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伝統芸能と最新テクノロジーが融合した究極のポップカルチャー舞台が豪華キャストでアップデート 武楽『神曲 修羅六道』オフィシャルインタビューが到着

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武楽『神曲 修羅六道』

2022年5月1日(日)東京芸術劇場 プレイハウスにて上演される武楽『神曲 修羅六道』。演出の奥秀太郎ならびに出演の源光士郎、蘭乃はな、サカクラカツミ​、田島芽瑠によるオフィシャルインタビューが到着した。

イタリア・ルネサンス文化の出発点とも言えるダンテの『神曲』を日本の伝統芸能である能楽と融合させた武楽座の『神曲 修羅六道』が5月1日東京芸術劇場プレイハウスで上演される。2021年観世能楽堂で上演された初演にも登場した日本の武士道の美学をサムライアート「武楽」として確立した源光士郎、元宝塚歌劇団花組トップ娘役でミュージカル『エリザベート』でも人気の蘭乃はな等に加え、今回より参加の4月にHKT48を卒業する田島芽瑠、武道の精神性を体現したパフォーマー・サカクラカツミらを加えた豪華キャストでさらに進化した舞台になること間違いなしだ。
公演を前に、キャスト陣と演出の奥秀太郎に作品について聞いた。

武楽『神曲 修羅六道』キャスト

――今回『能トレ!』という現代に息づいた能を上演するプログラムの一つとして(4月30日上演の『VR能攻殻機動隊』と並んで)武楽『神曲 修羅六道』が上演される意義とは?

源光士郎(以下、源):昨年ダンテの没後700年に合わせて『神曲』をフィーチャーし、また私ども武楽座の15周年ということで15年やってきたことの集大成として、武の美という一つのテーマを、ダンテの神曲に乗せて七徳目を表現し、そこから感じられる武士の倫理観や美意識を、奥秀太郎監督の最新技術の映像と融合させ、世界に発信していくというのが一つのコンセプトでした。今回はそれをさらにアップデートした再演となります。

奥秀太郎(以下、奥):最初に源さんからダンテと能の融合をやりたいと言われた時に、どういう話になるのか、パッとは想像つかなかったけど、逆に今時想像がつかない演目って何て面白いんだろうと思い、これはついていくしかないな、と思いました。稽古を進めていくにあたり、前回よりかなりアップデートされ、同じシーンでも新しく解釈され、すごく刺激的なものになる予感がしています。また昨年の上演は能楽堂で行ったんですけど、今回東京芸術劇場のプレイハウスという劇場で上演することもあり、一般の演劇ファンの方も注目せざるを得ない演目になっていくんじゃないかと思います。

源光士郎

――本作はダンテの『神曲』のヒロインであるベアトリーチェを演じる蘭乃はなさん、日本の歴史の象徴である神功皇后を演じる田島芽瑠さんの二大ヒロインが登場する。それぞれの役割とは?

蘭乃はな(以下、蘭乃):『神曲』の原作の中でベアトリーチェはダンテを導く役目を背負っています。この演目においては、お客様はダンテの位置からシテの役の言葉を聞いていくと思うのですが、作品のメッセージをお客様に伝える役割としてベアトリーチェを演じたいと思います。

田島芽瑠(以下、田島):神功皇后という役をやらせていただきますが、ダンテとの繋がりで言えば、最初はダンテに戦いを止められてやめるのですが、そこからダンテのために動いていく、戦っていくという意味での導き役なんですね。すごく重大な役になると思いますので、どんな感じになるのか、私もすごく楽しみにしています。去年初めて『博多座神楽まつり』のナビゲーターとして伝統芸能に触れて、あの場でしか味わえない雰囲気に包まれて、とても感動しました。今回、様々な伝統芸能の融合した作品に自分も出演させていただけるということを大変嬉しく思っています。

:能とは「鎮魂」や「祈り」と「人間の本質」そして「未知との遭遇」です。ワキという現実に生きている人間の役がまず登場して、そこにシテという異界から到来する神様や幽霊、鬼などと出会っていくさまを、観衆はワキに感情移入し擬似体験するのです。今作でワキはダンテです。原作の『神曲』はキリスト教やギリシア神話の要素も含む西洋の地獄・煉獄・天国を遍歴し、死者と対話する物語で、それを日本の武士の死生観、死後の世界、修羅道を旅していく形に置き換えています。ダンテは、シテの素戔嗚尊(すさのおのみこと)、神功皇后、源義経、平経正、平知盛、修羅王らに出会っていくのですが、このシテのうち今回の再演では神功皇后を田島さんにお任せし、残り五役を私が演じます。ダンテはベアトリーチェが先に亡くなってしまったことに絶望して、暗い森に迷い込み、死後の世界に落ちてしまいます。それを知ったベアトリーチェが、ダンテを再生させるための仕掛人として全体をプロデュースしているという裏設定がございます。神功皇后をはじめ登場人物全員が、ダンテ自身の言葉にもある「美は魂を目覚めさせ行動に導く」ことを促す役割を果たしているのです。

:『神曲』と能を融合させた舞台を作るに当たって、イタリアの文化と日本の文化を融合させたうえで、最終的には日本的にアレンジしたザ・日本文化って感じにできたのは非常に良かったと思っています。今回はサカクラカツミさんもキャストに加わり、さらに日本の要素を加えて日本の伝統芸能、伝統文化が全部詰め込まれたような一粒で何度も美味しいという感じの作品になっています。

蘭乃はな

田島芽瑠

――キャストそれぞれの見せ場は?

田島:まだすべてのシーンをお稽古したわけではないのですが、神功皇后の役は、重い鎧を着て舞うという情報をいただいていて、前回の神楽でも未体験の舞いに期待が膨らんでいます。また、人ならざるものとの戦いのシーンでの激しい殺陣は初めてですので、どんなふうになるのか?とてもワクワクしています。そして、物語の鍵を握る刀剣をダンテに授けるシーンはすごく重要な見せ場だと思いますので身体中が震えるような緊張感を楽しみながら挑戦させていただきます。

蘭乃:私は以前、奥監督の『3D能』という作品に出演させていただいた後に、日本舞踊をちゃんと勉強したいと思い、花柳流のお稽古を受けて名取試験に合格し花柳の名前をいただきました。同じように昨年の神曲が終わった後に、散りばめられていたお能のエッセンスを理解したくて、お能を習い始めました。なので今回は私自身が、お能の流儀にもっと寄せていくアップデートができたらいいなと思います。静御前の中之舞の音楽の構造についても教わったのですが、笛の音色がヲヒヤーラとカタカナで書かれた本を拝見し、それがとっても面白くて。今回も中之舞を舞いますが、自分が地道に勉強したことを反映した舞にしたいと思いますのでご注目ください。

サカクラカツミ(以下、サカクラ):よく「伝統と革新」という言葉が使われますが、今回の舞台がまさしくそうです。今までの映像技術では速い動きを赤外線カメラで捉えてパソコンで演算し映像を出す場合、どうしても追従できるスピードに限界がありました。でも本舞台では奥監督と映像技術担当の福地健太郎先生による秘密兵器があって、最初見た時これはヤバい!と大変興奮しました。最先端のテクノロジーに武道から創造したオリジナルスタイルを掛け合わせることで、今まで不可能と言われたリアルタイム超高速追従型パフォーマンスが生まれました。新しい世界をぜひご覧ください。

サカクラカツミ​

――観客の皆さんへのメッセージを。

田島:今回HKT48を卒業後の初めての舞台がこんなに歴史を感じさせる華のある作品ですので、ファンの方はどんな舞台なんだろうとすごく楽しみにされていると思います。一方で武楽というものを長年愛されている方もたくさんいらっしゃるでしょう。伝統的世界をもっとたくさんの方に知っていただくきっかけとなると同時に、より愛していただけるような作品にできたらと思います。そして役者としては、錚々たる共演者の皆さんと、伝統の世界の「仲間入り」を認めていただけるよう精一杯頑張りたいと思います。

蘭乃:私が奥監督の舞台で、静御前の役を演じるのは2019年のヴェネツィアでの3D能、前回2021年の『神曲』に引き続き今回で3回目になるのですが、白拍子の舞に込められた愛をひしひしと感じています。ベアトリーチェもスパルタ的な愛をダンテに持っています。二つの役を通して「愛のかたまり」になっていきたいと思います。

サカクラ:舞台上で繰り広げられるのは伝統文化かと思いきや、実はバックボーンの全く違う演者が集まって一つにまとまることで新しい「文化」が生まれているのです。その新しい表現自体が伝統武道を内包したポップカルチャーと呼べるものになっています。観に来た人たちが、あ、これは初めて体験する!と感じていただけるものをお届けしますので、ぜひそこを楽しみにお越しください。

:今回の公演では、東京芸術劇場プレイハウスの舞台で上演することにより、前回の能舞台でできなかったことに色々挑戦していくことになると思います。稽古中の現在、私たちも材料は色とりどりに揃えてありますが、どんな料理になるかは本番ギリギリまでわからない、どんどん進化してすごいものになるんじゃないかと思います、上から下までトッピング全部盛りみたいな感じの見どころたくさんの舞台になることは間違いないです。それぞれのキャストと文化の培って来たものが発揮されて最高のものになることを、皆さん楽しみにしていただければと思います。

:本当にまさに伝統芸能と最先端技術の融合したこれぞ日本のポップカルチャーというエンタテインメントに仕上げられたらと思っています。華やかなキャストに加え、演出で映像や最先端テクノロジーを使うことにより、より伝統芸能がわかりやすく、奇を衒わずに単純に面白い、熱い、感動するというような、真っ直ぐ直球に訴えた舞台にしていこうと思っています。本当に現在進行中で今新しいもの、面白いものができようとしているので、この機会を見逃してどうする、今見るべき!という舞台であると断言します。

取材・文:神田法子

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