前田育男の哲学。車は、景色を作る
カーマニアの安東弘樹が、これまた車が大好きな方をお迎えしてお送りする30分。
今週は先週に引き続き「マツダ」の魂動デザインの生みの親、マツダ株式会社・エグゼクティブフェロー・ブランドデザイン監修の前田育男さん登場!
影響を受けたデザイナー
前田さんがカーデザイナーを目指したきっかけは、元々、父親もカーデザイナーだったこと、そしてそもそも「デザイン」というジャンルに興味があったことから。
デザインとは自動車に限らず建築など。
ちなみに影響を受けた建築家は「近代建築の三大巨匠」とも呼ばれるフランク・ロイド・ライト。
そしてカーデザイナーで影響を受けたのは、イタリア人デザイナーのマルチェロ・ガンディーニなど。
やはり60年代、70年代のカーデザインを彩ったカロッツェリア・デザインに憧れたそうです。
前田さん曰く、当時のカーデザインはもっと純粋だった。
コストやマーケットの規制に縛られず、いわゆるアート作品のようなもの。
車そのもののクオリティはまだまだだったけど、デザインの自然な形は今見ても素晴らしと語ります。
最も嬉しかったエピソード
これまで数々のプロダクトデザインに携わってきた前田さんが、最も嬉しかったエピソードとして掲げるのが「ヨーロッパでMost Beautiful Concept Car of The Year賞を2度、受賞したこと」。
圧倒的に美しいフォルムの「RX Vision」と「RX Vision Coupe」。
この2台のコンセプトカーそれぞれが、その年に発表された世界中のコンセプトカーの中で最も美しいプロダクトと認定されたのです。
「これがマツダにとってゲームチェンジャーになった」と語るほどの偉業。
車作りの魅力
「自分が作ったプロダクトを買ってくれる人がいて、そのオーナーがすごい笑顔で乗っているシーンを見ることがある。その瞬間を見る時が1番の幸せ。
しかもそれが世界で見ることができる。
笑顔を作ることができて、さらにそれを自分で操ることができる。それが車作りの1番の魅力」と語ります。
そして「車が景色を作る」。
日本では日本の車が日本の景色を作る。
自然を構成する1つの役目を背負っているのが車です。
だから車のデザインを考える上で、日本の文化、美意識、様式を理解しなければならない。
しかし日本のデザインはいろんな要素が混在していて「これだ!」というものがない。
だから最近は攻撃的な車が増えているのかもしれない。
いつか、日本のスタイルはこうだと胸を張って言いたい。
それがこれからの日本の景色を作るし、日本のデザインのクオリティを高めることにも繋がるはずと熱く語ります。
(TBSラジオ『GARAGE HERO’s~愛車のこだわり~』より抜粋)