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野村再生工場の伝統受け継ぐヤクルト 今野龍太、坂口智隆らが自由契約から欠かせない戦力に

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ヤクルトの今野龍太(左)と坂口智隆,ⒸSPAIA

今野が加入2年目で勝ちパターン入り

ヤクルトは1990年代に”野村再生工場”と呼ばれ、野村克也監督が他球団で結果を残せなかった、あるいは力の衰えてきた選手を迎え入れ戦力に変えてきた。その伝統は今の時代も続いている。2010年代以降で見ても他球団を自由契約となった選手が、ヤクルトに加入してから結果を残すケースは多い。

投手では中継ぎ投手の活躍が目立つ。昨年は近藤弘樹(前楽天)が光った。楽天での3年間は通算17試合の登板で防御率7.00と戦力にはなれなかった。しかし加入初年度となった昨年は22試合の登板で防御率0.96。失点したのは2試合だけと抜群の安定感を誇った。残念ながら登板中のアクシデントで離脱してしまったものの、序盤の中継ぎ陣を支えたのは間違いなく近藤だった。


2020年加入の今野龍太(前楽天)は、いまや勝ちパターンの一員となっている。2020年に加入し、新型コロナウイルスの影響で6月にずれ込んだ開幕戦で初登板するもいきなりの2失点で敗戦投手となった。その3日後には登録抹消。8月に一軍復帰すると最終的には20試合の登板で防御率2.84と結果を残すも、勝ち星、セーブ、ホールドはひとつもなく、いわゆる勝ちパターンではなかった。

しかし昨年はシーズン途中から「7回の男」に定着すると64試合の登板で7勝28ホールド、防御率2.76とキャリアハイの成績を残している。今年は新型コロナウイルスの陽性判定を受けたことで出遅れたが、すでに一軍に昇格。勝ちパターンに戻ってきた。いまやブルペンには欠かせない存在だ。

2019年にはソフトバンクを戦力外となった五十嵐亮太が、2009年以来10年ぶりに戻ってきた。かつて「ロケットボーイズ」のコンビ名で愛された石井弘寿コーチと再びタッグを組み、石井コーチが担当するブルペンを支えた。チームは首位と18ゲーム差の最下位だったが、五十嵐は45試合の登板で5勝4ホールド、防御率2.98と結果を残している。

その他では2010年代前半に阿部健太(前阪神)、藤田太陽(前西武)らが中継ぎとして結果を残した。

坂口がレギュラーを獲得、大松・鵜久森らが代打で存在感

近年は投手の活躍に押され気味ではあるが、野手でも活躍した選手は多い。2020年に加入した嶋基宏(前楽天)は試合出場数こそ少ないものの、ベンチではムードメーカーや若手の相談役となりチームを支えた。2022年からは選手兼任でコーチ補佐に就任している。

その他で控えとして存在感を発揮したのが田代将太郎(前西武)や大松尚逸(前ロッテ)、鵜久森淳志(前日本ハム)だ。いずれもヤクルトでレギュラーにはなれなかったものの、田代は終盤の守備固めで出場機会を多く得た。


大松は0-10からの逆転勝ちで有名な2017年7月26日の中日戦で、代打サヨナラ本塁打を記録。鵜久森も2017年4月2日のDeNA戦で代打サヨナラ満塁本塁打を放っており、両選手とも代打での活躍が光った。

坂口智隆(前オリックス)は戦力外ではなく、野球協約上の減額制限を超える大幅な減俸をオリックス球団から提示され、それを拒否し自由契約を選択したパターンだ。優勝直後の2016年から加入し、3年連続で規定打席に到達。本職は外野だが青木宣親が復帰した2018年からは一塁の守備にもつき、チームを助けた。

その少し前である2013年には岩村明憲(前楽天)、2011年には宮出隆自(前楽天)とかつてヤクルトに所属していた選手が”出戻り”としてチームに加わった。宮出は少ない出場機会ながら2011年は打率.300、2012年は打率.296と打撃面で貢献した。現役を引退後は指導者としてチームに残り、2015年は一軍打撃コーチ、2021年はヘッドコーチとして優勝を支えている。

このようにヤクルトでは野村監督以降も他球団を自由契約となった選手を次々に戦力へと変えてきた。2010年代はもちろん、2020年代に入ってからも今野や近藤が結果を残している。これから先もこの伝統は受け継がれていくことになりそうだ。

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記事:勝田聡

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