盛夏のアユトモ(友)釣り攻略法を解説 【オトリを弱らせないこと】が一番重要
2024年アユのトモ釣りシーズンが始まり、今シーズンも例年同様和歌山県では5月1日に解禁。三重県・宮川上流、大内山川は5月11日に解禁で、両河川ともに好スタートだった。6月中には中部河川ではほぼ解禁されたが、近年の異常気象による環境下では楽しまれている河川、そうでない河川もある。
盛夏のアユトモ釣り
盛夏のトモ釣りは川もアユも出来上がり、ベストシーズン突入となっていくが、放流オンリー河川は日に日に釣り荒れが進み、アカ腐れなどでさらにポイントが限られてしまう。誰もが狙えるようなオトリが簡単に入るポイントでは、増水後のリセットやたまたま数日釣り人が入川しなかった以外は難しい展開になる。
天然河川はシーズン到来といった感じだが、渇水アカ腐れは状況的には同じだ。盛夏からハイシーズンに、いかにアユ釣りを楽しみながら数を釣るか、私なりに解説していきたい。
アユ釣りのサオ
各メーカーからたくさんのサオが発売され、長さや調子など好みで選択すれば良いのだが、それでも種類が異常に多く中級者でもかなり迷ってしまうのが現状だ。1本のサオでオールシーズン楽しむとなると限界があり、私のホームグラウンドの大内山川のような小河川でも、盛夏の増水時では急瀬のサオが必要なときもある。
できれば硬さの異なる2本のサオを使い分けることをお勧めする。1本目は解禁初期から盛夏に使用するサオで、調子は好みで選べば良いと思う。2本目は増水時、後半の良型アユ用に急瀬クラスの2本を使い分ければ、中部全河川でオールシーズン、トラブルやストレスなく楽しめる。
私のメインロッドは銀影競技スペシャルT85・N。メーカーコンセプトはオトリをハイレスポンスに動かし、狙った筋を瞬時に通して自在に止めて、掛かれば即座に引き抜く。このTの特性を追及し、パワーとスピードを突き詰め磨き上げた新生「スペシャルT」。とにかく使い勝手が良く、誰もが使いやすく万人向けのサオだと思う。
増水時、後半時期のロッドとして銀影競技メガトルク急瀬抜90・0。コンセプトは、わき上がる粘りと、強引に引き抜けるパワーを備えた新生。粘りとタメ性能はそのままに、バット~胴の部分にパワーを持たせ引き抜き性能が大幅に進化した、7代目「メガトルク」だ。私がターゲットとするアユの大きさには十分対応できるロッドだ。
現実的に盛夏以降のアユ釣りで、早瀬抜きクラスのロッドでは限界があり、無理をしてサオを破損させてしまったり良型アユが取り込めなかったり、バラシが続出といったトラブルも経験してきたので、できれば異なる2本のロッド保有をお勧めする。
アユ釣りの仕掛け
続いて盛夏のアユ釣りの仕掛けを解説する。
水中イト
中級者の釣り人なら釣行する河川、掛かりアユの大きさなどを考え、自分流の仕掛けを作って仕掛け作りを楽しんでいると思う。水中イトの種類は複合メタル、ハイブリッドメタル、ナイロン、フロロカーボンがある。年間を通して複合メタルで釣りをする人が大半だと思うが、私は盛夏ぐらいからフロロカーボンの使用が多くなる。
梅雨が明け渇水期になると私のホームグラウンドでは、ポイントを何カ所か移動して足で稼いで着きアユを釣っていくか、または泳がせ主体で群れアユ狙いをしなくては数が稼げない。
私は1カ所で粘っての釣りが多いため、比較的アユ任せのフロロカーボンでの泳がせパターンが多い。渇水期でも複合メタルでうまく泳がせて釣る人もいるが、フロロカーボンを使ってラインの力を借りると、複合メタルを使用して釣り切ったポイントでも拾えることが多々ある。とにかくオトリアユが自然の泳ぎを演出しやすい。
ハリ
ハリは魚との唯一の接点で、他の釣りのように食わせて釣り上げるのではなく、スレで引っ掛けて釣り上げるのでハリ先の鋭さや形状が釣果を左右する。そしてハリは薬のごとく、各メーカーからたくさんの種類のハリが発売されている。ハリも河川によって、アユの種苗の種類、河川の水量、石の並び、石の大小によって違いがあるように、この河川はこのハリが良い、悪いとかも耳にすると思う。
私が三重県・宮川上流、大内山川で使うハリはまずダイワエアースピード。群れアユや追いの弱いアユにも、軽い力で刺さり込みバレが減少。硬いウロコも突き通す貫通力。後期のウロコが硬くなったアユや、大型のアユに対しても効果的。
次に掛かり重視で軽量、細軸のがまかつ頂。ハリ幅を抑えた独自の狐型形状と細軸軽量設計は、オトリの負担軽減による自然な泳ぎを生み出し、確実に野アユの追い気を高める。やや外向きのハリ先がもたらす、野アユが軽く触れただけで鈎立ちする掛かりの良さもこのハリの魅力。
次はがまかつセツナ。明確なハリ先ストレートと、野アユとのコンタクト性を高めたハリ先角度が、野アユに吸いつくような素早いハリ立ちを実現し、触れた野アユは瞬時にフトコロ深くまで刺さり込む。追いの弱い人工産アユに対しても威力を発揮する。
オーナー一角。掛けバラシを防止。まさに狐トンボとでも呼びたくなる独自フォルムに仕上がった特徴的なハリ先角度は広角に攻め、フトコロが広い形状は見切れを最大限に防ぎ、「角」が野アユの弱いアタリも確実に捕らえて深掛かりさせる。
ASTEAギブ超早掛けタイプの最大の特徴は独特なシワリR形状から構成されたフトコロ。早掛けバリの世界を一段と進化させ、超早掛けバリの世界を確立。
オーナーダブ蝶一角はここ一番のオトリ取りに。養殖オトリから天然に変えたいとき、どうしても1匹が取りたいときなど、ここ一番で役立つのがダブル蝶バリ。
これらのハリをハリの号数、ハリハリスの号数、種類(ナイロン、フロロカーボン)を使い分けて当日のアユの活性、動きで自分の釣りに合ったハリを使用している。
アユ釣りのコツ
盛夏となれば私がホームグラウンドとしている三重県・宮川上流、大内山川のような小河川は、渇水気味になり水温の上昇がすごく、掛かったばかりの野アユでも扱い次第ですぐに弱る。一番気をつけなくてはいけないのは、養殖オトリをいきなり川の水に浸けてしまうとまずアウト。しっかり水合わせすることは必須だ。オトリ缶も少し深めの所に、しっかり石で押さえておく。引き舟も水の中に石で押さえておき、引き舟内にもアユをあまり入れ過ぎないようにする。
梅雨が明け渇水期になると、やはり日中の釣りはかなり厳しくなる。放流アユ+天然ソ上アユの河川で、天然ソ上アユが機能してくるとさほど影響はないが、放流オンリー河川では日中はじっと我慢の釣りで、オトリをできるだけ弱らせないようにすることが大切だ。
しかし一日のうちアユが活発に動く時間、すなわち時合いがある。何回時合いがあるか分からないが、その時間帯が狙いめだ。群れアユ狙いなら早朝と夕方の太陽の光が水面に当たる角度で、オトリと群れアユの間隔、群れアユ同士の間隔が狭くなり、絡みやすくなるように思える。私がサイトフィッシングの群れ狙いで経験したことで、何の根拠もなく科学的には証明されていないが…。
早朝夕方にサオを出してみると、入れ掛かりになる可能性が高い。早朝とは4時30分ごろの夜明けから7時半ごろまで。夕方とは午後5時ごろから7時ごろの日没まで。
瀬、トロ、チャラ瀬など、とにかくアユがいることが確認できるポイントで釣ると面白い。追い気満々で目印がぶっ飛びではなく、ほとんどが捕食するためにコケを食む動きでアユを絡ませる狙いだが、中には数匹真っ黄色で追い気の強いアユもいる。注意点として根掛かりだけは避けたい。
アユが確認でき、日中掛からなかったポイントでも入れ掛かりも多々ある。やはり最盛期は日中の水温が徐々に上がって行く時間帯より、夕方の水温が下がったときが狙いめだ。通り雨などで水温に変化が出たり、気圧の変化などアユの活性が上がるときも狙いめだ。
ポイントでの釣果の上げ方
鉄板だが、上下流にタンクがあるポイントを狙う。淵やトロ場などは群れアユがかなりストックされている。一日のうち何回かは動きだし、アユが見えなかったポイントでも食みだし、浅いポイントだと絡みも良い。波立ちのポイントでもギラギラと食みだすと、追っているかのようなすごいアタリも出る。
群れアユが動きだすと周りの追い気がなかったアユも活性が上がり、やる気が出て追い気満々になり簡単に釣れるが、時合いは長くは続かないので効率よく釣っていく。
1つのポイントでも、立ち位置によって釣果が変わってくる。瀬釣りでダイレクトに投げて着きアユを釣っていくスタイルならともかく、渇水期の泳がせスタイルの釣りなら、立ち位置を変えオトリの泳ぐコースを変えてやるだけで、釣りこぼしが少なくなる。
座って静かに釣っていると、1m手前でも目印がぶっ飛ぶアタリもよくある。1つのポイントでも右岸から釣り切ったと思えても、左岸に移動すると右岸からはオトリが泳ぎにくいポイントでも、左岸からはすんなり泳いで掛かることもよくあるので試してほしい。
仕掛けによる釣果の上げ方
自分が得意な釣法、自分の信念の仕掛けなど、アユ釣りルーティン的なパターンも強みがあるが、やはりいろいろな仕掛けを使うと釣りの引き出しが増えると思う。ノーマル仕掛けに捉われず、いろいろな場面で背バリ、オモリを使用し、時には常識から外れたことが好釣果につながることもある。
複合メタルが望ましいポイントでナイロン、フロロカーボンを使う。オトリの泳ぎが変わり、掛からなかったアユが掛かる。ハリの号数は同じでハリハリスの号数を変える。ハリハリスの長さを極端に変更する。ハリハリスをナイロン、フロロカーボンを使い分ける。同じ道具でも少し替えるだけで、釣果も変わる。
名人の仕掛けをまねるのは良いが、必ずしも自分の釣りに合っているとは限らないので、あくまでも参考程度で良いところだけを吸収しよう。名人と同じ道具、仕掛けを使ってもその釣りスタイルが違えば、全く違った方向の釣り方になってしまうので要注意だ。
最後に
どんな釣りでも面倒なことをすれば、必ず釣果が上がる。よく言われる「焦って良いことは一つもない」。釣りを始めて2時間、ポツポツ釣れているときは神経を集中させて、いろいろなことを実施できる。しかし時間がたつにつれ、体力的に疲れてくると「1匹掛かってから」と負のスパイラルに突入する。
循環の釣りであるトモ釣りの大事なところだ。「5分掛からなければ何かを変える」。コレが一番大事だ。とにかく面倒くさがらない。私もそう自分に言い聞かせてもなかなかできそうでできないことだが。
<週刊つりニュース中部版APC・武田英敏/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2024年7月19日号に掲載された記事を再編集したものになります。