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「全てにおいて貢献したい」新加入“ドットソン”の役割と名古屋D戦に見るチーム課題は…再始動した琉球ゴールデンキングスの現在地

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ヴィック・ローの似顔絵を掲げながらフリースローを打つ相手選手にブーイングを浴びせるキングスファン=12月10日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)
キングスに新たに加入したデイミアン・ドットソン=12月10日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)

バイウィーク(中断期間)を挟み、12月5日にレギュラーシーズンが再開したBリーグ。琉球ゴールデンキングスは12月6〜10日、同じ地区内で熾烈な上位争いを続ける広島ドラゴンフライズ(10日終了時点で西地区6位)、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(同2位)と3試合を戦った。 12月6、7の両日にあった広島とのアウェー戦は81-72、74-68でいずれも勝利し、連勝を5に伸ばした。一方、12月10日にホームの沖縄サントリーアリーナで行われた名古屋D戦は60-73で敗戦。今シーズン最少得点に抑え込まれ、手痛い黒星となった。 とはいえ、バイウィーク中に外国籍選手のデイミアン・ドットソンが新たに加入し、ケヴェ・アルマの突然の退団や負傷者の続出など苦境続きだった序盤戦から再建中にあるキングス。それを念頭に置けば、再始動直後に迎えた強豪との3連戦を2勝1敗で終えたことは及第点を付けられる結果だろう。 通算成績は14勝7敗で西地区4位につける。 さらなる巻き返しの鍵を握るドットソンの役割、名古屋D戦でチームに突き付けられた課題とは———。キングスの現在地を探る。

「シュート力に振り切った」ドットソンの獲得理由

ジャンプシュートを放つドットソン=12月10日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)

再始動の象徴であるドットソン。米国出身の31歳。196cm、95kgのシューティングガードだ。2017年にNBAのドラフト2巡目全体44位指名を受けてニューヨーク・ニックスに入団し、中国やトルコのリーグも経験した。 契約発表時のクラブコメントによれば、キングスにとっては「約10シーズンぶりにガードもこなせる外国籍選手の獲得」となる。実際、206cmのパワーフォワードだったアルマ、短期契約で198cmのスモールフォワードだったアンドリュー・ランダルとは異なるタイプの選手だ。 ドットソンがホーム戦デビューを飾った名古屋D戦後、桶谷大ヘッドコーチ(HC)が改めて獲得理由を語った。 「まずプライオリティー(優先順位)としては3ポイントシュートのある選手。あとはクリエイトできる選手がちょっと少なかったので、サド(佐土原)がいることも考えてハンドラーができる選手を獲得しました。マーケットにいる選手、予算などいろんな条件を含め、何かに振り切ることが大切なんじゃないかということで、シュート力に振り切った感じです」 確かに、これまでオフェンスをクリエイトする上では岸本隆一とヴィック・ローが安定感を示し、それにセカンドユニットの脇真大、崎濱秀斗が続いていたが、後述の二人はまだ若手で経験が浅く、人数に不足感があったことは否めない。加入してからの3試合、ドットソンは早速ボール運びやハーフコートオフェンスの起点を担っている。 本人も「これまでの経験を生かせたらなと思っています。フィジカルで体を張り、チームメイトにオープンな状況をつくりたいと思っています。全て(のプレーを)できると思ってるので、バランスを取って全てにおいて貢献していきたいです」と意気込みを語る。 Bリーグについては、Bリーグでのプレー経験がある知人の選手からよく話を聞いていたと言う。 「プロフェッショナルで、すごい素晴らしいリーグだと思っていて、いつかはBリーグでプレーできたらなと思っていました。この機会をいただけてすごくありがたいです。このリーグから学ぶこともたくさんあると思うので、学びながらリーグにアジャストしていきたいです」と高揚感をにじませた。

名古屋D戦はシュート3本…「どんどん打ってほしい」

試合後、ファンに向けて挨拶する桶谷大ヘッドコーチ=12月10日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)

これまでの3試合におけるスタッツは平均17分12秒の出場で8.7得点3.7リバウンド1.7アシスト。3ポイントシュートは8本中4本(成功率50%)を決め、チームが求める能力を持っていることが垣間見える。 ただ、得点力を求められている中、名古屋D戦で放ったシュートは3本のみ。本数の少なさは、高い位置からのプレッシャーでオフェンスの流れを分断され、なかなかディフェンスのズレができなかったことや、まだチーム内での立ち位置を探っている段階にあることも要因だろう。 桶谷HCはドットソンの得点マインドについて「まわりのスペーシングもあまり良くなかったので、彼だけの問題ではありません。そこの整頓はしないといけないと思っています」という考えを念頭に、以下のように話した。 「ドライブだけじゃなくて、(外の)シュートもどんどん打ってほしいです。たぶん、本人の中でロールプレーヤーのままでいようとしてるのかなと思いますが、どんどんスコアを狙っていってほしい。点数を取りに行く役割を本人に伝えていった方がいいなと思っています」 指揮官の「ロールプレーヤー」という表現は、ドットソン自身が発した「組織的にプレーしないといけないと理解しています。自身自身のことだけでなく、チームのことを考えないといけないと思っています」という言葉と整合する。 一方で「これからどんどんアジャストしていければなと思っています」とも言ったため、今後コーチ陣とコミュニケーションを取る中で、スコアに対する意識が高まっていく可能性は十分にある。

改善が見えるディフェンスとリバウンド

激しいディフェンスを仕掛けるキングス=12月10日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)

チーム全体で見ると、リーグ再開後で顕著なのはディフェンスとリバウンドの改善だ。 平均得点がリーグ4位(85.3点)の広島、同8位(83.3点)の名古屋Dを60〜70点台に抑えたことは特筆に値する。相手から誘ったターンオーバーも19回、10回、14回といずれも二桁に達した。 ドットソンの加入でハンドラーが増えたこともあり、セカンドユニットで脇真大、松脇圭志、佐土原遼というフィジカルの強い日本人選手3人が同時に出やすい環境が整ったことは大きい。脇と佐土原は190cm以上と高さもある。 桶谷HCもセカンドユニットのディフェンスについて「体を張ってくれるので、めちゃくちゃいいです。サドも今日(名古屋D戦)は相手が大きくてリバウンドを取られたんですけど、後ろから簡単にやられてるわけでもない。それ以外のところはスイッチもできるし、ディフェンスはすごくいいと思っています」と評価する。 リバウンドについては、オフェンスリバウンドは平均15.5本で名古屋Dと並んでリーグトップ。一方、ディフェンスリバウンドは25.7本で13位と中層に位置する。 この差について、ゴール下で存在感を見せるジャック・クーリーは「差があり過ぎるなと思っていて、特にディフェンスリバウンドはローテーションによって取りづらいシチュエーションを作られてしまっていることが大きな要因です」と危機感を見せる。 ただ、アルマが退団したあたりから、日本人選手を含めてチーム全体のリバウンドに対する意識は向上しており、名古屋D戦では相手の武器であるオフェンスリバウンドを8本のみに抑えた。 クーリーは「(相手の対策は)言い訳になると思っていないし、言い訳にしたくないです。オフェンス、ディフェンスのリバウンドのどちらも結果として1位の数字を取れるように、引き続き頑張っていきたいです」と言う。改善の成果は少しずつ表れてきている。

「オフェンスの流動性」を高く保つ鍵は…

右コーナーから3ポイントシュートを放つ小野寺祥太=12月10日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)

一方で、平均失点が70.4点とリーグで飛び抜けて少ない(2位の千葉ジェッツは75.1点)名古屋Dとの対戦では、オフェンス面での課題が露呈した。 ハンドラーに対してハードショーやブリッツを徹底して仕掛けられ、そこから出るパスをスティールされたり、スイッチでディフェンスのズレが生まれるのを防がれたりして、崩す起点が作れずにたびたび24秒オーバータイムに。ターンオーバーは19回に上り、73失点のうち21点は「ターンオーバーからの得点」で奪われた。 第3クオーターにクーリーのオフェンスリバウンドから流れをつかみ、さらに内外でボールを動かしてから小野寺祥太が連続3ポイントシュートを決めるなどして一時4点差まで詰め寄ったが、第4クオーターでボールの流動性を保つことができず、失速した。 試合後、桶谷大HCも冒頭の総括でいい形のオフェンスを続けられなかったことを敗因に挙げた。 「プレーを切ってくるチームに対して、3クォーターは縦のダウンヒルアタックやポストプレーからのインサイドアウトで点を取れていたんですけど、6点差になってからシュートが入らなかったり、フリースローを2本落としたりして、やり方を変え、ドツボにはまっていきました。我慢強さが足りなかった。効いてるオフェンスをやり切れなかったところがもったいなかったです」 高い位置からハンドラーに圧をかけてくるチームに対しては、ビッグマンがフラッシュ(素早い動きでパスをもらいに行くプレー)する習慣も必要になる。しかし、徹底しきれない時間帯もあった。 クーリーも「今日みたいな相手には、いつでもパスを受けられる状況を作ることがビッグマンとしての役割だと思っていますが、それがあまりできなかったことが大きな反省です。ガード陣が頑張ってボールプッシュしてくれているので、そこをしっかり受けられるようにしたいです」と振り返り、改善を見据えた。

「リスタート時期」に上位陣と対戦した価値

ハドルを組んで話し合うキングスメンバー=12月10日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)

名古屋Dの高いディフェンス力が目立った試合ではあったが、先述のようにディフェンスとリバウンドでは五分、もしくはキングスが優位に立った部分もあった。 指揮官も「完敗に見えるけど、実際はそうでもない。力の差があると思う必要はないと思います」と一定の手応えを口にする。12月13、14の両日には佐賀バルーナーズとのアウェー戦が控えており、クーリーも「この試合から学べる部分を学び、週末の試合に勝ちたいです」と次に目を向ける。 今シーズン21試合目にして、東西両地区のトップ2を走るチームと初めて対戦したキングス。ドットソンが加入したリスタートの時期に上位陣と対戦し、完成度の高いチームを相手に何が戦える部分で、何が伸びしろなのかを確認できた価値は大きいだろう。 年内に当たる相手も当然侮れないが、年明け以降はシーホース三河や千葉ジェッツなど上位陣とのカードが増えていく。積み上げと修正を繰り返し、チームとしてさらに進化していきたい。名古屋Dに突き付けられた課題を乗り越えた時、キングスの順位もそれに比例して上昇していくはずだ。

ヴィック・ローの似顔絵を掲げながらフリースローを打つ相手選手にブーイングを浴びせるキングスファン=12月10日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)

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