竹久夢二と房総との関わりを上梓!郷土史家 市原善衛さん【千葉県】
元公務員、市原善衛さん(74)。
美人画で知られ、今年生誕140年になる竹久夢二(1884〜1934)と房総との関わりを調べ、『竹久夢二と房総』を昨年秋に自費出版しました。
竹久夢二、記者として房総を巡る
竹久は美人画で知られますが、若い頃はさまざまな仕事を経験しました。
1907(明治40)年には新聞社に入社し、房総を訪れ、19回にわたる連載記事「涼しき土地」を書いています。
市原さんはその内容を紹介してくれました。
「竹久は長く続く九十九里浜の海に魅せられたようです。最初に太平洋を見た時の記述は『海!太平洋だ!瞳をあけて見たまへ。雪崩れのような大波が黒い岩を取巻いて躍ってゐるではないか』。波の迫力に感動しています」
海の他には「庭から噴出してゐる鑛泉は、そのまゝ飲料に供しうべく、實に平野水以上の佳品である。ここに快い一夜を過して、翌日銚子へ赴く」と、現在の山武市内の鉱泉宿で疲れを取ったことが書かれています。
銚子にも滞在。「宵待草」のモデルに会う
「涼しき土地」を連載した後の1910(明治43)年には銚子に滞在。
後に作った「宵待草」のモデルになった女性と出会いました。
「待てど暮らせど来ぬ人を宵待草のやるせなさ今宵は月も出ぬさうな」。
有名な詩ですが、竹久はいろいろな場所でエピソードを残していたようです。
原文記事を丹念に読む。拡大鏡も利用
今年が竹久の没後90年の節目にも当たることから、市原さんは竹久と房総との関わりを約1年半かけて資料を丹念に調べて、昨年秋に本にまとめ、出版しました。
竹久の紀行文の記事を詳しく読んだが、旧字体で読みづらかったそうです。
「拡大鏡で大きくして何とか解読しました。目が疲れました」
本は国会図書館や千葉県立図書館、県内の市立図書館に寄贈しているそうです。
市原さんは郷土史の研究を続け、これまでにも、『高村光太郎と房総』など千葉県とゆかりのある作家の本を書いています。
現在はミニコミ紙に「北総の文学」を連載中です。
電話番号/043-443-2090 市原