DJ松永「『不適切にもほどがある!』の主題歌は自分の趣味を押し付けた」
「パンサー向井の#ふらっと」はTBSラジオで月曜~木曜の朝8時30分から放送中です。
2月29日(木)。木曜日は向井さんが隔週でお休みのため、木曜パートナー・髙橋ひかるとTBSアナウンサー・喜入友浩お届けしました。
9時台の『ふらっとトピック』は、Creepy NutsのDJ松永さんをお迎えしました。
世界が注目する『Bling-Bang-Bang-Born』は無責任に作った曲。
喜入:新曲『Bling-Bang-Bang-Born』はきっかけというか、どういう曲を作ろうと思って?
松永:これは去年の仕事をセーブして本当にただただ無責任に自分の趣味で作った曲って感じなんすよね。
髙橋:あ、趣味の中でも世に出す曲もあれば普通に趣味として作って出さなくてもいいやみたいな感じで作ったこともあるんですか。
松永:もう日々いろいろ作るんですけど、でもこれは本当にそのタイアップの曲としてオーダーきて作った曲なんですけど、結構もう無責任に作っちゃうタイプなんで(笑)。
髙橋:(笑)。
松永:タイアップだからと言って、あんまりこう…タイアップっぽい曲をイメージして、向こうが欲しそうなサウンドをイメージして作ったりは昔からしてなくて。
髙橋:でもテーマは絶対投げかけられるじゃないですか。こういう曲にしたいとか。
松永:歌詞とかね。でもサウンドに関しては俺らに来る時点で結構任せてもらえるんですよね。でもオーダー来たとしても結構無視しちゃう(笑)。それより自分が何とか何とか何とか…(笑)。
髙橋:怒られないんですか(笑)。
『よふかしのうた』も悪ふざけで。
松永:以前、『よふかしのうた』っていうオープニングテーマ作ったんですけどアニメの曲ってオープニング映像がつきやすいようなサウンドにしたいじゃないですか。
髙橋:ここが見せ場で、とかありますもんね。
松永:最後サビで盛り上がって、みたいな。前奏でバーンってタイトルが出て、みたいな。でも絶対映像作ってる人作りづらいだろうなとか思うけどイントロなしで作って提出しようと思って、イントロなく急に0→100でラップとサウンドが始まる…。
髙橋:めっちゃかっこいいじゃないですか、それ。
松永:ありがとうございます。でもめっちゃ俺の悪ふざけなんです(笑)。ただやりたいだけ。これ映像で作ったら超大変そうだなと思って(笑)。でも俺作りたいからちょっと悪ふざけでやって。
髙橋:そこにRさんも乗っかってきて、そこから歌詞が生まれて、ラップが入ってきてってことですか。
松永:そうです。今回も全然アニメのオープニングとかでは聞いたことのないような曲…じゃないとやっぱり作ってて俺の悪ふざけ精神が満足しないんで。
髙橋・喜入:あ~。
松永:本当に自分のたまたま今そのとき作りたかった曲を作った感じですね。
『Bling-Bang-Bang-Born』の「フッ」「ボッ」に注目。
髙橋:じゃあ普段Creepy Nutsさんが作られる時は曲は先行なんですか。
松永:そうですそうですそう。ちょっと具体的になっちゃいますけど、この曲だったら鍵盤のフレーズみたいなのがあって…なんかラテンっぽいフレーズ作りたいなとか思って。で、ピアノで最初打ち込んで。でもピアノだと普通っぽいなみたいな感じで、もうちょっとパーカッションっぽい音色にしたいなと思って、その同じフレーズをカリンバっていう手で弾くポロリポロリみたいな楽器があるんですけど、それを重ねて。でもそうすると、 ちょっと浮いちゃうなみたいな、馴染まないなと思って、その間を繋ぐために何かもう1個楽器入れたいなと思ってチェンバロって楽器があるんすけど、ピアノの祖先みたいな楽器で…普通のピアノみたいに強弱が出ないんですよ。
髙橋:へ~!どう弾いても?
松永:そうそう、強弱が出ないんですよ。音がちょっとチープで弾くときのアタックの音が強いんですよ。そうするとちょっと打楽器っぽい雰囲気があるピアノのチープな音みたいな感じだからカリンバとピアノのちょうど間ぐらいかなと思って、その3つの音を重ねて…この音色あんまり聞いたことないなって、自分のシグネチャーサウンドだなと。それに5つ打ちのドラムを入れたり。あと自分の声を入れたりするんですけど、家でマイク立てて。
髙橋:へ~。
松永:頭で鳴ってる音もあれは自分の声だったりするんですけど。イントロでハイアットが左右で鳴ってるんですけど、ああいうのも自分の声だったりして。
髙橋:そうなんだ!
松永:もう本当に自分の遊びじゃないすけど…。
髙橋:こうやったら面白いかもってことを実際にやってみてどんどん生まれてくるんですね。
松永:サビ後に「フッ」とか入ってるんですけど、あれも自分の家で撮って。
髙橋:Rさんじゃないんだ!
松永:自分で。マイクの真正面で「フッ」って吐くと風が当たって「ボッ」てなるからマイクの横でやったりとかして。本当に遊びながら作っていった感じですね。
『不適切にもほどがある!』の主題歌は無責任に趣味を押し付けた。
喜入:『二度寝』『Bling-Bang-Bang-Born』が初の両A面シングルということで。『2度目』はTBSの金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』の主題歌ですけれども、この楽曲もそれこそ先ほどおっしゃったように、こういう曲をお願いしますっていうのをある意味裏切るような作り方をしたんですか。
松永:そうですね、プロデューサーさん、スタッフの皆さんと結構前に打ち合わせをさせていただいて、いろんな…こういう曲を作りたいな、こういう使い方をしたいと思っているんですよ、みたいな話を聞いて。「まあでもお任せします」って言ってくださって。その「お任せします」だけ俺は覚えて(笑)。
髙橋・喜入:(笑)。
松永:本当に全然関係ないサウンド作りました(笑)。そのとき俺が作りたいだけで。この『Bling-Bang-Bang-Born』も『二度寝』もジャージークラブっていう2000年の頭ぐらいにニュージャージー州で作られた結構元々マイナーだったジャンルがあるんですけど、元々は何か既存の曲を…有名な曲とかを地方のDJとかがブートでエディットして無理やりそこに5つ打ちで作ってそこで盛り上がるみたいな。ブートでそのクラブで流す専用に作ったようなジャンルだったんですけど、でもそれを応用した曲みたいなのもちょこちょこあったりとかして、そういうジャージークラブの“ドン ドン ドンドンドン”っていう5つ打ちのドラムで…アニメもそうですけど、そのアニメの主題歌みたいなものも存在しないし、地上波のお茶の間に届くドラマでジャージークラブとかも絶対にあり得ないから、絶対なしのことをしようと思ってそれを作って。だから本当に俺の悪ふざけですね(笑)。
髙橋:やりたいことが詰まってるんですね。
松永:自分の趣味。本当に無責任に趣味の曲を押し付けるみたいな(笑)。
喜入:曲を作り上げたことと今すごく曲がバズってることってどっちの方が嬉しいというか…。
松永:全然嬉しいですね、もちろん。だから、何が世間や皆さんに受け入れられるかはやっぱりますますわからんなとは思いましたね。