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【富山】伝統文化“組子細工”の美しさに触れ、体験できるスポット「組子座」【NEW OPEN】

週末、金沢。

4月15日、富山駅前に「組子座」がオープン!
富山に根付く伝統木工技術「組子(組子細工)」を、五感で体験できると話題です。

富山駅前ビルCiC1階にオープンした「組子座」。
手がけるのは、富山市から全国、そして世界に向けて組子製品を発信するタニハタ。
釘を使わず木片を組み付けて美しい幾何学模様を生み出す、日本の伝統的な木工技術「組子」を受け継ぎ、1959年の創業以来その技術を守り続けています。

タニハタが手がける組子は、県内の飲食店や県外のホテルなどでも採用されていて、実は地元企業が作っていることを知らずに、目にしたことがある方も多いかもしれません。
さらに近年は、海外のレストランやオフィスの装飾も手がけるなど、その技術力は国内外で高く評価されています。
そんな組子の魅力と、ものづくりのまち・富山の魅力を発信する拠点として誕生したのが「組子座」です。

富山駅前を訪れた際は、ぜひ大通り沿いの正面入口から足を踏み入れてみてください。
まず迎えてくれるのは、組子作品「黎明の称名滝」。
日本一の落差を誇る称名滝をモチーフに、夜明け前の静寂に包まれた風景を表現した作品です。

組子と、富山県出身で国内外で活躍する和紙作家・川原隆邦氏による和紙作品が調和。
近づいて眺めると、和紙が組子の枠を越えて広がるように配置されている部分も。
水しぶきの躍動感を思わせる表現からは、称名滝の迫力と静寂を感じられます。

さらに館内へ足を踏み入れると、木の温もりと繊細な意匠が織りなす洗練された空間が広がります。
この美術組子に囲まれる空間をデザインしたのは、株式会社コラレアルチザンジャパン 山川智嗣氏。
南砺市井波の職人に弟子入りできる宿「Bed and Craft」などを手がけ、日本の伝統的な技術を空間デザインとともに発信することに長けた人物です。

そんな空間の印象を大きく形作っているのが、店内奥に配された「室堂から望む立山連峰」の組子らんまです。
幅5.5メートル、高さ1.5メートルという大作でありながら、その表現はどこまでも繊細。
小さなパーツを組み付け、雄大な山並みを平面ではなく緩やかな曲面で描き出しています。
これも、他の組子細工の工房ではなかなか難しい、タニハタが強みとする技術です。

天井に目を向けると、「立体 ASANOHA」が現れます。
ニューヨークを拠点に活躍するデザイナー、Eric Clough氏(212box)との共同開発によって生まれた作品で、日本の伝統文様である麻の葉を立体的に再構成したものです。
木材だけで構成され、釘などを使用していないことを忘れてしまうほどの圧倒的な存在感。
光と影が複雑に重なり合い、作品に奥行きとリズムを生み出しています。
そんな作品の下で体験できるのが、ミニ組子づくり(1個2,000円 ドリンク付)です。
模様は4種類から選べますが、今回は最も難易度の低い「竜胆(りんどう)」に挑戦しました。

体験には、ドリンクもセットになっています。
この日は、富山の自然を感じられる冷たいクロモジ茶をいただきました。
口に含むと、特有の清々しく上品な香りが鼻に抜けます。
添えられたクロモジの枝を軽く折ると、さらに豊かな香りが立ち上り、その爽やかさに森の中にいるような気分になれます。
クロモジは富山の里山にも自生する植物のひとつ。
こうした地域の恵みを通して富山の魅力を伝えたいという想いも、この体験には込められています。

体験キットには、あらかじめカットされた木材が用意されています。
職人さんのレクチャーを受けながら、一つひとつ組み付けていく工程は想像以上に奥深いもの。
接着剤を使わずに組み付けるため、最初は少し戸惑いますが、木に触れながら作業を進めるうちに自然と気持ちが落ち着いていきます。
ベースが完成したら、「葉っぱ」と呼ばれる模様のパーツをはめ込んでいきます。
端が斜めに加工されたパーツがぴたりとはまった瞬間は嬉しく、組子づくりの面白さを実感できる瞬間です。

さらに今回は、ミニ組子の4分の1ほどのサイズしかない「まめ竜胆」(ミニ組子とセットで7,000円)にも挑戦。
パーツの大きさは指の爪よりも小さく、職人技の繊細さを改めて感じます。
器用さに自信のある方や、ミニチュアの世界観が好きな方はぜひチャレンジしてみてください。

完成した組子は、そのまま眺めるだけでも十分に美しいもの。
ですが、光にかざして影を映すと、幾何学模様がより鮮やかに芸術的に浮かび上がります。
手の動きに合わせて影もなめらかに形を変える様子にとても癒されます。

制作時間は約40分。事前予約をしておくとスムーズです。
特別な持ち物は必要なく、ひとりでも、お子さま連れでも気軽に参加できます。
完成した組子は専用の箱に入れていただけ、持ち帰ることができます。
自宅で飾っておくのもいいですし、フレグランスをかけて使うなどの方法も。
あわせて、ものづくりの楽しい記憶と、富山の木工文化の奥深さに対する興味を持ち帰ることができます。

体験を終えた後、もしくは体験をしなくてもぜひ立ち寄りたいのが、物販コーナーです。
富山県の県鳥である雷鳥の巣をモチーフにした2種類の掛け時計「組子時計 雷鳥の巣ごもり」は、巣の密集具合とそれに伴って受ける印象もそれぞれ異なります。
無垢材の温もりを感じる質感もすてきです。

体験時のドリンクで使用されていた「とやまグラス」も販売されています。
こちらは富山ガラス工房所属の7人の作家が、それぞれの視点で「富山」を表現したシリーズ。
組子座のみで販売されているオリジナル商品です。
一つひとつ異なるモチーフが取り入れられていて、作家ごとの個性を楽しめます。

私がクロモジ茶をいただいたグラスは、岩肌をモチーフにしたもの。
底面のごつごつとした意匠が印象的ですが、実際に手に取ると安定感があり、しっかりとした厚みで実用性も兼ね備えています。

さらに、砺波市の三郎丸蒸留所で役目を終えたウイスキー樽の木材を活用した、珍しい組子のコースターも。
お酒好きな方へのギフトにもぴったりです。

組子の間に配された小さな花のようなモチーフは、麦をイメージしたもの。
整然とした幾何学模様の中に麦のモチーフがさりげなく散りばめられ、さりげなく作品にストーリーを添えます。

そのほか、組子細工の製作過程で生まれる端材を活用した「特選ヒノキの組子アロマスプレー / ディフューザー」など、サステナブルな商品も並びます。
組子だけでなく、ガラスや蒸留所など、さまざまな分野のものづくりが集まることで、富山の文化や産業の繋がりを感じられ、広がりが生まれるような場所です。
これらのアイテムは、ほとんどが組子座のみでのお取り扱いです。
これは、商品を購入するだけでなく、組子をはじめとした富山の魅力を五感で体験してほしいという想いからです。

ものづくりの楽しさを味わえるだけでなく、組子細工の繊細な技術や職人の仕事への理解も深めることのできる「組子座」。
県外から友人や家族が訪れた際の案内先としてはもちろん、お子さまと一緒に富山の木工文化に触れられる貴重なスポットです。

そんな「組子座」で私たちを迎えてくださるのが、谷端さんご夫妻。
奥様の美穂さんは、「富山のことを県内外の方へより伝わりやすく届けたい」という想いから、ユニフォームとして着物を選んだそうです。
また、組子細工の未来について尋ねると、「これからは平面だけでなく、立体作品の価値もさらに高まっていくと思います」と話してくださいました。
館内には美しい曲線を描く立体作品も展示されていて、現在特許申請中の技術もあるとのこと。
伝統技術を守るだけでなく、新たな表現や可能性を追求し続ける姿勢が印象的でした。

今後は、この魅力的な空間を活かし、カルチャー教室やワークショップを開催していきたいとのこと。
「地元の方にも、富山には素晴らしい場所や文化がたくさんあることを改めて知ってほしい。そして、組子細工の技術と富山の魅力を世界へ届けていきたいです」そう語るおふたりの言葉からは、組子だけでなく、富山のものづくり文化そのものを広く発信していきたいという強い想いが伝わってきました。

富山に暮らしていても、意外と触れる機会の少ない組子の世界。
「組子座」では、その美しさを眺めるだけでなく、自分の手で組み付ける楽しさまで体験できます。
作品を鑑賞し、木に触れ、職人の想いに耳を傾けるひとときを通して、富山が育んできた木工文化の奥深さに出会えるはずです。
ぜひ体験予約をして、出かけてみてくださいね。

組子座


住所富山県富山市新富町1-2-3CiC1F
TEL076-411-6118
営業時間10:00-20:00
定休日CiCの営業日に準じる
駐車場近隣に有料Pあり
公式webサイト( https://kumikoza.com/ )


この記事のライター

岩井なな(いわいなな)

富山県黒部市出身のインタビュアー・フリーライター。ライフワークはおしゃれホテル滞在で、年間全国100施設以上を訪問。北陸と東京の2拠点生活をしながら、全国各地のグルメ&おしゃれな名店を発掘するフードライターとしても活動する。

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