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『天幕のジャードゥーガル』第1話「天にあるもの 地にあるもの」第2話「サファルに咲くバラ」を振り返り!「知」は生きる力になる──奴隷の少女・シタラが運命を変える第一歩

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

2026年7月4日(土)より放送がスタートしたTVアニメ『天幕のジャードゥーガル』。トマトスープ先生による人気漫画を原作に、総監督・山田尚子さん、監督・Abel Gongoraさん、アニメーション制作・サイエンスSARUという豪華スタッフで描かれる歴史ドラマです。

主人公は“魔女”と呼ばれる存在になる奴隷の少女・シタラ。しかし、彼女の物語は魔法ではなく、「知」との出会いから始まります。奴隷として売られ、自由を求めていた少女が、「学び」によって未来を切り拓く力を得ていく。

ストーリー、演出、徹底した歴史・文化への考証など、話題となった第1話、ファーティマとの別れや、「原論」を巡る新たな展開など、物語が大きく動いた第2話を振り返ります。

【写真】『天幕のジャードゥーガル』第1話第2話を振り返り!「知」は生きる力になる

第1話「天にあるもの 地にあるもの」あらすじ

1213年、イラン東部の都市トゥース。母を亡くし、故郷からも遠く引き離された幼い少女シタラは、学者一家の心優しい奥方・ファーティマに拾われる。最初は故郷に帰るために勉強を嫌がり逃げ出そうとしたシタラだが、ファーティマの息子で学者を目指すムハンマドから「賢くなれば、どんなに困ったことが起きたって何をすれば一番いいのかわかる」と勉学の大切さを教えられ……。

自由を求めた奴隷が「知」と出会う

「これは、広大な大陸を翻弄したひとりの魔女の話。」

印象的なナレーションにて始まった物語。本作の主人公は、その後「魔女」となる奴隷の少女・シタラです。彼女が、自由を求めて駆け回るかのようなシーンで描かれる、街の風景や音楽からも本作の徹底したこだわりが見て取れます。

幼い彼女を奴隷として引き取ったのは、トゥース市で暮らす学者の未亡人・ファーティマでした。掃除の得意な奴隷を半額にしてもらう代わりに、幼いシタラを預かることになりました。店主は、学者の家であるファーティマらに仕えることによって奴隷として箔をつけて欲しいと頼みます。

彼女は、シタラを連れ帰り、学問を授けることに。ファーティマの「奴隷だろうと誰だろうと、知を求めることはイスラム教徒の務め」というセリフが印象的でした。

「知」は生きる力になる

しかし、当のシタラは勉強などする気はありません。言葉が分からないふりを続け、隙を見ては城から逃げ出そうとする彼女にとって、一番大切なのは故郷へ帰ることでした。

そんなシタラの価値観を大きく変えたのが、ファーティマの息子・ムハンマドです。「箔が付けばもっと遠くへ売られてしまう」と涙を流すシタラに対し、ムハンマドは彼女を連れて屋上へ向かいます。

すると、彼は屋上から鉄製の桶を落とします。突然の大きな音に家中が驚く中、シタラは自然と耳を塞いでいました。それは、彼の行動をあらかじめ知っていたから。そこで彼は、「それが知性であり、勉強である」と諭したのでした。「賢くなれば、どんなに困ったことが起きたって何をすれば一番いいのかわかる」。ムハンマドの言動に何かを感じたシタラは、この家で働くことを、学ぶことを決めました。

別れ

季節は巡り、シタラも家での暮らしに馴染んでいきます。一方、わずか12歳のムハンマドは、さらに広い世界で学ぶため旅立つ決意を固めていました。

学問のため、自ら未来を選んで旅立つムハンマド。自由を持たず、この家で生きるしかないシタラ。二人は同じ年頃でありながら、置かれた立場は決定的に異なります。その事実を静かに描き出す演出も印象的でした。

それでもムハンマドは「学者になるまで勉強を続けること」とシタラに対して「手紙を書くこと」を約束して旅立ちます。しかし、その直後に流れる「二人が顔を合わせたのは、生涯これが最後である」というナレーション。

未来への希望が語られた直後だからこそ、この一文の残酷さが際立っていました。

それから、8年後。教養を身につけたシタラは、約束通りムハンマドから届く手紙をファーティマへ読み聞かせていました。知識を身につけ、穏やかな日々を送り、互いが未来へ向かって歩き続ける──そんな希望に満ちた時間が続くかと思われた矢先、モンゴルの遊牧民侵略の報が届いたのです。

トゥース軍は敗北し、街もまもなく戦火に飲み込まれるかもしれない状況に。そして場面は一変し、モンゴル帝国第四皇子・トルイが登場。「ちょっと探し物があってさ」と穏やかに呟きますが、その眼前には無数の亡骸が。底知れない不気味さが漂い、ここまで積み上げられてきたシタラの日常が、一瞬で歴史という巨大な流れに飲み込まれていく予感に満ちたラストになりました。

第2話「サファルに咲くバラ」あらすじ

ムハンマドが故郷を旅立って8年後。モンゴル帝国の第四皇子トルイ率いる軍が、シタラたちが暮らす都市トゥースにまで侵攻。屋敷を急襲したトルイは、ファーティマが大切にしていた写本「原論」を奪い、街を焼き討ちに。モンゴル軍の捕虜となり絶望の淵に突き落とされたシタラのもとに、モンゴル軍の通訳を行う少年シラが接触してくる。

シタラとファーティマ

モンゴル軍による略奪に備え、シタラとファーティマは家の地下室へ避難します。食料や貴重品とともに、大切な書物も運び込む姿からは、学者の家にとって知識が何よりの財産であることが伝わってきました。

地下室でファーティマは、シタラに「ムハンマドが好き?」と問いかけます。そして、いつか一人の人間としてムハンマドに仕え、支えられる存在になってほしいと優しく語りかけました。その言葉に、シタラも思わずそんな未来を思い描きます。しかし、その穏やかな時間は突然終わりを迎えてしまいます。

街へ侵攻したトルイたちの目的は、学者たちが持つある書物を探すことでした。それは、エウクレイデスの「原論」。亡きファーティマの夫が大切にしていた本であり、ムハンマドも学び、そしてシタラも学ぶはずだった重要な一冊です。

地下室を捜索したトルイは、シタラとファーティマ、そして「原論」を発見。シタラは必死に本を取り戻そうとしますが、トルイらは意に介さず「原論」を持ち去ろうとします。抵抗するシタラに刃を向けるトルイ。その瞬間、ファーティマはシタラをかばうように身を投げ出し、その命を落としてしまいました。

「私の娘に触らないで」と最期に言い残したファーティマ。知を授け、シタラを導いてきたファーティマとの突然の別れは、シタラの運命を大きく変える出来事となったのでした。

自分で決める

壊滅状態となった街を背に、シタラたちはモンゴル軍の捕虜として連行されます。生き残ったのは、わずかな街の人々と奴隷たちだけ。ほんの一瞬で街も、ファーティマたち家族も、これまでの日常も失われてしまったのでした。それでもシタラは、ムハンマドの存在だけを希望にし、連れられるがまま東へと進み続け、天幕街へ辿り着きます。そこで出会ったニーシャプールの職人たちは、「街の住民は皆殺しにされた」と語ります。そのニーシャプールこそ、ムハンマドが暮らしている街。ムハンマドとの再会だけを支えに生きてきたシタラにとって、その知らせはあまりにも残酷なものでした。

過酷な状況で、命を落としていく奴隷たち。シタラとともにファーティマの家で暮らしていた奴隷たちも次々と命を落とし、シタラは大切な人を失い続けることになります。ムハンマドの安否も分からず、生きる希望を見失ったシタラは、自暴自棄になってしまいます。そんな彼女に声をかけたのが、モンゴル軍で通訳を務める少年・シラでした。

シラはシタラに、「あの本を取り返したくないか?」と問いかけます。ファーティマが命を落とした原因でもあるあの「原論」を。

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