猫にとって『トラウマになるNG行為』3選 凶暴化や粗相…心の傷が引き起こすトラブルも
1.暴力でしつける
猫は好奇心旺盛な動物なので、高いところに登ったり物を壊してしまうことがあります。しかし、だからといって暴力でしつけようとするのはご法度です。猫にとって強いトラウマとなり、想像もしていない問題行動を引き起こしてしまうかもしれません。
そもそも、猫へのトレーニングは非常に難しいといわれています。暴力や叱咤などの罰を与えたところで、それを「イタズラ」と結びつけることができないためです。その結果、「飼い主が突然怒り出した」という恐怖心だけ与えてしまうことになります。
叩くふりをしたり、名前を呼んで叱ることもよくありません。飼い主の手や自分の名前を「怖いもの」と学習してしまい、撫でようとしたり名前を呼ぶたびに警戒するようになってしまうためです。
危ないところに登らないようキャットタワーを設置する、口に入れると危険なものは棚の中にしまうなど、イタズラできない環境作りに努めましょう。
2.大きな音を出す
人間と比べて約3倍も聴覚が優れているといわれる猫は、大きな音が苦手です。もともと暗闇で獲物を待ち伏せて狩りをしていた習性があるため、聴力が発達したという経緯があります。とくに天敵を連想させる低い音や、緊張感が高まる切羽詰まったような音が苦手です。
日常生活では、掃除機やドライヤーなど電化製品の音を嫌う傾向があるといわれています。インターホンが鳴るたびに逃げ惑う猫もいるようです。また、家族間のケンカによる大声や物音で怯える猫もいます。
猫と生活する上では、なるべく大きな音が出ない環境を作ってあげることが大切です。花火や工事など、防ぐのが難しい場合もありますが出来るだけ大きな音が聞こえないように対応しましょう。
小さな子供がいる家庭では、猫のリアクションが面白くてわざと大きな音を立てる、などというようなことがないよう注視したいところです。
3.長時間のお留守番
猫は比較的留守番が得意な動物ですが、あまりにも長い間ひとりでいるとストレスになる可能性があります。人間の子供と同じように、飼い主に甘えたり遊んだりできないことに寂しさを感じるためです。この状態が長く続くと、ひとりになることにトラウマを感じることがあります。
とくに、行動範囲の確保には気を付ける必要があります。ケージの中に入れっぱなしだったり、ベッドやタワーなどの落ち着ける場所がなかったり、猫の欲求を満たせない環境ではストレスが溜まってしまいます。また旅行などで一泊以上家を空けるときは、水やフードの劣化具合もストレスの要因になります。
猫がさみしさを抱えているときは、ずっと隠れている、ニャーニャー鳴いて訴えるなどのアピールをすることがあります。強いトラウマになる前に、この時点で気が付いてあげられるといいでしょう。
心の傷が引き起こすトラブル
積もりに積もった心の傷が、思わぬ形で露見してくることがあります。トラウマを抱える猫が起こしがちなトラブルを見ていきましょう。
攻撃的になる
暴力や大きな音で恐怖心が募ると、自己防衛本能から攻撃的になることがあります。ひとり時間が長くてイライラしていることもあるでしょう。
突然飼い主の手を引っ掻いたり、同居猫に噛みつくようになったときはストレスサインかもしれません。
排泄を失敗する
大きなトラウマが体の不調を引き起こすこともあります。精神的な問題によりオシッコが減少したり、下痢をしたりすることがあります。
また、飼い主にアピールするために、わざとトイレを失敗することもあります。
同じことを繰り返す
人間でいう「強迫性障害」と同じように、意味なく同じ動作を繰り返すことがあります。布類を食べてしまったり、自分の毛を執拗に舐めてしまうなどです。もちろん根本には病気が隠れていることがありますが、何も異常がない場合は環境を見直して整えたり、お薬を使ったり、治療を行うこともあります。
まとめ
今回は、猫にとって「トラウマになるNG行為」について解説しました。
もし猫の心を傷つける行為をやってしまったら、まずは猫の行動に変化がないかじっくり観察しましょう。トラウマを解消して信頼関係を取り戻すためには、なるべく猫のペースに合わせて生活することが大切です。
仲直りしようと無理に構ったりせずに、猫から近づいてくれるのを辛抱強く待ってください。
猫から距離を縮めてくれたら、優しく撫でてあげたり遊んであげたりすれば、あなたに対する恐怖心が少しずつ和らいでいくはずです。
(獣医師監修:加藤桂子)