夏アニメ『令和のダラさん』田村睦心さん×津田美波さん×寺澤百花さんインタビュー|「関西弁祭り」に苦戦!? ホラーとギャグが共存する唯一無二の魅力
山奥の集落にある立ち入りを固く禁じられてきた“忌み地”。その山々を代々管理する三十木谷家に生まれた日向と薫は、嵐の夜、禁忌の地に踏み入り、半人半蛇の身体と6本の腕を持つ祟り神・屋跨斑(ヤマタギマダラ)と遭遇する。だが、屋跨斑を恐れるどころか、“ダラさん”と呼び、懐いてしまった2人。ダラさんは、2人に振り回され、気づけばツッコミ役になっていた――ー新感覚オカルト&コメディ TVアニメ『令和のダラさん』は、毎週木曜22:30より放送中!
屋跨斑/ダラさん役の田村睦心さん、三十木谷日向役の津田美波さん、三十木谷薫役の寺澤百花さんに、アフレコ現場で作品の魅力やアフレコでのエピソードを聞いた。
別現場で田村さんが監督に頑張ってくださいと言われた理由
──原作を読まれた印象をお聞かせください。
屋跨斑/ダラさん役 田村睦心さん(以下、田村):現代の面白いギャグパートも面白いですが、時折織り込まれるシリアスパートがしっかりおどろおどろしく、読んでいて引き込まれました。それに途中で切られるので続きも気になります。
──ダラさんの過去回想パートが、途切れ途切れで描かれていくんですよね。
田村:昔の話と現代の物語が入り乱れてバランスを保っているのがとても良いんです。ですが昔のダラさんの話だけでも、現代とは一旦切り離して、まとめて読んでみたくなるくらい気になりました。
──意外と内容もヘヴィですからね。
田村:姉巫女や両親がクズなんです。ただ昔であれば、そういう理不尽も多くあったと思うので、人間にはこういう怖い面もある、という気持ちになりました。
三十木谷日向役 津田美波さん(以下、津田):私は、ともつか治臣先生のイラストがすごく魅力的だなと思いました。緩いところは緩く、怖いところは怖く、エロいところはエロい。体の線の描き方も、先生もちょっと変態なのかな?と思ったりしました(笑)。
田村:フェチでしょ?
津田:そう! フェチズムを感じるんですよ。この、むちっと感というか。
田村:肉感だよね。
津田:その肉感が絶妙なエロさを醸し出しつつ、そのエロスを持ちながらホラーを描くから、怖さもそこに乗っかるんですよね。緩さと怖さが絶妙にマッチしているから、すごく魅力的なんです。
三十木谷薫役 寺澤百花さん(以下、寺澤):私は、ストーリーもキャラクターも全て一筋縄ではいかない感じが、読んでいて飽きないなと思いました。たとえば私が演じている薫は、おとなしくて可憐な子かと思いきや、めっちゃ快活でエロガッパなガキなんです(笑)。日向もいろいろギャップがあるし、ダラさんだって怖い見た目なのに、中身はめちゃめちゃ優しかったりする。キャラクターひとりひとりにテンプレート的なものがないんですよね。ストーリーも、シリアスな過去編と、ギャグもある現代パートでギャップがあって、すごく面白かったです。
──この作品はオーディションだったのですか?
田村:オーディションでした。テープだけだったよね?
津田:はい。テープだけでした。
──そのときから方言をしゃべる感じだったのですか?
津田:いや。「方言があるかもしれません」という話は聞いていたんですけど、オーディションは方言なしで、声の雰囲気とお芝居を重視して録って、受かったら方言を頑張ってください、みたいな感じでした。
田村:私は、別の作品で鈴木理人監督にお会いしたタイミングで、挨拶をしていただいたのですが、「本当にダラさんは大変だと思うので、頑張ってください」と言われました。そんなに大変な作品だったかと思いながら、第1怪の収録に行くと関西弁祭りが開催されていましたね。ただ、主にきょうだい2人で、私は関西弁ではなかったので安心しました(笑)。
津田:ダラさんの難しいところは、古い言葉を使わなきゃいけないところですよね。漢字も何て読むんだろうというのが多いし、翌朝と書いて「よくちょう」と読んだりするんです。それをダラさんは使いこなさなければいけないから、私たちとは違う大変さがあったと思います。
寺澤:ダラさんは毎回、説明とか長セリフが多いので、本当に大変そうだなと思いながらアフレコをご一緒していたんですけど、ものすごく上手に演じられるので……。
田村:ありがとうございます。
寺澤:すみませんすみません。あの、すごく語彙力がなくて……。
噛まずにこう、つらつらっと言われているのが、すごすぎる!と思っていました。
田村:テストのときは噛むこともありますが、本番は噛まないよう頑張っていました。
──方言など、演じる前のハードルが高かったのですね。
田村:準備することは多い作品でしたね。
津田:関西弁の指導の方のガイドを聞きながら、映像を見て合わせていくみたいな感じでした。それだって、音をそのまま繰り返すのではなく、お芝居をしないといけないから、他の作品の倍くらい時間がかかっていたかもしれないです。
──関西弁って、感情によってもイントネーションが変わったりしますよね?
津田:そうなんですよ! 自分の耳と記憶に入れてきたもので出力したら、「その感情ならこっちかもです」みたいな修正が当日入るんです。それで頭が真っ白になることもありました。
ダラさんを怖れないきょうだい2人のお芝居
──それでは、キャラクターをどのように演じていったのかをお聞かせください。まず、ダラさんは半人半蛇の祟り神・屋跨斑(ヤマタギマダラ)で、おぞましい見た目とは裏腹に、温厚かつ理性的で、現代の文明にも適応しているキャラクターです。
田村:ダラさんは、怖いところは本当に怖いのですが、かわいらしいところもあり、それも「させられている感」があります(キーヴィジュアル2参照)。ノリがいいわけではないものの、結果ノリよくさせられてしまっているといいますか。だからこそ本当に根が良い人なのだと思いました。本来は大怨霊で、能力も高いはずですが、日向と薫が絡んでくれるのが、どこか嬉しいんでしょうね。だから無下にはできず、恥ずかしくても、変なポーズもしてしまうのだと思います。
演じる上ではツンでもなく、意外とデレが強めに伝わればと思っていました。
──お二人は、田村さん演じるダラさんから、人の良さみたいなものを感じていたのですか?
津田:もちろん。本当にぴったりなんです。
寺澤:ダラさんにツッコまれると嬉しいんです。
田村:良かったです。じゃあどんどんツッコんでこう。
津田:ホラーの塩梅がダラさんなんですよね。怖過ぎないで、どこか安心感があるというのが、睦心さんの持ってらっしゃる声質なのかはわかんないんですけど、どこかホッとするんですよね。ダラさんって良い人なんだよねというのが、声からにじみ出ているんです。
寺澤:本当にそう思います!
田村:ダラさんの過去編はホラーで、恨みもありますが、すべてを恨んでいるわけではないんです。どちらかというと、裏切られて寂しいや悲しいという気持ちだと思うので、怖がらせてやろうと思ってはいません。怪異という扱いではありますが、この村を守りたかったというような気持ちが、伝わっていたらいいですね。
寺澤:めちゃくちゃ伝わってます!
津田:だからダラさんが怖いというより、ダラさんのまわりで起こっていることのほうが怖いという感じなんです。霊的な強さよりも、人のほうが怖いっていう。
──三十木谷日向は、屋跨斑を祀る山の山守を務める家系に生まれた中学2年生の子ですが、霊感がめちゃくちゃ強いという特徴があります。
津田:霊感は薫よりも強いんですけど、ボーイッシュなので、緩さとかっこよさの塩梅を大事にしていました。第1怪のアフレコでキャラクターを決めていくときに「もうちょっとかっこいい感じで」というディレクションがあったので、頼れる感みたいなところを調整して決めていきました。
ただ、いい意味でナチュラルというか、自然体で演じるようにはしてて、ダラさんという怖い妖怪を相手にしているにも関わらず、きょうだい2人は自然体でいるというのが、この作品の良いところなんですよね。だから、ダラさんに対して怖いとか、そういう感情は乗せずに演じていました。
──霊感が相当強いから、全部視えているんですよね。
津田:そうですね。だからダラさんだけでなく霊的なものに対して慣れているんです。そういうこともあるよねぇくらいの感じが、本当に令和っ子なんですけど(笑)、きょうだい2人とも、受け入れ態勢ができているからこその自然体なんだと思います。
寺澤:日向って緩い感じがするというか。この緩さがナチュラルなんだなと、今結びついた感じがします。テンションは高いけど、薫よりは落ち着いているところがあって、本当によくいる中学生感があるんです。きょうだいだから似ている部分もあるんですけど、いざとなったときにちょっとキリッとするところは、上の子として下の子を守りたいみたいな気持ちがあるからなんだろうなと思いました。その緩急が本当にすごくて、掛け合っていて安心感がありました。
──大人たちが恐れているところで、まったく動じていないきょうだいのコントラストが面白かったです。はっきり視えているから、大人より怖くないというのもあると思いますけど。
津田:このきょうだいは肝が据わっているんですよね。怖いことが起きても、きちんと対処しているし、どうにもならないときはダラさんに出てきてもらうし。
田村:自分の力もよくわかっているよね。それに悪いものや良いものへの感度も敏感で、同じ霊的なものでも、危険なものは危険だと察知ができるんです。
津田:だから、ダラさんも最初から良いものだと感じ取っていたのかもしれないですね。しかもお化けとか妖怪とか、そういう感じには扱わず、人間として扱っている感じがするし。
田村:友達のような雰囲気だよね。
津田:もしくは推しとか、萌えの対象みたいに捉えているのかもしれないです。2人がそんなふうにダラさんに接しているから『令和のダラさん』ってホラーな部分があっても、まったりするのかなぁと思っています。
田村:本当にダラさんに対して、変な特別感がなかったんです。接し方にもいろいろあり、本来怖いもののはずで、近づかせないために怖がらせてもいたので、「今日ご機嫌どうですか?」と、おべっかを使う方法もあったと思います。もしくは、何となく言葉の端々や態度に「あ、すごく気を遣われている」というのが出るとか。ですが、薫は少し変わった子で、日向は友達というか。近所にいる格好いいお姉さんと仲良くするような距離感で接してくれて、それがお芝居からも伝わってきます。だから思わずツッコんでしまうし、ツッコむから、どんどん神秘性も失われていくんです。そうやって自然と引き出してくれるのが日向のしゃべり方なのかなと思います。
津田:こんだけ散々褒めてもらって今言うのは恥ずかしいんですけど、声をめちゃくちゃ作るとかはしてないから、日向と私ってちょっと似てるのかなというのは割と感じていたんです。緩さとか、どんな人に対してもフラットに行ってしまうところとかも、今お話を聞いていて、私も普段、あまり考えずに人と接しているんですよね。だから私自身もナチュラルに日向を演じられたのかもしれないです。
田村:そのまま素直に津田ちゃんの気持ちが出ているように感じて、いい意味でお芝居してないような感覚がありました。お芝居している雰囲気が強すぎると、こちらも身構えてしまいますが、身構える必要がないので、私も自然体で演じられます。キャラクター作りをしているところはあるにはあるけれど、掛け合いをしているときは、そんなにキャラ作りをしてないのかもね、私たち2人は……。
田村・津田:……私たち2人は(笑)。
田村:これでキャラ作りをしてないと寺澤ちゃんが言ったら驚くけどね(笑)。
津田:私、すごく薫なんです〜って言ったら、
田村:そ、そうなの!!??となるよね。
寺澤:あはははは(笑)。
──先ほど、田村さんも変わった子と話していましたが、金髪碧眼の美しい容姿が特徴の薫に関してはいかがでしたか?
寺澤:薫に関しては、見た目と180度反対なキャラクターなんです。本当に小学5年生とは思えない癖(へき)を持っているので、最初に監督から言われたのは「こんな見た目だけど、日向よりもすごく活発で明るいキャラクターで、とにかく変です」ということで(笑)。
演じていくと、その変がどんどん更新されていくような感覚がありました。あと、オーディションの原稿を読んだときは、意外と魔性なところがあると思いましたね。それは筆木先生(CV.杉田智和)とのシーンなんですけど。そのほかには活発なところやギャグシーンが抜粋されていたので、かなりはっちゃけないといけないんだな!という印象はオーディションのときから持っていて、それがプレッシャーに感じているところがありました。
──幅広いところが求められているということですか?
寺澤:というより、原作の薫を原作らしく面白くできるかは、自分次第だと思うところがあったんです。最初は第1怪の大人しそうな雰囲気の薫のテンションにずっと引っ張られてしまって、「もうちょっと元気よくできますか?」というディレクションもあったんですけど、薫のことをだんだん理解するようになってからは、絵以上のテンションでいこう!という意識を持つようになってきて……。
津田:最近「もうちょっと抑えて」と言われてたよね(笑)。
一同:(笑)
寺澤:アドリブをやりすぎてしまって「ちょっとそれは……」と。
田村:本当はテストの薫も見てもらいたいんです。すごかったんですよ(笑)。
──テストからはっちゃけていたんですね。
寺澤:はい。テストなのでギリギリを攻めていこうと思って。
田村:言ってはいけない魔法を言ってみたりね(笑)。
寺澤:だから毎回、顔を真っ赤にしてやっています……。
津田:いやいやいや、もう天才ですよ。素晴らしい。
寺澤:そんなことないです。でも、ありがとうございます。もう恥をかいてもいい!という思いで薫は演じていこうと思って、命を削りながらやっています。
──プレッシャーはあったけど、途中からは楽しくなったんですね。
寺澤:そうですね。楽しいけど、毎回心臓バクバクしながら薫を演じています。でも、小学5年生のかわいい子ではあるので、変な子という印象だけで埋め尽くしたくはないんです。だから、小学5年生らしい活発さもしっかり出していきたいなと思っています。変なことをして楽しそうにしている薫と、普段のかわいい薫を見てほしいです。
──何だか、アフレコが楽しそうですね。
津田:本当に薫のアドリブが面白くて(笑)。何ならナレーションのてらそままさきさんが一番薫のことを好きなんです。
田村:大好きだよね。席が(寺澤さんの)隣で、てらそまさんが薫をイジっていて。
津田:薫がアドリブして、寺澤さんが座った瞬間、「お前、うるさいなぁ」みたいな感じで、ニッコニコしながら言うんです。
すぐに薫にツッコミを入れるんですよね。
田村:てらそまさんは関西の方なので、ツッコミたくて仕方ないのだと思います。
津田:あと、てらそまさんのナレーションもぜひ聞いてほしいです! 現代と過去の両方をやられているんですけど、トーンは一緒なはずなのに印象が全然違うんです。あと、てらそまさんのノリの良さがあったから増えたナレーションとかもあるんですよ。
田村:本当は文字だけの予定だったところを、試しに読んでほしいというような流れがありまして。過去編は過去編で締まっていて、現代は現代で、ナレーションがすごくありがたい存在になっています。
津田:猫の話とかは楽しみにしてほしいです。
田村:猫の気持ちを代弁してくれるところが面白いです。
寺澤:めっちゃいいですよね!(笑)。
──ちなみに、田村さんと津田さんは、後輩の寺澤さんをイジったりはしないのですか?
田村:薫を演じているときははっちゃけていますが、普段はとても静かなんです。
津田:おとなしいんです。
寺澤:はい……。しゃべってないです。
津田:そこのギャップが結構あるんです。薫としてしゃべり始めると「うお――!!」とかやっているんですけど、席に座るとおとなしくて、関西弁の練習をめっちゃしているんです。
田村:話しかけて大丈夫かわからなくて。
寺澤:すいません、本当に。私も行きたいんですけど、人見知り過ぎて……。
津田:そうなんだ!
──残り数本収録があるらしいので、ここからははっちゃけてもらって。
田村:本当ははっちゃけたりもするの?
寺澤:親の前では……。ただ、薫までは行かないですけど。
田村:薫まで行くと、かわいいを通り越しているからね(笑)。
津田:そっか。人見知りってたんだね〜。でも実際関西弁は大変で、毎話、セリフ量の多さで一喜一憂しているんです。「今日は薫が多い」「今日は日向が多い」みたいに。
──では最後になりましたが、作品のファンへメッセージをお願いします。
田村:普段、ダラさんはきょうだい2人と関わっていますが、妖怪なので、怖い存在ではあります。この作品には、きょうだい以外にも濃い人物が何人も登場しますので、その人たちとダラさんがどう絡んでくるのかを、楽しみにしていてほしいです。登場人物は、この地域に根ざしている人たちなので、過去の人物と繋がりがあったりもします。そのあたりまで考えると、より深く面白く観てもらえるのではないかなと思いますので、よろしくお願いします!
津田:肌色多めなダラさんなので、エロスもホラーもギャグもあります。それらを楽しんでいただけたらと思います。あと、子供でも絶対に楽しく観られる作品だと思っているんですよ。怖い部分はあるけど、ホラー耐性があまりない私自身も楽しく観られたので。だから、お子さんにも観ていただきたいです。
寺澤:原作ファンの方々のお声をSNSで拝見したとき、「これ、アニメ化できるんだ」という意見がすごく多かったんです。過去と現代、シリアスとギャグ、それらをどう織り交ぜていくのかを楽しみにされている方が多かったんですね。それに関しては、本当に観やすかったと私も思っているし、最初から最後まで話が濃いんです。あっという間に1話が終わってしまうと思うので、一筋縄ではないキャラクターたちと面白いストーリーを、たくさんの人に観ていただけたら嬉しいです!
[文・塚越淳一]