稲葉賀恵と一川華がおくる、ポウジュの新作公演『Downstate』が開幕 舞台写真&コメントが公開
2025年12月11日(木)駅前劇場にて、演出家の稲葉賀恵と翻訳家の一川華によるユニットポウジュの新作公演『Downstate』が開幕した。この度、舞台写真&コメントが届いた。
ポウジュは今年1月に『リタの教育』と『オレアナ』2人芝居の同時上演で旗揚げ。第33回読売演劇大賞にて、稲葉賀恵が演出家賞の候補に上がっている。
第二弾となる本作は、トニー賞、ピューリッツァー賞などの受賞歴を持つアメリカの劇作家ブルース・ノリスによる未成年者への性犯罪加害者を巡る会話劇で、日本初演。未成年者に対する性犯罪の刑期を終えた4人の男たちが暮らすグループホームを舞台に、「許されざる罪」に対する社会の向き合い方を問う問題作だ。
幼少期に性暴力を受けた経験を持ち、その加害者であるフレッドに会うためグループホームに出向くアンディを演じるのは尾上寛之。アンディとともにホームを訪れる妻エムを豊田エリーが好演している。ホームで暮らしているのはフレッド、ディー、ジオ、フェリックスの4人。かつてアンディにピアノを教えていたフレッドに大鷹明良、元俳優で面倒見がよくホームの住人たちを気に掛けるディーに植本純米、4人の中では最年少で野心家のジオに串田十二夜、極力人との関わりを避け、物静かなフェリックスに大石将弘。そして、ホームに足を運び彼らを見守る保護観察官のアイヴィーには桑原裕子。ジオの同僚エフィーに夏目愛海。警察官役は岡野一平、中野風音、丸林孝太郎が務める。
本公演は、被害・加害という視点だけでなく、広く人間関係のあり方や人生における矜持、様々な社会問題や生活の機微について思考しながら観劇できる。「堅苦しくならずに、自由に、無邪気に翻訳と向き合いたい」と謳うポウジュの理念が存分に表れた、目が離せない緊張感の中で時にユーモラスな一面を覗かせる会話劇でもある。
なお、本公演では12日、14日、16日、18日の夜公演ではアフタートークを実施する。上演は12月21日(日)まで。
【あらすじ】
舞台はイリノイ州のダウンタウン。未成年者に対する性犯罪で有罪判決を受け、刑期を終えた4人の男たちがグループホームで共同生活を送っている。男たちは犯した罪に応じてレベル1~レベル3まで振り分けられており、内省の度合いもさまざまである。ある日、グループホームの年長者フレッドから、幼少期に性的暴行を受けたアンディが妻のエムを連れてホームを訪れる——
(本公演はトリガーアラートがございます。詳細は公式HPよりご確認ください)
稲葉賀恵 コメント
『Downtate』は翻訳家の一川さんが探された戯曲で、テーマの複雑さや繊細さから自分たちの力で上演しようと2年前から動いてまいりました。
この作品をやるならば駅前劇場で、と決めた時からこの2年の間、あの頃には考えられないほどの沢山の方のお力添えのお陰でこうして駅前劇場にて開幕できますこと、心より感謝いたします。
そしてこの船に共に乗って下さったクリエイティブスタッフ、そして何よりこの題材に正面から覚悟を持って向き合って下さったキャストに敬意を表します。
俳優の身体を通して、皆さまの想像を羽ばたかせる時間になれたら幸いです。
一川華 コメント
初めて『Downstate』を読んだ時から、この戯曲を日本で上演するなら駅前劇場で、と考えていました。土岐研一さんの美術、南香織さんの光、大園康司さんの音、岩男海史さんの衣装……ここではお名前を挙げきれない、全クリエイティブチーム・スタッフ集結のもと、濃密な空間が立ち上がりました。お稽古場では、出演者の皆さまと対話を重ね、台詞についてもトライアンドエラーを重ねました。ぜひ、一人でも多くの方にこの物語と出会っていただきたいです。できることならお一人お一人と終演後にお話したい気持ちです。団体HPに掲載されているトリガーアラートをご確認の上、ご検討ください。劇場でお待ちしております。