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【にいけい編集部発】記者コラム&今週の主なニュース 9月7日〜9月13日

にいがた経済新聞

記者コラム

総裁選と拉致・特定失踪者問題

各メディアは連日にわたって自民党総裁選の話題で持ち切り。こうしたご時世に政治の話題にほとんど触れることなく、他のメディアが拾わないような軽微な交通違反や痴話喧嘩の延長がタイムラインで堂々主役を張っているにいがた経済新聞が、いかに気骨に溢れたニュース媒体かおわかりだろうか(笑)。

別に政治ネタを書いているからエラいわけでもないのだが、新潟県民が絶対に無視してはいけない問題というのは厳然と存在する。少なくとも原発と拉致問題に関しては。

冒頭の自民党総裁選で、北朝鮮による邦人拉致問題が全く話題に上らないことが、逆に話題になっている。

9月11日に新発田市で拉致問題・特定失踪者問題を考えるトークイベントが開かれた。ゲストには特定失踪者のご家族お二人を招いてのもので、本来ならかなり注目されてしかるべきのイベントだった。「特定失踪者」とは政府に「拉致被害者」だと認定されていないが、「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない」と特定失踪者問題調査会が断定したケース。

現在、日本にはこのような特定失踪者は約470名も存在する。これに加えて、警察が「拉致の可能性がある」とリストアップしている失踪者は900名に及ぶ。一方で国が「拉致被害者」に認定しているのはたったの17名。この温度差は何なのだろう。

多くの日本国民は「拉致被害者」と言えば横田めぐみさんや有本恵子さんを思い浮かべるだろうが、日本全国には「何百人ものめぐみさん」が存在する。トークイベントでも、お二人が失踪した時の状況や経緯を聞いたが、正直「拉致じゃないとすれば何なんだ」と思わせる内容だった。

特定失踪者問題調査委員会の荒木和博会長は「拉致問題、特定失踪者問題が『解決』することはない」と言う。

確かに何をもって「解決」とするかと言えば、北朝鮮に連れ去られた人たちが一人残らず、ノーダメージで救出されて初めて「解決」なのである。これだけの長い時間が経過し、おそらくは既にかの地で亡くなった人もいるだろう今、仮にこれからどんな外交成果を挙げようが「解決」とすることは出来ないのだ。だから政府関係者は「拉致問題の解決」という言葉は、本来使うべきではない。

荒木氏はさらにこうも言う「歴代の総理大臣は誰一人として『北朝鮮に連れ去られた人たちを救出する』と一度も言ったことがない」と。確かに彼らの口から出るのは「前に進める」だとか「解決に向けて」「首脳会談を早期に」とかそんな言葉だけ。国民の生命を守るのが国家の使命なら「金正恩に会いに行く」ことをゴールとされると違和感しか感じない。

テレビの討論番組で自民党総裁選の9人の候補者が出演し、議論を交わしていた。テーマとして拉致問題が取りあげられたが、やはり「総理になったら拉致被害者を救出する」と断言する候補は一人もいなかった。「相手があってのことなので・・・」「北朝鮮がテーブルに着くような交渉材料を用意しないと・・・」など腑抜けたコメントしか出てこない。

一方で「台湾有事の際に、現地に取り残された邦人を救出するためには」といった「ただいま絶賛」のようなお題には雄弁なのである。国民一人の命の重さは一緒のはずなのに。

北朝鮮による邦人拉致問題に過去も未来も「解決」はない。これはまぎれもない事実なのだ。

(営業記者 伊藤 直樹)

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