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スペシャルゲストにヴァイオリニスト・三浦文彰が登場! 辻井伸行オンライン・サロンコンサート第3夜レポート

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『辻井伸行 オンライン・サロンコンサート』

6月の毎週日曜夜8時からイープラス・Streaming+にて配信されているピアニスト・辻井伸行のオンライン・サロンコンサート。2020年6月21日(日)に行われた第3夜は『ラ・カンパネラ〜ピアノ名曲集』と題し、広く愛され続けているピアノの名作から、辻井自身も思い入れのある選曲で届けられた。

幕開けは、ドビュッシーの「2つのアラベスク」から第1番。清々しく、透明感のある響きでスタートした。透明感と言っても、決して硬質な響きにはならないのが辻井のピアノ。まさに彼の音楽性が優しく光る演奏だ。

『辻井伸行 オンライン・サロンコンサート』

「この曲は僕が5歳のころ、幼稚園に通っていた時期に初めて知りました。当時習っていたヴァイオリンの先生の息子さんがこの曲を演奏していたんです。それから25、6年くらいの長い付き合いになる曲で、コンサートで何度も弾いてきた大事な作品です」と紹介した。

続けては、ラヴェルの作品を2曲。同じ作品でもオーケストラ版とピアノ版を自身で手がけることの多かったラヴェルだが、辻井が一曲目に選んだのは、まさに両方のバージョンで愛されている「亡き王女のためのパヴァーヌ」だ。

しっとりと美しいこの作品を、辻井は淡々と、耽美的になりすぎずに描き出す。メロディーラインの輪郭をくっきりと浮かび上がらせながら優雅な流れを作り出した。音色をぐっと柔らかくしたり、意外なほどに和音を力強く鳴らしたり、不協和音程も積極的に響かせる場面も。

続く「水の戯れ」は、丁寧かつ流れのある構成。広い音域を縦横無尽に動きながら、水が勢いを増して流れる様子をきめ細かに描き出した。

『辻井伸行 オンライン・サロンコンサート』

今回の筆者の視聴環境は、デスクトップパソコンから音声の出力はUSB-DAC→アンプ→スピーカー、そしてサブウーファーを使用。高い解像度を感じさせる満足のいく音質。クリアな映像と、非常に自然な音の広がりを楽しむことができた。これぞオンラインの「特等席」感。

今回の配信コンサートシリーズにはアーカイブ視聴期間があり、チケットを購入すれば24時間は自由に視聴できるのだが、配信開始の午後8時にアクセスすると、「今、同時に何人もの視聴者といっしょに、この時間を楽しんでいる」という感覚が、とても心を高めてくれる。チャット欄を見ると、演奏に寄せられるコメントが次々と並び、喜びやの言葉やポジティヴな反応に、こちらの喜びも大きくなる。通常のコンサートでは、他の聴き手と言葉を交わすなど不可能だ。感動をリアルタイムで伝え合えるのは、オンラインならではの楽しみでもある。

『辻井伸行 オンライン・サロンコンサート』

前回、辻井のオンライン・サロンコンサート第2夜はオール・ショパン・プログラムであったが、今回はまた違った選曲でショパン作品も聴かせてくれた。まずは練習曲作品10-3 「別れの曲」と、「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」作品22である。

辻井は「別れの曲」でも主要部は淡々と響かせ、中間部では激しい感情のほとばしりを垣間見せ、音楽的な起伏を見事なグラデーションによって聴かせた。

『辻井伸行 オンライン・サロンコンサート』

「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」では、前半の「アンダンテ・スピアナート」のメロディーラインは可憐に、なおかつはっきりとした音色で歌いあげ、左手のアルペジョを基調とする伴奏はどこまでも柔らかく寄り添う。頭上カメラの映像は、辻井の右手がリリカルに歌う歌手、奥行きある伴奏を担う左手がオーケストラ陣営のように見えてくるから面白い。ポロネーズ部に入るとエッジの効いたリズムが勇壮であるが、辻井は同時に終始エレガントな香りを漂わせることも忘れない。「華麗なる」装飾にも濃淡がつけられ、無用な派手さのない芳しいポロネーズ。会場には、関係者だろうか、少人数の聴衆がいるようであるが、大きな感動を呼んでいることが拍手の音量で伝わった。画面の前で思わず拍手を送った視聴者も少なくなかっただろう。

プログラムの締めくくりはリストの名作を3曲。「慰め」第3番、「愛の夢」第3番、「ラ・カンパネラ」という王道の選曲。

『辻井伸行 オンライン・サロンコンサート』

手元カメラが伝えるのは、演奏前に辻井が鍵盤を静かにタッチして、入念に位置を確認をする仕草。そうした映像も、音楽の世界へとつなぐ導入の時間として味わい深い。「慰め」は優しく、そしてたっぷりとした余韻を含ませた。「愛の夢」はやはり淡々と歌を開始し、スッキリとしながらもドラマティックな山場を持たせた。「ラ・カンパネラ」は「超絶技巧」をむしろ感じさせない軽やかなタッチと、主旋律を小粋に聴かせる歌心があり、伴奏の三拍子もチャーミング。技巧的であればあるほど、優雅さと軽やかさを増してゆく。だがフィナーレは苛烈な勢いで締めくくった。

鳴り止まない拍手の中再登場。深々とお辞儀を繰り返したのちに、驚きの発表が!

「実は今日はスペシャルゲストが来てくれています。ヴァイオリニストの三浦文彰さんです」

『辻井伸行 オンライン・サロンコンサート』

三浦が楽器を手に、颯爽と笑顔で登場! 久しぶりの共演で披露してくれたのはフランクのソナタから第4楽章だ。艶やかに、語るような三浦のヴァイオリン。きめの細かいヴィブラートや、音の立ち上がりのヴァリエーションもよく届く。辻井のピアノとの語らいが、ときに優しく、ときに激しく奏でられる。終盤の力強さは鳥肌もの。両者の音のバランスも最高に素晴らしい。三浦は「2月の終わり以来、今日は初めて人前で演奏をしましたが、辻井君と一緒にできてうれしい」とコメントした。

そして二人はもう一曲披露! 三浦の演奏で話題を集めたこの曲、NHK大河ドラマ『真田丸』(2016年)のメインテーマだ。奇しくもこの時間はNHK大河ドラマの放映時刻。新型コロナウィルスの影響で撮影が一時止まっている『麒麟が来る』に代わって、特集番組「『麒麟がくる』までお待ちください 戦国大河ドラマ名場面スペシャル」が放送されていた。ドラマティックな音楽の展開に応じて勇ましさと美しさに溢れる演奏に、自宅での日曜夜のひとときがゴージャスなものとなった。

大きな反響をもたらしている辻井のオンライン・コンサート。7月4日(土)夜8時からの追加公演が決まり、なんと三浦との共演で生配信がなされることになったという。こちらもぜひ、楽しみたい。

文:飯田有抄

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