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土屋理敬① ヒーローに近づけたような気がした『タイガーマスク』

Febri

Febri TALK2022.05.09 │ 12:00

土屋理敬脚本家

①ヒーローに近づけたような気がした
『タイガーマスク』

人気野球アニメ『MAJOR』から『かみさまみならい ヒミツのここたま』のような女の子向けのアニメまで、幅広い作品でシナリオを手がける土屋理敬。そのルーツに迫るインタビュー連載の第1回は、幼少期の土屋に大きなインパクトを残したというプロレスアニメについて。

取材・文/宮 昌太朗

タイガーマスク

黄色いバスタオルを背中にかければ、タイガーマスクのマントになる

――子供の頃は、アニメをよく見ていましたか?
土屋 ものすごくハマっていたわけではないですが、比較的よく見ていたほうだったんじゃないかと思います。当時は「テレビまんが」と呼んでいましたが、毎日のようにテレビをつけて、なんとなく見ていたというか。それこそ『魔法使いサリー』とか『天才バカボン』、男の友達の間では特撮番組の『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』で盛り上がっていました。

――今回、1本目に挙げた『タイガーマスク』ですが、どれくらいの時期に見ていたのでしょうか?
土屋 幼稚園の頃だと思います。初めて「これは好きだ!」とハマって見ていたのが『タイガーマスク』ですね。当時は、仮面ライダーやそこに出てくる怪人のソフビ人形が発売されていたんですが、そんななか、僕は『タイガーマスク』に登場するレスラーのソフビ人形を集めていて。ひとつ上の従兄弟と一緒に、『タイガーマスク』ごっこをよくやっていました。当時、黄色いバスタオルを使っていたんですけど、それを風呂上りにバサッと背中にかけると、ちょっとタイガーマスクのマントみたいなんです(笑)。「俺は今、タイガーなんだ」って、自分が少し近づけたような気がしました。

――自分自身がフィクションの中のヒーローになれたような。
土屋 思い返すと「自分がなれるかもしれない」と思えるかどうかが、フィクションにハマる大きな要因だったような気もします。たとえば、『仮面ライダー』なら「自分もいつか改造人間になれるかもしれない」、『タイガーマスク』なら「プロレスラーになってマスクを被ればタイガーマスクになれるかもしれない」と思えるかどうか。そうするとヒーローが自分に近い存在に感じられて、それでハマったのかなと思います。

――『タイガーマスク』の中で、印象的だったエピソードや登場レスラーというと?
土屋 いちばん印象に残っているのは、虎の穴の悪役レスラーで、虎のマスクを被った3人が出てきたエピソードですね。ビッグ・タイガーとブラック・タイガー、キング・タイガーの3人が、それぞれ力とスピードと反則技のスペシャリストみたいな感じで登場してきて。それこそ「タイガーマスクが悪役になってしまった!?」というインパクトがあって、強烈におぼえています。それまではタイガーマスクがいちばん強くてカッコよかったのに、まさか敵側から同じマスクのレスラーが出てくるなんて……。タイガー対タイガーという構図に、すごく盛り上がりましたね。

同じマスクのレスラーが登場して

タイガー対タイガーという

構図にすごく盛り上がった

――『タイガーマスク』は梶原一騎のマンガ(作画は辻なおき)が原作ですが、そちらも読んでいましたか?
土屋 はい、読んでいました。小学校の高学年くらいになると、だんだんと興味がマンガに移り始めて、アニメと距離を置くようになるんです。そういえば、『タイガーマスク』が好きだったせいか、乗り物だったり、メカニックなものには小さい頃からあまり興味が持てなかったんですよ。それこそ映画の『マジンガーZ対デビルマン』が公開されたときも、周りがマジンガーZ派なのに対して僕は断然、デビルマン派で(笑)。ロボットに親しみが感じられないというか、己の肉体で戦っている人が好きだったんです。

――とはいえ、世の中的にはロボットアニメブームの真っ只中ですよね。
土屋 そうですね。小学校から中学校に上がるくらいのタイミングで『宇宙戦艦ヤマト』のブームがやって来て、そのあたりまではなんとなく見ていたのですが、そのあと『機動戦士ガンダム』が来たときに、完全に自分の中で「違う」と思ってしまうんです。もちろん、『機動戦士ガンダム』は世界観や設定の作り込みがすごくて、まったく子供だましではない――これまでのロボットアニメとは全然違うと感じてはいました。でも、当時は中学生だったから、ひねくれていたのかな。批判するつもりはまったくないんですけど、僕自身は乗れなかったですね。

――年齢的にはいちばんハマりそうな感じもあるんですが……。
土屋 そうですね。ハマる人はここからガツンとハマっていくんでしょうけど、僕はこれくらいの時期にアニメと距離ができてしまうんです。

――ちなみに『タイガーマスク』以降は、どんなマンガにハマりましたか?
土屋 『タイガーマスク』のあとは『あしたのジョー』にハマって、それから遅ればせながら梶原一騎さん原作の『巨人の星』を読んで好きになったり。もちろん、『うる星やつら』だったり、他のみんなが読んでいたものも楽しんではいましたが、スポ根マンガはひと通り読んでハマりましたね。『がんばれ元気』が大好きで、高校の頃にはボクシングジムに通ったりもしました。

――それはダイレクトに影響を受けていますね(笑)。
土屋 やっぱり子供の頃から、自分を投影できるものに影響を受けていたんだと思います。そもそも僕は、運動が得意ではなかったんです。ケンカもしたことがないくらいだったんですけど、どういうわけか自分で身体を動かすことは好きで。きっと「そうありたいな」という気持ちが、自分の中にずっとあったんじゃないかな、と。だからこそスポ根マンガが好きで、読んでいたんじゃないかなと思うんです。

――自分の作品の中に『タイガーマスク』の影響は残っていると思いますか?
土屋 どうなんでしょう……さすがに子供の頃に見たきりなので、脚本の流れやストーリーはちゃんとはおぼえていないですね。ただ、悪いヤツが登場したりとか、主人公がコーナーポストに立っているとか、そういう見せ方みたいなものは、どこか根付いている気もします。リアリティというよりは、歌舞伎的な世界が自分の中にはあるのかもしれません。

KATARIBE Profile

土屋理敬

脚本家

つちやみちひろ 1965年生まれ、東京都出身。脚本家。1996年に放送された『バケツでごはん』でアニメ脚本家としてデビュー。近年の参加作品に『メジャーセカンド』『Lostorage incited WIXOSS』『アイドルタイムプリパラ』など。

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