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ストイックなのにトンチンカン⁉ 意外な共通点を持つソニンと水夏希が、“ニュー・ミュージカル”『17 AGAIN』で初共演

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(左から)水夏希、ソニン

17歳の頃、バスケット選手としての華々しい未来を捨て、妊娠した恋人スカーレットと結婚したマイク(竹内涼真)。35歳になり、仕事も家庭もうまくいかず家を出た彼はある日、不思議な現象に巻き込まれて17歳の姿に戻ってしまう――。大ヒット映画『17 AGAIN』が、谷賢一の演出により世界で初めてミュージカル化される。スカーレットに扮するソニンと、17歳に戻ったマイクが通う高校の校長マスターソンを演じる水夏希に、稽古の様子や作品の見どころを聞いた。

“コメディ”と“ハートフル”のバランスを探る稽古

ーー作品の話に入る前に、初共演ということで、まずはお互いの印象などお聞かせいただければと思います。

:私、ソニンさんの舞台やYouTubeチャンネルをいつも拝見していて、今回共演できるのをめちゃくちゃ楽しみにしてたんです! なのに始まってみたら、スカーレットとマスターソン校長には絡みが全っ然なくて(笑)。

ソニン:あはは! 確かにほとんどないですね(笑)。

:コロナ禍だから、自分が出てない場面の稽古中には、稽古場にいられないんですね。ソニンさんがどうやって役に向き合って、どう変化していくのかを間近で見るのを楽しみにしてたのに、気付いたらできてる! という感じでした(笑)。

ソニン:いやいや、まだ全くできていないです(笑)。でも本当、そういう意味では残念ですよね。今回はミュージカル初挑戦の方が多いから、水さんに子分のようにくっついて(笑)、私もカンパニーを引っ張っていく一助になれたらと思っていたんですが、なかなかお会いできなくて。

:ね~。でも稽古場での席が近いから、雑談は少しできてますよね。それがすごく楽しい。

ソニン:楽しいですね! 水さんは大先輩なのに、すっごく気さくに接してくださって。それにお互いずっと舞台をやってきているから、共通言語があって話しやすいです。

:分かる分かる。“出身地が一緒”みたいな感じがありますよね。

ソニン:そう! 今回は私、有澤樟太郎くん以外、演出の谷さん含めて全員初めましてなので、水さんがいらっしゃるのがすごく心強いです。

ソニン

ーーではその“気付いたらできていた”キャラクター像についてお聞きします。ソニンさんのスカーレットは、どんな人物で、作品の中でどんな役割を担っているとお考えですか?

ソニン:本当に、まだ全然できていないんですが(笑)。全体的にコメディ要素が強い中で、「楽しかった」だけじゃないハートフルな何かを残すために、ポイントになってくる役なのかなとは思ってます。マイクとスカーレットの関係を深く描けば描くほど、観終わった皆さんの中に温かさが残るんじゃないかなって。だからあんまり遊ばずシリアスに作ってるんですが……谷さん的には、もう少し楽しいところも入れたいのかなって感じています(笑)。

:そうなんだ。

ソニン:ストーリーの芯の部分をキープする役、という認識は、私も谷さんも変わらないと思うんです。たぶん谷さんも、今はちょうどいい頃合いを探ってる段階なのかなと。

:そっかそっか。あとスカーレットは、35歳と17歳の両方を演じる難しさもありますよね。

ソニン:でも17歳のほうは一瞬ですし、それに若い“声”を作るのは得意なので、見た目のことはヘアメイクさんにお任せして(笑)、キャピキャピの青春を楽しんで演じられたら。逆に、年齢的には等身大の、35歳のスカーレットのほうが難しいかもしれないです。お母さんだけど、貫禄を出せばいいかっていうとそうじゃなくて、すごく若い時に子どもを産んでるから。

:確かに、18歳くらいで産んでるんだもんね。

ソニン:そう。高校生の子どもがいるようには見えない若さと、自分の青春時代を全部子どもたちに捧げてきたっていう説得力との絶妙な匙加減を、今は探っている感じです。

ーーなるほど。水さんのマスターソン校長はいかがですか?

:役割で言うと、完全にコメディを担っているほうですね(笑)。相手役のエハラ(マサヒロ)さんがとにかく面白いので、ついていけば大丈夫かなと思ってます。もちろん、二人の関係性の変化という部分は、コメディだからと言って嘘っぽくならないように気を付けながら。

ソニン:水さん、「宝塚退団後の役の中で、一番得意分野なんじゃないかという感じがします」ってコメントを出してましたよね?

:私、自分で言うのもナンなんですけど、仕事に対してはすごく真面目なタイプなんですよ。でも、人生はすごくトンチンカンなんです(笑)。ついこの間も、舞台裏でつけ爪がなくなったって大騒ぎして、みんなに探してもらって見つけて、しれ~っと舞台に出て行ったり。舞台上とバックステージとのギャップがすごいんです(笑)。

ソニン:……私も一緒です(笑)。

:本当?

ソニン:仕事にはストイックに取り組むんですけど、抜けてるところもすごくあって(笑)。

:そっか、だから最初から話しやすかったんだ!

ソニン:そういうことですね(笑)。

:マスターソン校長にもそういうところがあるから、うまく生かせたらいいな~と思います。

水夏希

ーー谷賢一さんにはあまりコメディのイメージがなかったのですが、お話をうかがっていると、どうやら今回はかなりコメディ寄りのようですね?

ソニン:うん、そんな感じがします。

:だって谷さんも、なかなかの変わり者ですよ?(笑)。崇高な演劇を作られる方だけど、演出卓にプラモデルを置いてたりしますから。

ソニン:置いてますね、フィギュアみたいなの(笑)。

:あれたぶん、作品のために置いてるとかじゃなく自分の趣味ですよね。違う?

ソニン:そうだと思います(笑)。

:そういう面もお持ちの方だから、私的にはコメディを演出する谷さんに違和感はなく、「今回はそっちのチャンネルを開いてるのね」みたいな感じです。もちろん、琴線に触れるシリアスな部分がベースにあってのコメディではありますけど。

ソニン:そこのバランスですよね。さっきも言ったように、スカーレットはベースの部分を担っていると思うから、私は意地でも真面目に芝居しようって(笑)。いや、やりたくはなるんですよ、私もコメディ好きだから。

:そうなんだ!

ソニン:でもスカーレットまでそっちに走ると、コントみたいになっちゃうから(笑)。

:確かに(笑)。今はみんなで、バランスを探り中という感じですね。

もしも〇歳から人生をやり直せるとしたら……?

ーー日本が世界初演ということで、“産みの苦しみ”のようなものもある稽古場なのかなと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

ソニン:大いにありますね。台本と音楽は海外の方が書かれているんですが、上演されたことがあるものではないので、成立させることが難しいト書きがあったりして。

ソニン

:6行のト書きの間に、同じ役者が違う恰好で出てこなきゃいけなかったりね(笑)。あと、元が英語だから、翻訳とか解釈の問題もあります。

ソニン:それはもう本当に、“初演あるある”ですよね。海外の人を演じるけどしゃべるのは日本語って、そもそも難しいじゃないですか。どの言葉を選べば違和感なくアメリカ人がしゃべってるように見えて、伝わるかは、訳詞家と演出家と役者が一緒に作っていくべきだと私は思っているので、歌詞も台詞も意見を取り入れていただいて試行錯誤しながら作っています。あともちろん演出も、出ハケも含めて本当に全部一から組み立てなくちゃいけないから大変ですよね。

:本っ当に! 今、振付稽古をしてるパーティーのシーンなんて、セットがカウンターくらいしかない中で、五つくらいの重要な出来事を見せなきゃいけない。すごくドタバタなシーンなのに、谷さんがうまく演出を付けられるから、素晴らしいなあと思いながら見ています。

ーー振付のお話が出ましたが、お二人は踊られるのですか?

:私は全く。でも良かったです。今回の振付はヒップホップ寄りで、見てる分には新鮮で楽しいんですけど、シアターダンス出身の私が踊ったら悪目立ちしちゃいそうだから(笑)。

ソニン:そんなこと(笑)。踊りはなくても、立ち回りはありますよね。さすが水さん、ちょっとした動きも本当にきれいなので、水さんのダンスがお好きな方にも期待していただければと。

:いやいやいやいや……(笑)。

ソニン:私は今回、ペアダンスを踊るんです。私も大変ですが、一緒に踊る涼真くんがもう青ざめちゃってて(笑)。涼真くん、今回やることがすごく多いから。
:ね! 初舞台にして出ずっぱりで、歌って踊ってバスケして立ち回りもやって。

ソニン:その上ペアダンスもっていうので、「俺、この作品が終わったら自分にご褒美買おう」って言ってるの聞いちゃった(笑)。

:買ったほうがいい! 私、竹内さんが舞台嫌いにならないといいなってすごく思ってて(笑)。

ソニン:私もです。涼真くんが追い詰められないように、妻としてサポートできればなと思って。でも本人は、「楽しい」って言ってましたよ。

:本当? じゃあ良かった。私は竹内さんともひと言くらいしか絡まないから、サポートしたくても遠くから「大丈夫かなー!」って見てることしかできなくて(笑)。

ソニン:あはは! 鍛えてらっしゃって、スタミナもあるし、きっと大丈夫でしょう!

ーー初舞台の竹内さんのパフォーマンスが、まずはこの舞台の大きな見どころになりそうですね。ほかに、お二人が今感じている“ここが見どころになりそう”ポイントは?

:いろいろありますよね。バスケのシーンがけっこう本格的だから、そこでテンションが上がる方もいるだろうし、アメリカのハイスクールの雰囲気が楽しいという方も。あとはエハラさんと私がSFとかファンタジーの“オタク”の役だから、そういうのが好きな人にも堪らないと思います。実際、谷さんもそのシーンの稽古する時めちゃくちゃ楽しそうですから(笑)。

水夏希

ソニン:そうなんですね(笑)。私は音楽が、全曲耳に残るくらい良いなあと思ってて。私たちが普段よく出ている、いわゆる「王道ミュージカル」とは違って、最近のニュー・ミュージカルという気がします。

:分かる分かる。ソニンさんのソロもすごくいいよね!

ソニン:あれ、めちゃくちゃ難しいです(笑)。音域が広くてブレスのタイミングもないから、この1曲になんでこんなに苦戦してるんだろうってくらい、ずーっと練習してます。

:そうなんだ! 賑やかな曲が多い中で印象に残る曲ですよね。もう私、大好き。

ソニン:すごく美しいメロディですよね。なんとかモノにできるように、引き続き頑張ります。

ーー見どころいっぱいの舞台になりそうで、ますます楽しみです! 最後に、物語の内容にちなんで。人生をやり直せるとしたら、お二人は何歳の時に戻りたいですか?

ソニン:たくさんあるな、戻ってみたい年齢。

:本当? 私、全然ない。体だけは、もうちょっと若い状態がいいなと思いますけど(笑)。

ソニン:そういうフレーズ、作品にもありますよね。「体が若いと食べても太らない」みたいなところで、みんな「分かる! そういう時期あった!」って膝たたくんでしょうね(笑)。

:そういう体に戻れたら自由でいいなとは思うけど、その時期に戻りたいっていうのはないですね。人生をやり直したいとは思わないんです。

ソニン:かっこいいな~。私も、自分の過去を否定するつもりはないんです、その時その時で必死にベストを尽くしてきたから。ただ、たとえば17歳からやり直せたらこの業界に入らないかもしれないなあとか、二十歳前後からならもうちょっと遊びたいなあとか(笑)、30歳手前からならもっとこんなことしたいなあとか、考えるといろいろ出てきて。

:確かに、年齢を重ねた今はいろんな知恵がついているから、この経験値のまま戻れたらできることは違ってきますよね。私も、17歳に戻れるなら普通の女子高生を経験したいとは思う(笑)。

ソニン:私たち、“普通の青春”をしてきてないところも同じなんですね(笑)。

:そうみたい(笑)。私たちは想像することしかできないけれど、本当に17歳に戻ってしまうのがマイク。その先にどんな結末が待っているのか、ぜひ劇場で見届けていただきたいです。

(左から)水夏希、ソニン

取材・文=町田麻子  撮影=宮川舞子

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