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笑顔も、弱さも、全部ひっくるめて私。爽やかな風と共に踏み出した“アーティスト・吉武千颯”としての第一歩『週刊ラノベアニメ』OP「Hajimariの合図」インタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

プリキュアシンガーとして『プリキュア』の世界を歌で眩しく照らす吉武千颯さんが、ABCアニメーションの新レーベルからデビューシングル『Hajimariの合図』をリリース。

実力派ラノベ作家と人気イラストレーターがタッグを組み、縦型ショートアニメとして届けるというSNS時代ならではのトレンドを取り入れ、今までにない挑戦でアニメ界に新風を吹き込んでいる『週刊ラノベアニメ』。そのオープニングを飾るのは、吉武さんが歌う「Hajimariの合図」です。制作は「ゆず」の北川悠仁氏(作詞・作曲)ギタリスト・佐々木“コジロー”貴之氏(作曲・編曲)が担当。新しい始まりにぴったりの、疾走感あふれる一曲です。

愛らしく元気いっぱいな歌声は、ときに可憐に、ときに力強く。そして、ときには立ち止まってしまいそうになる瞬間の弱ささえも、ぎゅっと抱きしめてくれます。等身大の感情をのせた歌声が、ソロならではの自由度の高さで色鮮やかに描き出されているのも、本作ならではの魅力です。

さらにカップリング曲「love me Do」は、これまで多くのプリキュア楽曲を手がけ、『プリキュア』シリーズでこれまで共に歩んできた作家・馬瀬みさき氏による書き下ろし。公私ともに絆を深めてきたふたりだからこそ生まれた楽曲になっています。

自身の“ありのまま”の姿で挑んだ“アーティストデビュー”に対する手応えを吉武さん本人にたっぷりと聞くとともに、ABCアニメーション 音楽プロデューサー・井上洸氏にも制作の舞台裏を明かしてもらいました。

 

 

【写真】『週刊ラノベアニメ』OPアーティスト 吉武千颯インタビュー

“ありのままのわたし”を少しずつ届けたい

──ソロアーティストデビュー本当におめでとうございます! ファンの皆さんも待っていたと思います。

吉武:わあ、ありがとうございます! ずっと夢だったアーティスト活動を、こうして始められることが本当に嬉しいです。今回も『週刊ラノベアニメ』のオープニングという大役を任せていただいていますが、“プリキュアシンガー”といった作品の肩書きを離れての活動は今回が初めて。このデビューを機に、ファンの皆さんや、これから出会う皆さんに“ありのままのわたし”を少しずつ届けられたらいいなと思っています。今まで見せられていなかった部分も少しずつ出していきたいし、まだ歌ったことのないジャンルにも挑戦したい。「こういう吉武千颯もいるのね」と思ってもらえるような音楽を届けられたらと思っています。

 

 

──近年は写真集など、ビジュアル面でも新しい挑戦をされてきましたね。

吉武:ありがたいことに写真集でも、これまで見せたことのない表情を届けられたと感じていて。撮影もとても楽しかったですし、周りの方々のおかげでいろんな一面を見ていただける機会が増えました。その期待にたくさん応えられるように、もっと活動を広げていきたいですし、より多くの方に届けられるように頑張っていきたいです。

──今回のデビューはABCアニメーションの新レーベルから。そして、ABCアニメーションの新レーベルを牽引するのが、『プリキュア』シリーズでもお馴染みの音楽プロデューサー・井上さんです。おふたりの間でどういうやりとりがあった上でデビューに至ったのか、その道のりについてもうかがってもいいでしょうか。

吉武:ファンの皆さんや周りのスタッフさんにもソロデビューへの思いを伝えてきましたが、その際には“井上さんとご一緒したい”とずっと思い描いてきました。実際に以前から、周囲の方々にもその気持ちをよく話していたんです。これまでいろいろな方とレコーディングや音楽制作をご一緒しましたが、ご一緒してきた期間がダントツに長いのが井上さんで、もう7年くらいになります。プライベートと言うとなんだか大げさになってしまいますが、素の私のことをよく理解してくださっているので、本当に信頼していますし、井上さんの前だとありのままで歌うことができます。だからこそ、制作も心から「楽しい!」と思えるんです。

──井上さんは吉武さんのソロデビューに向けた想いや姿勢をどのように受け取っていたのでしょうか。

井上プロデューサー:あらためて経緯を説明させていただきますと……当時、僕自身はマーベラスで音楽制作を担当していて、そのころから吉武さんや七瀬彩夏さんの作品づくりに携わってきました。その後、ABCアニメーションに移った際にも「吉武千颯さん、七瀬彩夏さんの楽曲をリリースしたい」という思いがあったんです。また、吉武さんからは「(アーティストデビュー)できないのかな」といった不安の声も聞いていたので、それを叶えられるのは自分なのかなと。そこでABCアニメーションの音楽事業を立ち上げた時、最初に彼女とタッグを組むことを決めました。

 

 

──レーベル経緯の立ち上げなどの経緯をもう少し詳しくうかがってもいいですか?

井上プロデューサー:もともとABCアニメーションは多くのアニメ作品を手がけてきましたので、まずはその劇伴を自社で制作したいと考えていました。順番としてはいろいろ前後している部分もあるのですが、その上で、主題歌も作品に寄り添った形で自社から発信していきたいと思ったんです。

というのも、アニメーションと音楽が一体となって作品を彩ることの大切さを改めて感じていたところだったんです。それを考えたときに、アニメーション製作を手掛ける弊社にアーティストとして所属してもらうことで、作品の世界観に沿った楽曲づくりをより細やかにできるのではないかと。自分がこれまで培ってきたコネクションを最大限に活かし、どうすればより華やかに見せられるかを模索するなかで実現したのが、北川悠仁さんへのご依頼でした。

──吉武さんにとって北川さんはどのような存在でしたか?

吉武:北川さんといえば、私にとってはテレビの中の方といいますか。学校の合唱や卒業式でも「栄光の架橋」を歌った思い出もあります。そんな方が、自分のデビュー曲を書いてくださるなんて信じられなくて。最初、井上さんに「北川悠仁さんにお願いしようと思っている」と聞いたときは、頭が真っ白になって「え、北川さん? ゆずの??」とパニックになりました(笑)。でも同時に、とても嬉しかったです。

──ファンのみなさんの反応も大きかったですね。

吉武:発表されたとき、本当にたくさんのお祝いコメントやリポストをいただきました。こんなに多くの方に祝っていただけるとは思っていなかったので、とても嬉しかったですし、同時に「みんなの期待に応えたい。いや、それ以上のものを届けたい」と強く感じました。

──まさにタイトル通り、『Hajimariの合図』になったというか。最後の音色は、まるで階段を一段ずつ登っていくように高まっていく印象を受けました。

吉武:嬉しいです。私自身の新しいスタートでもありますし、聴いてくださる方にとっても「ここから始まるんだ」と思ってもらえるような曲になったら嬉しいです。デビューが決まったときに、いちばんにパッと浮かんだのはファンの方たちのお顔で。いろいろなところで「いつかソロデビューしたい」と言ってきた分、よく「いつかソロデビューしてね」と声をかけてもらっていて。ファンの皆さんに応援していただきながら、共に描いてきた夢のひとつが叶ったように感じます。ファンのみんなに早く伝えたい気持ちと、もっと頑張らなきゃという気持ち、いろんな感情が同時にありました。

──『Hajimariの合図』は、TVアニメ『週刊ラノベアニメ』のオープニング主題歌にも起用されていて。

吉武:『週刊ラノベアニメ』はジャンルも恋愛ものからバトルものまで幅広いので、その“いろいろな始まり”を彩れる楽曲になればいいなと思って歌いました。映像でもページがパラパラとめくれていく表現がありましたが、本を開いたときに新しい世界や楽しみが広がるようなものになったらなと。私にとっての新しい始まりでもありますが、作品を観る人にとっても、作品にとっても“始まり”を彩る曲になったら嬉しいです。

 

 

楽曲づくりを間近で体感したことで芽生えた新たな想い

──では改めて、制作のお話をうかがえたらと思います。北川さんとの作詞はどのように進んだのでしょうか。

井上プロデューサー:名古屋でのリリース記念トーク&特典お渡し会に登壇させていただいた時にも少し触れたのですが、悠仁さんは本当に陽のひとなので、オーケストラのレコーディングに立ち会った際も、吉武さんに自ら声をかけてくださったんです。その時はまだ歌詞が完成していない段階だったので、会話の中で出てきた言葉や雰囲気を、実際に歌詞に反映させたいという思いがあったのだと思います。

 

 

──だから歌詞に吉武さんらしい言葉がたくさん散りばめられているのですね。

吉武:そうなんです!  完成した歌詞を読ませていただいた時、「自分の感情がそのまま言葉になってる!」とびっくりしたんです。これが私のデビュー曲なんだと嬉しくなりました。

──そのとき北川さんとはどのような会話をされたんですか?

吉武:「なんでこの業界に入ったの?」「今はどんな活動をしているの?」といった基本的なことから、さらには家族のことまで、本当にイチからいろんなことを聞いてくださったんです。そして、ストリングスのレコーディングをしている横で、パソコンに向かってどんどん歌詞を書いていかれて。

そのなかで「このフレーズとこのフレーズ、どっちがいい?」と聞いてくださって、私が「こっちが好きです」と答えると、「じゃあそれにしよう」と即決してくださったんです。

そういった経験は今までなかったのですべてが新鮮で。楽器のレコーディングを見たのも初めてだったんです。こんなにたくさんの方が楽曲づくりに関わってくださっているんだ、といろいろなことを感じるところがあって……。この「Hajimariの合図」だけでなく、今まで歌わせていただいてもらった楽曲も、より大切に歌わなきゃってあらためて思いました。本当に、ありがたい気持ちでいっぱいです。

──北川さんから寄せられたコメントにも「色々お話していく中で、吉武さんが経験してきたことや、今の想いを歌詞に反映しています」とありましたが、そういうことだったんですね。また「瑞々しい疾走感を大切にして、番組チームの皆さん、そして吉武さんが前に進んでいけるように想いを込めて書きました」といったコメントが寄せられていましたが、吉武さんは読まれたときにどのように感じられましたか?

吉武:本当に嬉しくて! 家族からも「北川さんがコメントしてくれてるよ!」ってスクショが届いて(笑)。自分の名前と一緒に北川さんの言葉が並んでいるのを見ると、夢みたいで。改めて身が引き締まりました。

 

 

──少し話が戻ってしまいますが、ストリングス収録に立ち会った時のご感想もうかがってもいいですか?

吉武:本当にすごい迫力でした。演奏者の皆さんから「ここ、もう少しこうしましょうか」と意見を出し合いながら、何度もテイクを重ねていく様子を間近で見られて。楽器のレコーディング現場を最初から最後まで見学するのは初めてだったんです。自分が歌う時はまだ音が入っていない状態のことも多いので、「こうやって完成していくんだ」と感動しましたし、本当にたくさんの人の力で1曲が形になるんだなと実感しました。しかも、その日録った音が入っている状態のものでレコーディングをできたというのも、すごくありがたいことで。もっともっと頑張ろうと思えた大切な経験でした。

 

レコーディングは「すごく緊張したんですが……」

──〈Are you ready?〉と呼びかける部分もすごく印象的ですよね。

吉武:〈Are you ready?〉の部分は〈I’m ready〉と同じくメロディになっていたのですが、楽器のレコーディングのときに「ここはセリフっぽくしようか」ってお話して書いてくださったり。その場でいろいろと変わっていくことって今までなかったので、そういう意味ではすごく新鮮な気持ちでした。〈そんなんばっか 馬鹿みたい 〉って言葉遊びがたくさんあったりというのも、すごく楽しいなって。

──〈いつも 自分次第だよ大正解/トキメク 想い信じて 走り出すんだ〉ってところが、すごく吉武さんらしいなと感じていました。

吉武:ありがとうございます! そこもすごく好きです! はじまりを感じる歌詞とメロディで、スタートを切る楽しさやワクワク感と同時に、誰もが感じる不安も込められていて。「自分次第で未来は切り拓ける」と背中を押してもらえる曲だと思います。私自身も聴くことで「大丈夫、今日も頑張ろう」って、エールをもらえるというか……。おまじないのような曲をもらったような気持ちです。

 

 

──吉武さんにとっての応援歌にもなっているんですね。

吉武:そうですね。それこそ緊張する場面の前、たとえばライブの前などに「ありのままで大丈夫、頑張ろう!」って思えます。自分にとってのエールソングって、本当にありがたいなって。聴いてくださる皆さんにとっても同じように勇気を与えられる曲になったら嬉しいですね。本当に素敵な楽曲に出会えたなって思えます。特に、この曲のレコーディングのときは自分のなかでの環境が変わるタイミングだったということもあって、自分の中で感情がごちゃごちゃになっていたんですね。だからこそ、この曲に支えられてもらいました。これからも支えになる曲なんだろうなと感じています。

──レコーディング当日はどのようなディレクションがあったのでしょう

吉武:歌録りの時はコジローさん(佐々木“コジロー”貴之さん)が立ち会ってくださったのですが、「ここをもっとこうしてほしい」と細かく指示されることはほとんどなく、本当に私が練習してきたままを受け取ってくださった印象です。本当にありのままで歌わせてもらえました。実は今回、北川さんのスタジオで歌わせていただいたんです。心臓がバックバクでした(笑)。

──それは無理ないですよね(笑)。でもその緊張感も含めて特別というか……。

吉武:そうなんです! 北川さんもお忙しい中スタジオに来てくださって、とてもいい緊張感の中での収録でした。でも不思議といつものオーディションやレコーディングの時ほどの震えるような緊張はなくて。「あれ、なんでだろう?」って。

──実際、なんでだったんでしょうね? 

吉武:なんだったんでしょうね?(笑)。いつも緊張しすぎると息ができなくなってしまうんです。でも今回は緊張はしているのに、なぜか自然体で歌えて。自分でも不思議な感覚でした。はじめての感覚でした。

 

 

これからも笑顔は届けていきたい「でも」

──曲を色で捉えることの多い吉武さん。今回の「Hajimariの合図」はどんな色に見えますか?

吉武:私のなかでは空色です! 水色でも青でもなく、“空の色”そのもの。快晴というよりかは……晴れではあるんですけど、少し雲がかかった空をイメージしました。この曲には揺れる気持ちも含んでいて、でもサビでは雲が晴れていくような感覚です。

──まさに空のように揺れ動いている気持ちが映されていると言いますか。〈もうすぐ幕があく 泣いて笑って生まれていくストーリー〉という歌詞もありますね。

吉武:この曲をもらったことで“ずっと笑顔じゃなくて良いよね”って思えました。私自身、普段はあまり弱い部分を見せたくないタイプなんです。ファンの皆さんもだけど、まわりのスタッフさんにも見られたくないくらいで。がんばることは決してマイナスなことではないけれど、落ち込んでしまったり、不安になったりと、これまであまり周りに見せてこなかった部分も「全部自分なんだな」と思える。全部ひっくるめて自分なんだって思わせてくれる曲です。

 

 

──そういった吉武さんの等身大の変化や音楽をファンの皆さんも嬉しく受け止めているのではないでしょうか。

吉武:そうだったら嬉しいなあ……。リリースイベントで初めて歌わせてもらったときに、泣きながら聴いてくれている方もいらっしゃって、私自身も思わず胸が熱くなりました。MVが公開されたときも、コメント欄やSNS、インスタのDMなどに「朝に聴くと頑張れる」とか「試験の前に聴いて大丈夫だって思えました!」といった言葉をいただいて。

お渡し会で直接お話をうかがった時にも思ったのですが、みんな日々いろんなことがあるなかで自分の歌が「これからもがんばろう!」っていうエールになっているんだと思うと本当に嬉しかったです。……って話していると、なんだか泣けてきてしまうのですが。これからも聴いてくださる方の背中を押せるような楽曲を、たくさん届けていきたいと思っています。

──これまで“笑顔を届ける”イメージが強かった吉武さんですが、今回のデビュー曲を経て、素顔だったり、新しい表情だったりが見えるのかなと思うとワクワクします。

吉武:もちろんこれからも笑顔はたくさん届けていきたいと思っています! でも、そうではない一面を楽曲を通してだからこそ見せられるのかなって。今回の作品は、そういう側面を少しでも届けられたら嬉しいです。

──空と言えば、海での場面もあるMVも印象的でした。プリキュアソングを集めた『“えがおのおくりもの”〜Chihaya Yoshitake Precure Song Best〜』の表題曲のMVが初めてのMV撮影でしたが、当時、MVを作るのがひとつの夢だったというお話をされていて。今回も新たな夢が叶いましたね。

吉武:そうですね、本当にたくさん夢を叶えていただいています!

──撮影当日はお天気にも恵まれたそうですね。

吉武:そうなんです! 海のキラキラと空とのコントラストが印象的でした。「えがおく」のときもそうだったのですが、実は当日は雨予報だったんですよ(苦笑)。それで雨バージョンの撮影プランも考えていたんです。「傘を差して撮ろうか」「濡れてしまってもいいのでは?」なんて話もしていたんですけど、当日は真夏のように快晴で、むしろ暑すぎて(笑)。逆に「こんなに晴れなくてもよかったのにね」とスタッフさんと笑い合うくらい。空も海も、この曲にぴったりの映像になったと思います。

 

 

──それだけでなく、吉武さんの素顔を感じられるような場面も印象的でした。

吉武:寝起きのシーンや落ち込んでいる表情など、これまで動く映像では見せたことのなかった一面も撮っていただきました。そこから走り出して、大好きなステージに向かっていく。素敵なストーリーを楽曲のなかで作っていただきました。落ち込んでしまっていたり、ぼーっとしていたりする表情は、写真集では少し見せたことがあっても、映像でお見せするのは初めてだったので、自分でもとても新鮮でしたし、ファンの方からも「めっちゃ好き!」と言っていただけて、本当に嬉しかったです。

 

私の音楽やライブが“ただいま”と感じられる場所になれたら

──そしてカップリング曲「love me Do」は、吉武さんと仲のいい馬瀬みさきさんが作詞から編曲まですべて手がけられています。

吉武:みーちゃんに書いてもらいました! これまで作ってくれた楽曲とは違う雰囲気になっていて。レコーディング後、そのまま一緒に焼肉に行ったのですが(笑)、その時に「こういう曲を書きたかった」と言われて、とても嬉しかったです。今回は歌詞もみーちゃんが書いてくれています。ファンの方との握手会の様子を思い浮かべて書いてくれたようです。だからこそ、温かな雰囲気を感じました。ソロ活動をしていく上で「どういう活動にしていきたいかな?」って自分でいろいろと考えていたときにこの曲をいただき、これからの活動の方向性を示してくれたように感じたんです。

──というのは?

吉武:ライブで集まったときに、ファンの人たち同士がすごく仲が良いのが伝わってくるんですよね。そういう姿がステージから見えるとすごく嬉しくて。私の音楽やライブが“ただいま”って言えるような、みんなが帰ってこられる場所になったら嬉しいなと。そういう活動ができればいいなって思いました。

 

 

──歌詞の〈いつものあの場所で待ち合わせにしよう〉という部分も、まさに今のお話に通じますよね。そのあたりは馬瀬さんに相談していたんでしょうか?

吉武:全然していなかったんです! この曲の歌詞を見たときに「ああ、私の音楽もそういう場所にできたらな」って思って。「また会える日までがんばろうね」って思いが込められている歌だと思うのですが、聴いてくれる方たちがすごく幸せそうな顔でこっちを見てくれていて。発売前で、店頭ライブが唯一「love me Do」を聴いてもらえる場所だったのですが、初めて聴いてくれたときから、「すごく好き!」って言ってもらっていて。

私自身、可愛くて明るい曲を褒めていただくことが多かったのですが、「love me Do」のように少し落ち着いた、大人っぽい曲をこんなに好きと言っていただけるのは、とても嬉しかったです。

──これまでとは違ったテイストで、すごく素敵です。

吉武:本当に素敵な曲をいただきました。いつかワンマンライブを開けるようになったら、この曲をラストに歌って「お互い頑張ったね、またね」とライブを締められたら素敵だなって夢見ています。まだ2曲目ですけども(笑)。

──(笑)。たくさん楽曲が増えるのを楽しみにしています。井上さんからは馬瀬さんにどのようなオーダーをされていたのでしょうか?

井上プロデューサー:ジャンルを細かく指定したわけではなく、「プリキュアの枠を出た吉武千颯を表現したい」「みんなのよりどころになるような曲にしたい」というイメージを伝えました。「みんなで輪になって踊れるような、“ここがみんなの中心だよ”と伝えられる曲にしたい」とは伝えたような気がします。だから吉武さんの解釈は合っています。本来なら本人が作詞をしてもよかったのですが、結果的に馬瀬さんが作詞をしてくださって。実は馬瀬さんとお話していくなかで、いろいろな案があったんです。馬瀬さんからは「井上さんが作詞をしたら良いじゃないですか?」なんて言われたのですが……。

吉武:えっ見てみたい!

井上プロデューサー:でも鋭い言葉が入ってきてしまいそうなので(笑)。僕の言葉は曲調的にあまり合わないんじゃないかなと。本来アーティスト本人に作詞をさせるのも良いかなと思ったのですが、ふたり(吉武さんと馬瀬さん)がすごく仲良しなので、今回は馬瀬さんにお願いしました。

 

 

──馬瀬さんが吉武さんの楽曲で作詞まで手掛けるのは昨今だと珍しいですよね?

井上プロデューサー:そうですね。馬瀬さんは他コンテンツでも活躍されていて、そこで作詞・作曲もされていますが、『プリキュア』で吉武さんにご提供いただいた曲の中では「星座のチカラ」以来になります。

──きっと馬瀬さんからのエールも込められているんだろうなと。

吉武:きっとそうだろうなって。普段からみーちゃんにはいろいろなお話をしているんです。それこそちょっとネガティブなことだったり、お仕事ではないお話だったり。いろいろな一面を知っている方が書いてくださり、そしてみんなに届けられるってことが嬉しいなって思っています。

──「Hajimariの合図」と「love me Do」、それぞれまったく違う色合いを持っている印象です。吉武さんの中では「love me Do」はどのような色のイメージですか?

吉武:「love me Do」はショッキングピンクのイメージがすごく強くて! そういう意味ではおっしゃっていただいた通り、2曲とも全然違うカラーになっていて。これからどんどんいろいろな色を足していけるように、2nd、3rd と頑張っていきたいです。

──今回の経験で、歌や音楽への向き合い方に変化はありましたか。

吉武:さきほどの話と少し重なってしまうんですが、これまでは“マイナスな感情をできるだけプラスに変える”ことを心がけて歌っていたんです。でも今回のソロでは、自分の心にある揺れや弱さも、そのまま歌に込めて届けたいと思うようになりました。ありのままの感情を解き放ってもっともっと届けていきたいなと。それと、まだまだ知らない音楽もたくさんあるので、もっと勉強して吸収して、自分のお歌やライブに反映していきたいです。

 

 

──最後に、今後の展望を教えてください。

吉武:いつかはワンマンライブも開催したいなって。このファーストシングルをきっかけに、もっとたくさんの方に歌を届けていきたいです。そしていつかはワンマンライブを開催したい!

──いつか来るであろうワンマンも楽しみにしています! 井上プロデューサーからも今後のレーベルの展開についてうかがえますか。

井上プロデューサー:会社全体で音楽事業を盛り上げていこうと動き出しています。とは言え、本当にまだ“生まれたて”のレーベルなのでお話できることは少ないのですが、まずは吉武さん、七瀬さんのおふたりの活動を盛り上げていけたらなと。『プリキュア』シリーズでは僕やプリキュアシンガーの石井あみさんの母校でもある洗足学園で『プリキュアクラシックコンサート』も行います(井上さんは指揮を担当/9月に大盛況のうちに開催されました)。新たな試みにも積極的に取り組んでいきたいと考えているところです。

吉武:期待に応えられるようにがんばります! これからも一歩一歩、進んでいきたいと思います。

 
[インタビュー/逆井マリ]

 

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