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マッツ・ミケルセン『ダスト・バニー』レビュー ─ 「ハンニバル」製作者と描く、色彩豊かな大人向けおとぎ話

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(カナダ・トロントから現地レポート)マッツ・ミケルセンが、ドラマ「HANNIBAL/ハンニバル」を手がけたブライアン・フラーと再びタッグを組んだ新作映画『ダスト・バニー(原題:Dust Bunny)』が、北米で12月12日に劇場公開を迎えた。フラー監督といえば、「プッシング・デイジー 〜恋するパイメーカー〜」などで知られるテレビシリーズの脚本家・プロデューサーであり、同時に強烈なビジュアルセンスを持つクリエイターとしても評価高い。本作はそんな彼の長編映画監督デビュー作。色彩豊かで幻想的なフラー監督独自の世界観は、予告編からも楽しめる。

タイトルの「Dust Bunny(ダスト・バニー)」とは、綿埃や糸くずが絡み合ってできる“埃の塊”のこと。部屋の隅や家具の下など、普段は目にしない場所に潜むその存在は、子どもの視点からすると、想像力と恐怖心を刺激する不思議なもの。そんな感覚を起点にして、奇妙な物語が展開されていく。

主人公は、ニューヨークのアパートに暮らす少女オーロラ(ソフィー・スローン)。彼女は「ベッドの下にモンスターがいる」と信じているが、両親はそれを真に受けない。そんなある日、両親が突如として行方不明になり、オーロラは“モンスターに連れ去られた”と確信する。助けを求めた先は、アパート5B号室に住む隣人の男(マッツ・ミケルセン)。その正体はプロの殺し屋で、オーロラは以前、チャイナタウンで舞龍の男たちを倒す姿を目撃していた。子どもの目には、その男はドラゴンをやっつける勇敢な戦士のように映ったのだ。オーロラは教会から施し金を盗み、“モンスター退治”のために彼を雇う決断を下す。

マッツ・ミケルセン演じる5B号室の住人は、最後まで名前が明かされていない。チャイナタウンのシーンでは、『キル・ビル』のザ・ブライドを思わせる黄色のジャージに身を包み、『ジョン・ウィック』を彷彿とさせる鮮やかなアクションを披露する。一見、子どもには無関心に見える男だが、オーロラとの交流を通じて、次第に奇妙な絆が芽生えていく。また彼は、オーロラの名前をうまく発音できない。それをオーロラ自身が直してあげるという可愛らしいやりとりが何度か出てくるので、ほっこりするポイントがあるのも特徴的だ。

フラー監督は、この5B号室の住人の役を「最初からマッツのために書いた」と明かしている。これについてマッツはのインタビューで、次のように語っている。「ブライアン・フラーは、僕のことを本当にいろいろな角度から見ている人だと思います。だから、たとえまったく違うタイプのキャラクターだったとしても、それほど驚かなかったでしょう。彼は、誰もやったことのないことの中に可能性を見出し、それを実際に試してみようとする人なんです」。さらに、「彼が手がける作品には必ず芸術的なタッチがあり、現実でも想像の産物でも、ほとんどすべてが成立してしまうような“世界”を作り上げるのです」と、フラー監督の仕事を高く評価した。

本作にはシガニー・ウィーバーも出演し、5B号室の住人の雇い主/監視役として物語に関わってくる。彼女は、オーロラが殺し屋稼業の秘密を知っているのではないかと疑念を抱き、この三人の関係性が、物語を予測不能な方向へと導いていく。さらに予告編でも強烈な印象を残した「銃になるハイヒール」を使いこなす、個性的なキャラクターをシガニーは独自のクールさを保ったまま演じている。

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本作は、想像力が生み出す恐怖を、大人に信じてもらえなかった“子どもの視点”から描いたモンスター映画だ。モンスターと、大人の闇の世界がどのようにつながっていくのかという点もユニーク。子どもと大人の信頼関係、子ども視点と大人視点、そして子どもが感じる恐怖と孤独。それらがうまく交差して、ホラーとしてもダークファンタジーとしても成立している。子どもの頃に抱いた漠然とした恐怖を、鮮明なイメージとして可視化した、興味深い一本だ。

によると、北米402スクリーンで公開され、初週興収33万9千ドルを記録。米国内週末興行ランキングでは17位とトップ10入りは逃したものの、Rotten Tomatoesでは批評家スコア86%、観客スコア85%と高評価を獲得している。批評家からは「低予算ながら美しい作品」「最終的にはオーロラの暗くも不思議な世界に踏み込み、その過程で確かに目を奪われるものがある」といった声が多く寄せられ、世界観の完成度に圧倒された人が多かった印象だ。

『ダスト・バニー』の日本公開予定は伝えられていない。

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