療を担っています。
月島駅周辺の子育て環境
月島駅周辺は、保育園や幼稚園、小中学校が充実しており、子育てファミリーにとって暮らしやすい環境が整っています。また、区立の児童館や図書館も利用しやすく、隣接する勝どきエリアを含め、雨の日でも安心して過ごせる子ども向け施設が点在しています。さらに、月島第一児童公園やわたし児童遊園など、開放的な遊び場も整っています。中央区の子育て支援施策については次のページが参考になります。
月島駅の市街地再開発事情
現在、月島駅周辺では、2ヶ所(月島三丁目南地区と月島三丁目北地区)同時に市街地再開発事業が進められています。それぞれを合計すると約2,000戸近い住宅が供給される予定となっています。それぞれのマンションの名称は「セントラルガーデン月島ザ タワー」と「グランドシティタワー月島」とされ、前者は2028年6月竣工、後者は2026年6月の竣工が予定されています。
月島駅周辺の家賃相場
<月島駅の家賃相場>
・ワンルーム:13.81万円
・1LDK:20.67万円
・2LDK:28.25万円
・3LDK:45.55万円
<隣駅・勝どき駅の家賃相場>
・ワンルーム:15.04万円
・1LDK:22.89万円
・2LDK:30.11万円
・3LDK:40.44万円
<月島駅の中古マンション価格相場>
1億4,720万円(占有面積70m2の場合)
月島駅周辺の魅力まとめ
本稿では、東京都中央区の月島駅周辺の住みやすさについて紹介しました。
月島駅は、東京メトロ有楽町線と都営地下鉄大江戸線の2路線が利用でき、都心部や副都心へのアクセスにも優れています。さらに、隅田川や朝潮運河に囲まれた水辺の環境、もんじゃストリートに代表される地元のにぎわい、比較的充実した公共施設や医療・教育インフラなど、日常生活に必要な機能がコンパクトに集約されています。
また、月島三丁目北・南地区の市街地再開発によって街の防災性や魅力が高まることが期待されています。治安や災害リスクへの備えも進められており、ファミリー層から単身者まで幅広いニーズに応えているエリアといえます。市街地再開発と日常生活環境が両立するエリアは東京都内でも限られます。月島は、いまだからこそ注目しておきたいエリアです。ぜひ、月島駅周辺をチェックしてみてください。