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はーいみなさん、ごきげんよう！満島てる子です。

あのね、今回なんだけど、読者の方々にご報告があるの。
こちらのお悩み相談ルームなのですが……

なんと、今月で連載、満３年目を迎えたの！来月からは4年目に突入！！！
いえーい！！！

「Sitakke」の立ち上げとちょうど同じスタートを切ったこのコーナー。
まさかそんなに長い期間、このウェブマガジン上でコラムを書かせ続けてもらっているなんて。
昔から書く仕事を夢見ていた身としては、なんだか信じられなくもあり、一方で純粋に嬉しくもあり。

これからもみなさんと一緒に（？）、色んなことに悩んでいければと（？？？）、そんなふうに思っているこの盛夏の候だったのでした。

そうあのね、この4年間、いろんなお悩み相談に乗ってきたわけなのですが。
みんなから送られてくるモヤモヤって実は種類がいくつかあって、「こういうの多いなぁ」っていう内容のかたよりもやっぱりあったりするわけ。

この後紹介するのは、その中でも最大派閥に属するお悩みなの。
早速見てみましょう。

読者のお悩み：彼氏とセックスレスに...このままだと結婚は難しい？

そうなんです、皆さん！
当コーナーに送られてくる数ある相談内容のうち、コンスタントに投稿されることでは右に出る話題はないであろうジャンル。
それが、今回のテーマにもなっている「セックスレス」なのです。

過去にすでに2回にわたって回答させてもらっている、このお悩みではあるんだけれど。

1回目「大好きな旦那とセックスレスです。「したい」という私の気持ち、どうしたらいい？」

2回目「彼氏との性生活がうまくいかない。心も身体も枯れてしまいそう」

これさ、やっぱり100組のカップルがいたら、おそらく性生活も100通りに分かれると言わざるをえないだろうし、だからこそ、セックスレスに直面しているふたりが胸の内に抱いていることも、そのふたりにしかわからないであろう苦しさや歯痒さがあるんだろうなぁと思うの。

だからまずは、まるちゃん。勇気を出してお手紙、送ってきてくれてありがとう！
これまでのコラムに負けないぐらいの勢い、そして違ったアプローチで、あなたのお悩みとあたし、今回向き合ってみることにするからねッ！

さて、日本がセックスレス大国であることは、この連作"性の悩み"の1回目にも記しましたが。

興味深いのはその理由。実は男女ともに「疲れているから」というのがトップ3にランクインしているんです。
（参考：マイナビニュース・夫婦のセックスレスに関する実態調査©レゾンレートル株式会社）

いやぁそうよねぇ、このコラム内で何度となく言ってきたけれど、この動乱の現代社会、生き抜くのすら割とどなた様も必死じゃん？（少なくともあたしは超絶波乱大必死爆走人生女装 ←なんか戒名みたい（？？？））

だから、まるちゃんやまるちゃんのパートナーさんも、そもそもまず毎日お疲れ様ぁ。
そんな中でも、相手との身体的コミュニケーションをしっかり大事に思い、そこから今後についてまでも考えることができている（だからこそ悩んでもいるんだろうけれど）、まるちゃんの姿勢は素晴らしいなぁと思います。

まずは一緒にのんびりする時間を...

その上でなんだけれど。
きっとまるちゃんもそうだけれど、パートナーさんも今きっと、ふたりの"性活"についてはしっかり悩んでいそうだよね（「ごめんね」というセリフやその後のハグはあっても……なところに、その片鱗を感じる）。
なんなら、その悩みを抱えることで、お互い精神的にも、肉体的にも。より疲れちゃってるところはあるんじゃないかしら。

だからまず、どちらも一回深呼吸してリラックス。
疲れを一旦忘れられるよう、一緒にただのんびりしてみてほしいの。

そして休んだ後、もしもそれぞれ余力が出てきたら、そこからまるちゃんには、例えば相手とセックスについてしっかり意見交換を行うだったり（第1回のアドバイス）、パートナーにいろんなアプローチを仕掛けてみながら、その過程で性を相対化する方向に自分自身をマインドセットするだったり（第2回のアドバイス）、本人が（そして、可能なら相手も）ポジティブになれるような方向性で、ぜひいろいろトライしてみてもらいたいなぁと思ったりするんだけれど。

よくよく考えると、話し合うってのはすごく時間もパワーも使う、ある意味しんどい取り組みだったりするし。
種々のアプローチやマインドセットだって、ひとりでそれを上手にこなせているのかわからなくなったりもして、そのせいで余計迷っちゃうことだってあるわよね。

自分でアドバイスしておいてなんなんだけれど、とっかかりとしては割とハードル高めだったりするのかなぁ。

もっと気軽にはじめられること、それをまるちゃんに伝えるのが自分今回のやるべきことなのかなぁと、タブレットのキーボードに指を走らせつつ考えていたあたしだったのでした。

あたしなりのAnswer

それでね、あたし結構真剣に色々検討して、ずっと迷ったりしてたんだけどさ。
今回はまるちゃんさんに、とあるお気に入りの漫画をご紹介したいと思います。

最初は映画紹介とかいいんじゃないかって思ってたの（「ねえそれ得意技じゃん！」って言われそうだけど（笑））。セックスレスをテーマとした話、パートナーと一緒に見てみたらどうかしら？って。

でも、同じスクリーンを眺めている最中に、そこにふたりの問題に類するものがバーンと映し出されたとして、気持ちの準備ができていないカップルにとってはそれってかなりキツいのかなぁと。
だから、そうした銀幕上のストーリーは、もしよかったらまずはまるちゃんおひとりで、なんて思いつつ(『31年目の夫婦げんか』（2012年）とか『午後3時の女たち』（2013年）とか名作です）。

この漫画、ぜひ読んでみて！

今回おすすめするのは、少年ジャンプ＋で絶賛連載中！yatoyatoさん作のロマンティックコメディコミック『恋人以上友達未満』です。

＊＊＊あらすじ＊＊＊
AV女優の仕事を辞め、実家に戻ってだらだらと生活していた木村宮子。自堕落な彼女の生活ぶりに業を煮やした母は、突然お見合いの話をセッティングします。
しぶしぶ足を運んだ宮子。そこに待っていたのはなんとまさかのかつての"同僚"、元AV男優の花丸正樹で！？
「お互いの秘密を守るには都合がいいから」という理由で、彼らは外向きに"お付き合い"という関係性をはじめるのですが……。

裸はもう知っているけれど、実はまだ何もおたがいを知らないふたり。
日々のドタバタ劇の最中で、それぞれの想いが交錯しながらも徐々に近づいていく様に、きっと読者はほっこりさせられるはず。
宮子と正樹の騒がしい日常をもどかしくも愛しく感じてしまう、今注目の一作となっています。
＊＊＊

この紹介文を読んで「え？セックスレスがテーマとかじゃなくて？」と思った人もいるんじゃないかしら。

そうね。それも考えたんだけれど……。
あたし、まるちゃんとパートナーさんには、性という話題ともほんのり馴染んだ上で、まず笑顔になってほしくて。
その意味でこの漫画はぴったりな気がしたのよね。

あとね。文芸作品に抱く感想って、もちろん人それぞれではありますが。
あたしはこの『恋人以上友達未満』を読んで、月並みかもしれないけれど「そうか。セックスから見えてくることもあれば、セックスだけでは見えてこないこともあって。そのどちらも恋には大事なんだよな」って気づくことができたんです。

進行中の恋愛関係を実りあるものにしていくためには、この「見えてくること」「こないこと」のふたつが当人たちにとって丁度良い配分というか、ぴったりの配合となっている必要があるでしょう。

そのために、おたがいに歩み寄ることはもちろん、時に立ち止まって相手を観察してみたり、何気ない一言を投げかけてみたり。
かと思えば「やだ破廉恥！」な要素も欠かせなかったりして。
もし自分に大切な相手ができたら、その試行錯誤を楽しめるようになっていきたいなぁと、あたしはこの作品と出会ってそんな風にも考えるようになったのね。

性の悩みに取り組む前に、性に笑顔でいられるように...

だからまるちゃん。
あなたがこの『恋人以上友達未満』を読んで、あたしと同じ感想を抱くとは限らないわけだけれど。もしよかったらこの作品、ぜひ読んでみて！
そして気に入ったら、彼氏さんにもどうぞ勧めてみてください。こころの余裕があったら、それぞれ読んでどう思ったかを、お茶でもしながらシェアしてみるのもいいんじゃない？って思う。

もしそれをきっかけに、ゆくゆくふたりの"性活"についてお互いが明るく語れるようになったらなら儲け物。
もちろん、すぐはそうならなかったとしても大丈夫。まずはまるちゃん自身の性をめぐる思考が、こうしたきっかけを通して少しでも軽やかになること、それが最優先だと思うから。

性の悩みに取り組む前に、性に笑顔でいられるように。
今回のお悩みに対してはもちろん、これまでセックスレスのお悩みを寄せてくださった全ての相談者さんに向けて、そんな風に願い祈っているあたしが、今日もパソコンの前にいるのでした。

ま・と・め♡

というわけで今回は4年目突入にふさわしく、このコーナーによく寄せられるお悩みのひとつを取り上げさせていただきました！

いやぁ、最初にも似たようなことを書きましたが、いまだにコラムを書かせてもらえていること自体、幻なんじゃないかって思うぐらい嬉しい話なの。

仕事や恋愛、友情や家族、セクシャリティやジェンダーに関してなど、様々なテーマに関する相談との出会いがこれまであったけれど……。
これからも読者の皆さんと一緒に、ぜひいろんなモヤモヤとあたし自身向き合っていければと思います。

みんな！どうぞ、コンゴトモヨロシク……（突然の「真•女神転生」感）。
ではまた次回。Sitakkeね〜！

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文：満島てる子
イラスト制作：VES
編集：Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子：オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。