<プリンスリーグ東海>首位を走るジュビロ磐田U-18のMF高澤海志とDF平岩煌麻をピックアップ!
サッカーの高円宮杯U-18プリンスリーグ東海でジュビロ磐田U-18が2連勝で首位を走っている。トップチームデビューを果たした石塚蓮歩(れあ)を中心とした派手な攻撃に注目が集まる中、シズサカ編集部が今回ピックアップしたのはMF高澤海志(かいと)とDF平岩煌麻(こうま)。いぶし銀の活躍を見せる2人を紹介する。
MF高澤海志(ジュビロ磐田U-15出身)
どんな局面でも涼しげな顔を崩さず、淡々と、冷静に、高いレベルで自分がやるべき仕事をこなしていく。理想に掲げる選手はバルセロナのMFペドリ。「あの落ち着きと余裕。めちゃめちゃ参考にしています」と笑う。
U-17静岡県選抜のメンバーとして3月のヤングサッカーフェスティバルに出場した時はボランチに入って巧みなゲームメークを披露したが、ジュビロ磐田U-18では今季から中盤右サイドが定位置になった。
スピードでぐいぐいと縦突破を図るサイドアタッカーとは違う。周囲と関わりながらボールを運んで得点に絡むのが持ち味だ。プリンスリーグ第1節の帝京大可児戦では、つなぎに加わった後にゴール前に走り込んで1得点。第2節の東海大翔洋戦では、相手の最終ラインの背後に精度の高いクロスを放り込んでエース石塚の先制点をアシストした。
今、高澤を突き動かしているのは「絶対に見返したい」という思いだ。今季はトップチームの練習に呼ばれることを期待していたが、1月の鹿児島キャンプでは声が掛からなかった。お呼びが掛かったチームメートのMF石塚蓮歩とDF甲斐佑蒼の2人はその後、Jリーグ公式戦出場が可能となる2種登録をつかみ、石塚は一足先に公式戦デビューも果たした。
「悔しかったです。2種登録された選手に負けないように頑張らないと」
昨年は左膝と腰の故障で4か月ほど痛みが続き、ほとんど満足のいくプレーができなかったという。「やっと自分本来のプレーが戻りつつあるので、高い目標を持って、トップチームに行ってもやれるぞっていうことを示さないといけない」と自身に言い聞かせる。
浜松市出身で、小学3年の時に富塚サッカースポーツ少年団からホンダFCのジュニアチームへ。中学進学時にジュビロ磐田U-15に合格し、2年時にはナショナルトレセンに呼ばれたことも。
今季ジュビロ磐田U-18の監督に就任した安間貴義監督は、高澤のテクニックを認めつつも「相手の嫌がる選手になってほしい。足元でこちょこちょやっているだけではトップチームには呼ばれない。相手の背後に出ていって何ができるか」と課題を与える。
「彼は本当はボランチをやりたいはず。でも今は右サイドでチームに変化を加えることができるし、チームに時間を与えてくれている。サッカーをよく理解しているので中央でプレーしてもらうこともあるが、今、(高澤のいる)右サイドを止めることができたチームはない」。本人のためにもチームのためにも、今季はサイドを主戦場にさせる考えだ。
ライバルでもある仲間たちに少しだけ先を行かれたが、高澤自身も前向きにチャレンジしていくつもりだ。「プロで戦うにはまだまだ足りないものが多いので、いつか即戦力として獲得してもらえるように成長していきたいです」
DF平岩煌麻(ジュビロ磐田U-15出身)
2年生ながらセンターバックとして最終ラインに入り、ひたむきに体を張ってゴールを死守する。身長は179センチ。「ヘディングと対人プレーでは誰にも負けないように意識しています」。勇気と強さを売り物にするプレーヤーだ。
島田市の五和スポーツ少年団からジュビロ磐田U-15に入り、2年時にナショナルトレセン入りした。中学時代は島田から磐田の練習に通っていたが、現在は寮暮らし。プロを目指してサッカーと真摯に向き合う日々だ。
安間監督の就任で、チームにはハイラインを保つ意識が植え付けられている。前からぐいぐいとプレスを仕掛ける戦術のため、センターバックにも運動量が求められているという。参考にしてきた選手は、クラブの2つ上の先輩だったDF渥美慶大(現東京国際大1年)。「ヘディングや判断を教えてもらいました。一番尊敬しています」と目を輝かせる。
無骨なプレーとは対象的に、ピッチの外ではあどけない笑顔をのぞかせる。「全員でプレミアリーグに昇格するという目標に向かっていきたいです。自分もどんどん成長して、スタメンで出場してチームの勝利に貢献したいです」。昨年はプリンスリーグで1試合の出場にとどまったが、今年は主力としてチームを引っ張っていくつもりだ。(シズサカ編集部・南部明宏)