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【スポーツと応援】「する」だけがスポーツじゃない!「みる」や「支える」も。サッカー静岡県勢対決の熱狂ぶりから学ぶ!

アットエス

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「スポーツと応援」。先生役は静岡新聞の寺田拓馬運動部専任部長が務めます。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年6月13日放送)

(山田)6月8日の土曜日はJ2リーグの清水エスパルス対藤枝MYFCの県勢対決が行われましたね。

(寺田)そうなんですよ。観客も大勢入って大変盛り上がりました。そこで、今日は「スポーツと応援」について考えてみたいと思います。山田さんはプロ野球・くふうハヤテの試合に行ってきたそうですね。

(山田)そうなんですよ。読売ジャイアンツと対戦した試合に行きました。

(寺田)球場の雰囲気はどうでしたか。盛り上がっていました?

(山田)リスナーさんが教えてくれたんですが、ハヤテは個人応援団がいたり、ジャイアンツはオレンジ色のユニホームを着た応援団がいたりしました。ジャイアンツの方が応援は少し強かった感じがしましたね。

(寺田)野球も選手個々の応援歌があったりして楽しいですよね。

(山田)ヤジもすごかった(笑)。

(寺田)コロナ禍のときは無観客で試合をやることもありましたが、今はそういう応援の風景が戻ってきていますよね。スポーツと応援にはどんな関係があるのか。皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

土曜日の清水対藤枝の県勢対決はスタジアムが熱狂しました。アイスタ日本平はほぼ満員の1万8000人近くの観客が入りました。すごいですよね。このうち、藤枝のサポーターは何人ぐらいだったと思いますか?

(山田)ちらっと聞きました。800人。

(寺田)正解です。そもそもチケット販売の藤枝分がそれしか割り当てがなかったそうです。要するに、清水は自分たちのサポーターだけでスタジアムを埋めることができてしまうということですよね。

(山田)すごいですね。

J2県勢対決で示した清水サポーターの力

(寺田)なので9割以上が清水サポーターでした。試合は1対0でホームの清水が勝ちました。今日は試合の内容について詳しく話しませんが、点差以上に力の差があった印象で藤枝は完敗でした。

清水の選手はホームゲームで勝つと「勝ちロコ」を披露します。

(山田)勝ちロコね!肩組んで。

(寺田)そうですね。ゴール裏のサポーターに向かって選手同士が肩を組み、サンバのリズムに歌声を乗せながら左右にステップを踏むんです。この日のキックオフは午後6時でまだ明るかったんですが、試合が終わった時はとっぷりと日が暮れていました。勝ちロコの後、スタジアム全体が暗転し、満員のサポーターが各自用意したオレンジ色のライトを振ると、花火まで上がりました。

(山田)すごいですね、清水。

(寺田)私は取材があったのでゆっくりと見ることはできなかったんですが。清水サポーターは勝利の余韻に浸りながらスタジアムを後にしたようです。

(山田)清水サポーターは割とゆっくり帰りますよね。他のスタジアムに行くと、試合終了の笛が鳴るとすぐに帰ったり、最後のアディショナルタイムに入ったぐらいからバラバラと席を立ったりしますけど、清水サポーターは最後まで残っているイメージです。

(寺田)勝ちロコもありますからね。

(山田)ありますよね。

(寺田)清水の応援は試合中もすごいんです。サンバ隊のパーカッションに乗せ、ゴール裏の応援団が試合の状況に応じて先導し、サポーター一丸で選手を後押しします。

なんならボールボーイも一流です。おそらく、清水の下部組織の中学生だと思うんですが、清水のゴールキックになると素早くGKの権田選手にボールを渡し、カウンター攻撃につなげていました。それがものすごく早いんですよ。

(山田)それも何か一つのチーム戦略みたいですよね。

(寺田)アイスタならではといいますか、ボールボーイも一流だと感じましたね。

(山田)なるほど。

(寺田)リーグ戦は前半が終わったところなんですが、清水は首位ターンです。なにせ今季ホームゲームは9戦負けなし。引き分けの1試合を除いてすべて勝っているんです。秋葉監督は「アイスタはいつもの2倍、3倍の力を出させてくれるスタジアム」とサポーターに感謝していました。

藤枝MYFCも集客増へ作戦展開中

(寺田)これに対して厳しい数字なんですが、藤枝のホームゲームの平均来場者数はリーグ戦前半の途中で最下位でした。1位の清水が1万4000人近いのに、藤枝は3000人ちょっとで4分の1以下。チームの成績は現在20チーム中12位と真ん中くらいで頑張っているんですけどね。
山田さんの同級生でもある藤枝MYFCの社長は「J2に上がれば、自然とお客さんが増えるだろうと思っていたが見通しが甘かった」と反省していました。

危機感を持ったクラブは集客増へあの手この手の作戦を展開しています。来場者に記念Tシャツを配るとか、託児室を設けるとか、アクセスやスタジアムグルメ、イベントも工夫しています。ただ、特効薬はないんですね。

(山田)そうですよね。

(寺田)清水はJリーグの「オリジナル10」で、30年以上の歴史があります。藤枝はまだJ2に上がって2年目ですから。

(山田)積み上げていくしかないですね。あとはもう勝つしかないか。

(寺田)そうですね。今日は清水の話をしましたが、今季J1を戦うジュビロ磐田の応援も素晴らしいんです。以前、私は磐田の番記者をしていたので磐田サポーターの熱心さもよく知っていますし、なんなら高校の同級生だった友人が昔ジュビロの応援団の副代表をやっていたんですよ。

(山田)そうなんですか。

(寺田)藤枝もチームだけじゃなくクラブとしても県内の先輩の清水、磐田を見習ってこれから成長してほしいです。

応援は選手のパフォーマンスに影響を与えるのか?

(寺田)で、今日のテーマの応援の話ですが、応援が実際に選手のパフォーマンスに影響を与えるのか。面白い記事を見つけたので紹介したいと思います。

高校生の男子ハンドボール部の強豪校が実証実験に協力して紅白戦を行ったそうです。前半戦は無観客で、後半戦は体育館を埋め尽くすくらいの生徒が応援したら選手の身体機能がどうなるか。選手個々に活動計測デバイスを付け、走行距離、ステップ数、心拍数を測ったんです。

(山田)気になるねー。

(寺田)選手には途中から応援が来ると事前に知らせず実験を行いました。すると、後半は前半よりも心拍数が高く「苦しい状態」になったのに、走行距離とステップ数が伸び、好プレーが増えてパフォーマンスが向上したそうです。

(山田)気持ちが高ぶったわけですね。

(寺田)やっぱり、応援は選手の力になるんですね。私も取材でプロアマ問わず、話を聞くと「応援のおかげで頑張れた」という選手は多いです。中には緊張で萎縮してしまう選手もいるとは思いますけど。

(山田)僕も学生時代にバスケットボールをしていましたが、好きな女の子が来たらどうしてもそっちが気になってしまって。応援してくれているんですけど、全然集中できなかったですね(笑)。

(寺田)そういうケースもあるかもしれませんね(笑)。ところで、バレーボールの日本代表戦の応援で、サーブのときに観客が「そーれ」という声掛けをしなくなったんですが、知ってましたか?

(山田)昔は言ってましたよね。

(寺田)最近、ネットニュースになっていて私も気になりました。今、パリ五輪を懸けたネーションズリーグで日本代表が世界の強豪と戦っています。男子は既にパリ五輪切符を持っていますが、女子はこの大会で運命が決まります。

以前は女子のほうが世界で勝っていた気がするんですが、最近は男子が頑張っています。なぜ男子が強くなったのか。バレーボールの取材を担当する同僚の記者に聞いたんですが、石川祐希という静岡県のお隣、愛知県岡崎市出身の選手がいて、この10年、20年に一人の天才アタッカーの存在が大きいそうです。これに続く期待の若手が現れ、指導者も含め東京五輪に向けて行った強化が実を結んでいるとのことでした。

(山田)そうなんですね。

(寺田)五輪では、日本男子は東京大会は29年ぶりに8強入りしました。今夏のパリでメダルを取れば、1972年の東京大会で優勝して以来、半世紀ぶりの快挙になります。

(山田)50年以上ぶり!

(寺田)期待したいですね。

選手本位で進化するバレーボールの応援

(寺田)それで、先ほどの「そーれ」という掛け声の話なんですが、以前から選手によっては「集中できないからやめてほしい」という声があったそうです。特にジャンプサーブを打つ選手から。

(山田)タイミングとかもありますからね。

(寺田)やはり、自分が今からサーブを打つというときは集中したいんじゃないでしょうか。昔のバレーボールの試合中継と言えば、テレビ局が男性アイドルグループを呼んで盛り上げたり、女子バレーだと選手をニックネームで呼んだり、「なんとか姫」と名付けたりしてましたよね。

(山田)はい、はい。もうドンピシャ世代です。

(寺田)私だけかもしれませんが、プレーそのものよりも興行的なショーとして楽しませようとする演出が多かった気がします。

これも同僚に聞いたんですが、バレーボールの国内最高峰リーグをVリーグというんですが、ここではサーブの時、「パン、パン、パン」と手拍子をするんだそうです。ただ、やはり選手によってはこの手拍子もやめてほしいとSNSで訴えるケースがあるそうで、観客もわかっていて選手によって応援の仕方を変えてるそうです。

(山田)僕も静岡県で言えば東レがありますから試合に行きますけど、選手によって違うんですね。

(寺田)バレーボールの応援文化は、選手本位に進化しているんですね。

(山田)なるほど。

(寺田)余談ですが、以前から時々話題にしている私の娘も小学生からずっとバレーボールをやっていて、大人になっても地域のクラブチームで競技を楽しんでいるんですが、その娘に言わせると、バレーボールへの社会的な理解が進んだのはマンガのおかげではないかと言うんです。

(山田)「ハイキュー!!」ですね。

(寺田)高校バレーを題材にした作品で、いまや世界中にファンがいるそうです。映画もまだ県内でもロングランでやってますよね。このマンガの中でサーブの時、応援が邪魔で集中できないと選手が訴える場面があるそうなんですよ。

(山田)へぇー。もしかしたらそれが…。

(寺田)先日、サッカーの話をした時にも「キャプテン翼」が日本サッカーに与えた影響について話をしましたが、マンガがスポーツの発展に寄与する力って大きいんじゃないですかね。

(山田)僕も「スラムダンク」を読んでバスケを始めました。

応援もスポーツの一部だ!

(寺田)ここまで話してきて感じていただけたかなと思うんですが、スポーツと応援って切っても切り離せない関係ですよね。そもそも「スポーツ」という言葉の語源を知ってますか?

(山田)スポーツの語源…?おそらくラテン語ですよね。

(寺田)そうです。

(山田)決まり、ルールみたいな意味ですか?

(寺田)残念ですが違います。私もちょっと調べてみました。ラテン語で「運び去る、運搬する」っていう意味の単語が語源で、意味が転じて「義務からの気分転換、元気の回復」となり、「日々の生活から離れる」気晴らしや遊び、楽しみ、休養といった要素を指すようになったんそうなんです。

(山田)結構、エンジョイの要素が強いですね。

(寺田)そうなんですよ。つまり「スポーツ」って言葉にはプレーヤーとして「する」だけじゃなく、「みる」とか「支える」とかも含まれるんですよ。

(山田)確かに。

(寺田)応援することで感動したり、勇気をもらったり。これもスポーツの楽しみ方ですよね。スポーツは自分でするだけではなく、応援も含めて全体がスポーツなんだと思います。

私個人的には、アイスタで藤枝が負けても泣きませんでしたが、この間、高校サッカーのインターハイ県大会決勝を取材した時、試合前にお互いの全校生徒がスタンドから選手を応援するのを見て、まだ試合が始まってないのにジーンときてしまいました。ベンチに入れなかったサッカー部員を含め、吹奏楽に合わせて同級生とか先輩後輩をひたむきに応援する高校生の姿に感動しちゃいまして。

(山田)その寺田さんの姿を見たかったな(笑)。

(寺田)年取ると涙もろくなってしまいます(笑)。でも、これもスポーツの魅力なのかなと思ったりします。

(山田)そうですね。確かに応援して涙を流すとか、気持ちが動くというのはやはり「スポーツ」の楽しみだし、プレーするだけじゃないですよね。

(寺田)そうなんですよね。今週末も土曜日にJ2藤枝のホーム戦で横浜FCとの対戦があります。現在3位の強敵ですけど、ぜひスタジアムで観戦して感動と勇気を受け取っていただけたらと思います。

(山田)あとSBS的にはユピテルゴルフもありますからね。観戦していただいて。

(寺田)そうですね。私も取材に行きます。

(山田)スポーツと応援は確かに深い関係にありますね。今日の勉強はこれでおしまい!

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