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ジュビロ磐田、逆転昇格を勝ち取るためのラストシックスへ

アットエス


<サッカージャーナリスト・河治良幸>
2025年のJ2リーグは残り6試合。ジュビロ磐田は現在8位(勝点51)で、プレーオフ圏内を射程に捉えつつも、自動昇格が可能な2位との差は8と開いており、ここから1試合1試合の結果が昇格への命運を左右する。

磐田の残り試合は、徳島(H)、愛媛(A)、長崎(H)、山口(A)、山形(H)、鳥栖(A)で、特に徳島、長崎、鳥栖は昇格争いを演じるライバルとなる。一方で、愛媛は今週末の結果次第でJ3降格が確定する可能性があり、山口もかなり厳しい状況にある。

安間監督は代表ウィーク前の第32節で、大半の上位チームが勝点3を獲得した状況を踏まえ、「(甲府に)勝っても何も変わっていないし、試合数も減っていく。やり続けないと最後まで残れないのが現状」と冷静に語りつつ、昇格への希望を託された以上、ここから全試合で勝利を積み重ねる覚悟も示した。

守備面の改善については、「裏をすごく取られていた状況から、失った瞬間に切り替え、カウンターもほとんど許さなかった」と手応えを口にする。さらに攻守両面での体力強化にも着目。「ボール回しで時間を無駄にしたくない。ダッシュして止まり、ダッシュして止まる。その中で細かくターンしなければならないトレーニングで体を作り直している最中です」と語り、トランジションにおけるスピードと精度を高めるため、高強度の練習を継続している。

チーム全体の意思統一にも触れ、「(原理原則を)刷り込むしかない。選手も『これが普通なんですね』と理解してくれている」と、日々のトレーニングで求める動きを選手に体感させる方針だ。約束事については理論的に説明しつつ、試合の流れで固執せず柔軟に判断できるよう指導するのが“安間方式”である。

主力のサイドアタッカーである倍井謙は「自分たちの勝利でしかプレーオフのチャンスはありませんし、自動昇格がどうなるかは分かりませんが、勝つことでしか次に進む道はない。周りを気にするより、自分たちがどういうサッカーをして目の前の相手に勝てるか、そこに集中するべきだと思います」と語る。

残り6試合で勝点を積むには、上位との直接対決をどう戦うかが鍵となる。徳島、長崎、鳥栖との試合は特に重要であり、ホームで迎える徳島戦は勝点差を縮めるチャンスだ。逆に敗れれば、プレーオフ圏内での戦い方も変わってくる。ただ、磐田は下位相手にことごとく勝ち点を落としてきた経緯もある。そのため、愛媛、山口、山形を相手に勝ち切ることも、安間体制で引き継がれた課題である。

安間監督は交代策についても明確だ。「スタートで出る選手はスタートの仕事をしっかりやること。裏にボールを出し、走ってチャンスを作る。出た時間で全力を出し切ることが大事」と選手に伝え、戦況に応じた柔軟な起用でチームの戦力を最大化しようとしている。甲府戦で後半から投入されて、勝利に貢献した倍井も「前線の選手は90分出す考えはあまりないと伝えられています。その中で自分が出た時間でどれだけ100を出し切れるかが大事ですし、スタートから出たとしても、体力を残しておく必要もない」と割り切る。

チームとしては、守備の安定とボール保持の両立が進み、甲府戦では「失った瞬間に切り替え、カウンターもされず、蛇行させて時間を作ることもできていた」と評価された。もちろん、ジョン・ハッチンソン前監督の戦い方が全て悪かったわけではない。しかし、相性や調子によってパフォーマンスが安定しなかった試合もあったため、どの試合でも勝ち点3を狙える戦いをすることが、安間監督に求められる課題である。

現在、J2は首位の水戸と2位の長崎がやや抜け出しているが、3位の千葉から8位の磐田まで勝ち点4さと混戦状態。自動昇格には勝点70前後が必要とされ、プレーオフ圏(6位以内)には60~62が目安だ。客観的に見て、磐田は勝点61(現在の51から+10)程度でプレーオフに滑り込める可能性はあるが、徳島戦を落とすと大きく後退することに。どの試合も重要だが、やはりホームで徳島に勝たなければ先が見えてこない。

勝敗は最後までわからないが、残り6試合を通じて得られる経験、練習で培った連携、戦術の定着、そして“0-0の時間を嫌がらない”という安間監督の理念が選手に浸透し、先制されずにチャンスを逃さずリードを奪えるか。勝負どころでの選手交代も、鍵を握りそうだ。

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