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【書評】京大卒「元日本一のニート」ご託宣から得るものはあるか

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「しなきゃいけないこと」の99%は「本当は別にしなくてもいいことだ」。そんな、ある意味衝撃的な「断言」が記された書籍を紹介しているのは、無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さん。柴田さんは今回、一部内容を「興味深い」としながらも、その主張の矛盾点や著者の無責任ともいうべき姿勢を指摘しています。

偏屈BOOK案内:pha(ファ)『しないことリスト』

『しないことリスト』
pha 著/大和書房

見るからに貧相な本。筆者はpha(ファ)という、今30代後半の男、京大を24歳で卒業、25歳で就職、できるだけ働きたくなくて社内ニートになるものの、28歳のときインターネットとプログラミングに出会った衝撃で退職、以来毎日ふらふらしながら暮らすというお気楽な人物。『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』なんて本も書いてる(幻冬舎刊)。

やる気のないスカスカ本の体裁だから、アッというまに読み終える。いわゆる「しなきゃいけないことの99%は本当は別にしなくてもいいことだと断言する著者は、「なぜしないといけないかが、自分でよくわからないことは、もうやめよう。まわりに理解されなくても、自分で実感の持てることや、自分のしたいことだけをやっていこう」と思い、会社を辞めたんだという。

無職になってからのほうが友達が増え、収入はかなり減ったけど、仕事によるストレスがなくなり、自由に使える時間が圧倒的に多くなったので毎日が幸福だという。仕事しないで好き放題に遊び暮らしているように体裁を装っているが、たぶんフリーでネットとプログラミングの仕事ができているから言えるわけで、いちおう安全地帯から、バカに錯覚を与えるようなことを言ってる人。

他人や世間の評価で行動を決めるのではなく、自分なりの価値観を持つこと。他人や世間のペースに無理に付いていこうとせず、自分のペースを把握すること。この二つのポイントを押さえることが大切だ、というがゴシック体で強調するほどの素晴らしいご意見ではなく平凡極まるが、心の中に巣くう「しなきゃいけない」呪縛を解く36個の「しないことリスト」の提案は一応興味深い。

第一章:所有しないリスト
第二章:努力しないリスト
第三章:自分のせいにしないリスト
第四章:期待しないリスト

という構成で、毎日何かに追われる生き方から抜け出すために、心の中に巣くっている「しなきゃいけない」を一つずつ整理していくというが、多少の不満を抱えながらも(みんなそうだよ)一応定期的に収入のある者に向けた画期的提案、でもないような気がする。

長生きしないというのもチェックポイントだって。「『自分はいつ死ぬかわからない』ということを思うと、ちょっと身が引き締まって意識がクリアになる感じが好きだ」なんて、わざわざゴチックにするほどのことでもないし、「義務教育終えたら余生」とか悪ぶっていても、「言うだけ小父さん」だよ。

「どんな素晴らしい思想でも、原理主義は行き詰まりやすい」とゴチックにしているが、お主がみなさんにオススメしている理想らしきものはそれと同じじゃないのか。「自分で書いておいてこんなことをいうのもなんだが、ここに書いてあることをすべて完璧に実践する人がいたら怖いなと思う」ので、適当に読んで、適当に自分に使えそうな部分だけ参考にしろと逃げを打つ。

「しないこと」はたくさん書いてあるが、「じゃ何をすればいいのか」については曖昧だ。その理由は「するべきこと」「したいこと」は人によって違うので、それぞれの人が自分自身で考えていくしかないことだから、なんだって。無責任だな。できるだけ、ラクに、自由に生きていくにはどうすべきか、というのが永遠のテーマの、京大卒・元「日本一のニート」なんだって。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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