火坂雅志・村井弦斎、平塚の人気作家2人を偲ぶ 慈眼寺で4年ぶり墓前祭〈平塚市〉
平塚が誇る2人の人気作家、火坂雅志と村井弦斎を偲ぶ合同の墓前祭が2月26日、慈眼寺(豊田打間木)で4年ぶりに営まれた。
村井弦斎は明治期に活躍した大衆作家。ベストセラー小説『食道楽』の著者で現在の平塚駅南口に居を構えていた。
火坂雅志(本名・中川雅志)はNHK大河ドラマの原作『天地人』を執筆した歴史作家。妻・洋子さんが生まれ育った平塚に暮らし、2015年に58歳で亡くなった。
弦斎を敬愛していた火坂は、弦斎が主人公の小説を執筆し、弦斎の屋敷跡のマンションに住んでいたことも。墓前祭「弦斎忌」の実行委員長も務めた。このような縁もあり、火坂の墓は弦斎が眠る慈眼寺に建てられた。
火坂が亡くなった後、「弦斎忌」の実行委員会メンバーが中心となり、火坂を偲ぶ墓前祭を開こうと奔走。元平塚市長の吉野稜威雄氏が実行委員長を務め、2016年から火坂の命日である2月26日に火坂を偲ぶ「酒椿忌」を「弦斎忌」と合同で開いている。妻の洋子さんによると「酒椿忌」とは酒と椿を愛した火坂の雅号が由来という。
コロナ感染症で4年ぶりの開催となった墓前祭には、政財界や文化関係者ら約20人が参列した。洋子さんは「懐かしい顔を拝見できてうれしい。弦斎も夫も、ようやくこの日が戻ってきてほっとしていると思う」と謝辞を述べた。
平塚で食や文化に携わる専門家がそれぞれの立場で火坂との思い出や弦斎に関する話題を紹介するなどして、参加者らは交流を深めた。実行委員長の吉野氏は「(この墓前祭は)途絶えさせてはいけない。次世代につなげる体制づくりをしていきたい」と語った。