疲労回復・血圧降下・血糖値上昇抑制…専門家に聞く8つのお酢パワー!
きのう九州が梅雨明けして、ついに関東も梅雨明け!しかし梅雨が明ければ待っているのは猛暑。暑いとついつい食欲も無くなりがちです。そこで夏バテしないよう古来から伝わる「お酢のパワー」について、お酢博士に教えていただきました。
教えてくれたのは発酵食品学がご専門。東京農業大学名誉教授で「お酢博士」としても知られる小泉幸道さん!
Q:お酢にはどんなパワーがあるのでしょうか?
A:酢の健康効果は「酸っぱさ」にあります。その素晴らしい力の多くは、酸味と香りの主役である「酢酸」にあります。原料や製造法によって含まれる成分の種類や量は少しずつ違い、味や香りの違いとして表れます。酢には即効性のある効果もありますが、長期間にわたってとり続けることで得られる素晴らしい効果があることが分かってきました。大きく8つの効果があります。
1.食欲増進:酢が酸味と香りが食べたい気分を刺激し、唾液の分泌を盛んにする。
2.疲労回復:糖と酢を一緒に摂るとグリコーゲンの再補充効果がアップする。
3.夏バテ解消:酢で食欲を促し、スタミナをアップする。
4.カルシウム溶質:酢は食材からカルシウムを引き出してくれる。
5.血圧降下:酢が血圧上昇に関わるホルモンの働きをセーブしてくれる。
6.血糖値上昇抑制:酢が糖の分解スピードを抑えてくれる。
7.便秘解消:酢が消化液の分泌で腸を刺激し、ぜん動運動を活発にする。
8.内臓脂肪の減少:酢が肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる。酢酸の働きで、脂肪の合成が抑制され、燃焼が促進されるために、腹部の内臓脂肪が減少した。
Q:お酢はいつ取り入れるのがいいのでしょうか?またどのくらいが適量ですか?
A:毎食事の最初に酢の物を摂る事で、口の中は酸味を感じて唾液が出てきます。と同時に食べた食物も唾液の消化酵素で消化されます。酢の物がなければ、お酢を5~8倍に薄めた液を盃一杯でも飲んで下さい。同様な事が得られます。
健康効果が期待できるお酢の量は、一日大さじ一杯(15ml)を毎日とり続けることです。とり方は料理や飲んでも効果は同じです。飲む場合は必ず5~8倍に薄めて飲みましょう。お酢をそのまま飲んだり、空腹時に飲むと、粘膜を荒らすことになりますので十分にご注意下さい。
なお、お酢の健康効果を得るためには、普段からの食事内容、食事量、運動量が大きく影響します。何よりも規則正しい生活、適度な運動、栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。
Q:小泉さんはどんな風にお酢を取り入れているのでしょうか?
A:「スティック野菜の甘酢漬け」を推奨しています。きゅうり200g、大根200g、にんじん100gをそれぞれ1cm角で4.5cmの長さのスティック状に切り、リンゴ酢150ml、砂糖70 g、塩小さじ2の漬け汁に漬けてください。保存は冷蔵庫で行い、食事時に取り出して食べます。小泉家の冷蔵庫には一年中、このスティック野菜の甘酢漬けが入っておりまして、毎食事に食べております。
一晩でもしっかりと漬かります
Q:加熱しても効果は変わらないのでしょうか?
A:酢の有機酸には、揮発成分と不揮発成分があります。主成分である酢酸は揮発成分ですが、酢酸の沸点は118℃と高いので、煮たてても簡単にはとびません。その他の有機酸として、グルコン酸・コハク酸・乳酸・リンゴ酸・クエン酸などがありますが、これらは不揮発酸なので加熱してもとびません。健康効果も変わらないので、煮ものや炒め物など、酢を使った様々な料理にお使い下さい。
Q:お酢ドリンクでも同じように「お酢のパワー」は得られるのでしょうか?注意点も教えてください!
A:お酢の力ですが、酸度が4%近くあれば健康効果は十分に得られます。お酢に果汁やはちみつなどをブレンドして飲みやすくした「お酢ドリンク」は現在たくさんの商品が販売されております。ただお酢ドリンクは多くの商品に糖質が添加されています。商品の原材料名を見て、「果汁」、「果糖ぶどう糖液糖」、「砂糖」、「はちみつ」などが書かれています。これらは血糖値を上昇させる栄養素である「糖質」にあたります。このため、糖尿病の方や血糖値が高めの方は、糖質が添加されているお酢ドリンクは控えた方が良いと思います。但し、大手お酢メーカーの商品で、0kcalタイプもあり、ブルーベリー味とりんご味の2種類が販売されています。
Q:小泉さんが好きな飲み方は?
1.リンゴ酢ミルクは、グラスにリンゴ酢大さじ1を入れ、ハチミツ大さじ1、牛乳120mlを加えてかき混ぜる。ヨーグルト飲料のような飲み口になります。
2.リンゴ酢ジュースは、グラスにリンゴ酢大さじ1を入れ、オレンジジュース180mlを入れて混ぜる。リンゴジュースやブドウジュース、トマトジュース等で代用しても大丈夫です。
3.リンゴ酢サイダーは、シュワッとはじける炭酸水が、酢のさわやかさを倍増します。加糖の炭酸水を使う場合はハチミツは入れません。炭酸水120ml、リンゴ酢大さじ1、(ハチミツ大さじ1)で良いです。
「リンゴ酢ミルク」とろっとしていて飲みやすいです。
Q:最後に暑い季節を迎えるにあたり、お酢を摂りいれることのメリットは?
高温多湿な日本の夏は、不快指数が高く、自律神経の働きが悪くなります。また、水分や冷たいもの、糖質の摂りすぎで胃の働きも衰えがちになり、やがてはだるい、元気がない、食欲がない・・・夏バテ症状が始まります。食欲が進まない時は、お酢や柑橘類を使った料理やドリンクが役に立ちます。適量のお酢は、食欲増進効果はもちろん、消化液の分泌を良くして疲れがちな胃を元気にしてくれます。また、肉料理や油を使った料理にはお酢をかけることにより、油の粒子が細かくなり、油っぽさが無くなり食べやすくなります。
今年の夏は猛暑になるとの予想もあります。ぜひ、お酢パワーで一緒に乗り切りましょう!