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市川海老蔵が発起人となり『日本の劇場文化 復活祈願祭』が大阪で開催、関西の伝統芸能や舞台の関係者らが集まり日本の伝統文化復活を祈願

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『日本の劇場文化 復活祈願祭』

2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で表舞台に立つ者のみならず、照明や舞台装置など裏方の技術者らも大きなダメージを受けたライブ・エンターテインメント業界。なかでも伝統芸能の世界は、受け継いできた技術や精神性まで失われる危機に面しているとも言われている。そんななか、「コロナ禍で大きな打撃を受けた経済の再生が急がれるなか、Withコロナ時代の今、十分な感染防止を図りつつ、一刻も早く劇場に賑わいを取り戻す」との熱い思いを掲げ、歌舞伎俳優の十一代目市川海老蔵が立ち上がった。

劇場文化復活を願い、市川海老蔵が勇壮な火の舞を披露

『日本の劇場文化 復活祈願祭』

11月3日(火・祝)の文化の日に、大槻文藏、桐竹勘十郎、山村友五郎、桂米團治ら関西の伝統芸能を支える同志と共に『日本の劇場文化 復活祈願祭』を大阪・道頓堀川でおこない、船上式典では市川海老蔵が「迦具土之舞」(『SOU~創~』より 作:長田育恵)を披露した。

「迦具土之舞」(かぐつちのまい)の「迦具土」(かぐつち)とは火の神のことで、この演目を選んだ理由について「傾奇者(かぶきもの)が火の演舞をすることで、大阪の伝統文化の復活祈願に火をつけるという想いを込めた」と海老蔵。

『日本の劇場文化 復活祈願祭』

前日までの雨が嘘のようなすっきりとした秋晴れに恵まれた文化の日。13時、戎橋東側のとんぼりリバーウオークイベントエリアに、 須佐之男命(すさのおのみこと)に扮した海老蔵らを乗せた船が西から進入すると、沿道や橋の上で待ち構えていたギャラリーから歓声が上がった。紙吹雪が舞う中、船の舳先に立ち、きっと前を見据える海老蔵。その後ろでは真っ赤な衣裳をまとった5人の歌舞伎俳優が激しく体をくねらせ、燃え盛る火の神・ 迦具土を表現。やがて海老蔵は大きな剣を振りかざし、迦具土の力を得て勇壮に舞う舞踊を披露した。舞台を彩る音楽も生演奏で、三味線や太鼓などの音が道頓堀に響き渡ると、かつての賑わいを取り戻したかのように街がきらびやかな輝きを放った。

『日本の劇場文化 復活祈願祭』

『日本の劇場文化 復活祈願祭』

ほかに、大槻文藏、桐竹勘十郎、山村友五郎、桂福團治、桂米團治、春野恵子らが顔を見せた二番船、NMB48の白間美瑠、原かれん、新澤菜央、OSK歌劇団の桐生麻耶、お笑いコンビのアルミカンが乗船した華やかな三番船と、伝統芸能や舞台関係者らを乗せた船が登場し、一言ずつ挨拶を述べた。

「劇場文化をコロナ禍で失うわけにはいかない」

市川海老蔵

船上式典の前には記者発表会がおこなわれ、海老蔵を筆頭に大槻文藏、桐竹勘十郎、山村友五郎、桂米團治が登壇。伝統芸能や劇場に対するそれぞれの胸の内を語った。

祈願祭の発起人である海老蔵は「今、コロナ禍において、劇場文化に携わる方のみならず、多くの方々が大変な思いで日々を生活していると思います。私どもも、劇場に足を運んでくださる方が少なくなっているということで、今回このようなことを発足させていただきました。1625年に大阪・南船場の芝居小屋が道頓堀に移りました。2025年に大阪万博が行われる予定ですが、その折に道頓堀に劇場が移ってちょうど400年という節目を迎えます。その時に向けて、少しでも大阪の伝統文化が豊かに、また大阪のお客様に伝統文化を楽しんでいただける環境になることを切に願って、文化の日にこのような発表させていただくことを幸せに思います。大阪の伝統文化のみならず、日本の伝統文化を劇場で、生でご覧いただける機会が増えることを祈願、懇願して、ご挨拶とさせていただきます」と意気込んだ。

大槻文蔵

能楽師で人間国宝の大槻文蔵は、劇場の人数制限など緩和されるなかにありながら、まだまだ客足が戻らないことを危惧し、「能の歴史は650年ほどになりますが、芸能は長寿を増長させ、また、悪魔を払う力があると言われています。安心安全が一番でありますが、芸能をご覧いただくことで気持ちを和らげることができたらと私どもも精進して参ります。ぜひともよろしくお願い致します」と訴えた。

桐竹勘十郎

人形浄瑠璃文楽の桐竹勘十郎が本拠地とする大阪・日本橋の国立文楽劇場では10月31日(土)、10ヵ月ぶりに幕が開いた。「昔、江戸には江戸三座と言われる芝居小屋があり、大阪は道頓堀五座がありました。道頓堀は、昔は大変賑わった芝居町です。私たちは今、道頓堀から少し東の国立文楽劇場で公演をさせていただいております。3日ほど前に10ヵ月ぶりに初日を迎えましたが、その間、お客様にも長いことお待ちいただいたと思います。私たちも色々と心を砕いて、いつ舞台が始まっても出られるように精神力を鍛えて待っておりました」と再び文楽の公演がおこなわれたことに喜びを語った。そして「日本には昔から様々な劇場文化がございます。その劇場文化をコロナ禍で失うわけにはいきません。また下火になることも許されないと思います。ずっと継承されてきた様々な芸を生で感じ取り、体で覚えていくというのが私たちの継承のやり方です。またお客様にも劇場に足を運んでいただき、様々な演劇を生でご覧いただくというのが一番です。私たちはもちろん努力、精進いたしますが、コロナが収束しましたらまた劇場に戻ってきていただきたいと切に願っております」と声に力を込めた。

山村友五郎

日本舞踊・上方舞 山村流六代目宗家家元の山村友五郎は「芸能は表に立つ人間だけではなく、衣裳や床山、照明、舞台装置など裏方のスタッフとともに作り上げていくもの」と、舞台関係者たちにも心を寄せ、「1日も早く皆様の前で芸をお見せできる日が来ることを願っております」と思いを伝えた。

桂米團治

落語家の桂米團治は、「市川海老蔵さん、本当にありがとうございます!」と開口一番に声を弾ませ、「『日本の劇場文化 復活祈願祭』が東京の方から発案されたことに感動を覚えている」と喜びを爆発させた。「大阪は大大阪と言われた時代がありましたが、その時の大阪市長の関一(せき・はじめ)さんは関東人でした。関東人の関さんが大阪を救おうと言って、大大阪時代が築かれました。東京から大阪を盛り上げようという機運が高まった時に何か大阪が変わるような気がします。今、まさにその時だと思います」と熱く語る。「東京の海老蔵さんが、上方がしっかりしないと日本の芸能は崩れるよとおっしゃる。上方の伝統文化を盛り上げていくことによって、日本全体の舞台芸術が大きくなることを望んでいます。ジャンルの異なるいろいろな芸術・芸能が力を合わせると、今までになかった舞台芸術が生まれるのではないかと、そういう予感もいたしました」と『日本の劇場文化 復活祈願祭』へ絶大なる期待を寄せた。

『日本の劇場文化 復活祈願祭』

そして海老蔵は改めて『日本の劇場文化 復活祈願祭』を発案した意義を語り、大阪のみならず、日本の伝統文化復興を目指していると明かした。「今年はお祭りなどのイベントが開催できませんでしたが、来年はオリンピック・パラリンピックもあり、各地の自治体もお祭りをおこないたいという思いがあると思います。そのためには東京や大阪のような大きな都市が先陣を切って文化を発信していく。伝統文化は、多くの文化の根本にあるので、伝統文化に携わる人間が先陣を切っていくことによって、さらに復活の波が大きく広がってほしいという願いを込めて、大阪でおこなうことにしました」と、『日本の劇場文化 復活祈願祭』に込めた並々ならぬ思いを語った。

取材・文=Iwamoto.K 撮影=田浦ボン

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