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出合う個性、つながる地域 障害者の活動発信 釜石でクリスマス市 就労事業所コラボ

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 障害のある人が作った菓子や雑貨などを販売するクリスマスマーケットが16日、釜石市港町のイオンタウン釜石で開かれた。就労支援などを行う市内外の6施設が出店したほか、松ぼっくりを使ったツリーづくりのワークショップなど遊びも用意。普段の活動の成果や施設の発信、利用者と地域住民の触れ合いの場にした。
 
 NPO法人遠野まごころネット(遠野市)が釜石・甲子町で運営する障害者自立支援施設「まごころ就労支援センター」の主催で、釜石大槌地域障がい者自立支援協議会・ひまわり隊が共催した。障害の有無にかかわらず楽しめる催しの実施、新型コロナウイルス禍で減った販売機会の提供、施設利用者に支払う工賃の維持・向上などにつなげるのを狙いに初開催。同地域外から奥州市や宮古市、山田町の施設が参加した。ほか、地元の菓子工房もブースを並べた。

クリスマス風の飾り付けで来場者をおもてなし


 釜石産のカボチャやブルーベリーを使った焼き菓子、パンなどの食べ物、使用する糸や織り方に決まりがない「さをり織り」のバッグや小物入れなどを販売。サンタクロースやトナカイの衣装を身に着けた利用者たちが積極的に呼び込みをし、買い物客らは製品の特徴などを聞いたりしながら品定めした。

さをり織りの小物入れなどを並べた奥州市の事業所


トナカイ風の装いで山田町から手作り菓子をお届け


買い物客らと触れ合いを楽しみながら店番したり


 楽しそうと釜石市内から足を運んだ近藤麻衣さんは、あちこちから聞こえてくる誘いに乗って両手が袋でいっぱいに。「和気あいあいとして雰囲気がよく、欲望に負けそうな空間。地域外で作られているものを知る機会にもなった」と目を細めた。

 まごころセンターは、布を細かく裂いて織り込んだ「裂き織り」のバッグやランチョンマット、利用者が育てたブドウを使ったワインなどを売り出した。施設敷地内で栽培するラベンダーを使った「ねこサシェ」(猫の顔をかたどった香り袋)はクリスマス仕様に。トナカイの顔、ツリーやリースの刺しゅうを施したりしていて、「どの顔、図柄が好きですか?」などと買い物客らの声に耳を傾けた。

まごころ就労支援センターはクリスマス仕様の製品をPR


サンタクロースの衣装を着た利用者らは呼び込みでも活躍


 利用者の30代女性は「作ったものが目の前で売れるのがうれしい。一針一針に思いを込めていて、嫁に出した気分。いろんな顔を楽しそうに選んでいるのが印象的で、これからも喜んでもらえるものを作りたい」とやりがいを実感した。

松ぼっくりを使ったツリーづくりのワークショップ


遊びや工作を楽しんで笑顔いっぱいの家族連れ


 催しには「個性との出合い、人とつながり、心に星を灯(とも)そう。」と願いを込めた。まごころセンターの山本智裕施設長(46)は「施設外でのイベントは利用者の刺激になり、新しい表情や得意なことの発見にもなる。この企画をきっかけに他事業所や支援者、ボランティア、行政、地域とのつながりを深めたい」と会場を見つめた。

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