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CAT'S EYE だけじゃない!【80年代アニメソング総選挙】あなたの1票で歴史が変わる!

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1983年08月05日 杏里のシングル「CAT’S EYE」発売日

80年代はアニソンが新たな進化を遂げた時代


80年代のナンバーワンアニメソングを決める『80年代アニメソング総選挙!ザ☆ベスト100』。この投票に際して、ノミネートされた200曲を総覧してみると、誰もが面白い現象に気がつくはずである。

それは、TM NETWORKや永井真理子といった人気アーティストから、おニャン子クラブ、西村知美、安田成美らトップアイドル、松崎しげるや前野曜子といったベテラン実力派シンガー、さらには水木一郎、串田アキラなどのアニソンを中心に歌ってきた歌手まで、アーティストと音楽ジャンルの幅が広すぎることである。人気アーティストがアニメの主題歌を歌うことは、今では当たり前のことだが、これは70年代までにはほとんどなかった現象なのだ。80年代はポップスやロック、アイドル歌謡の世界とアニソンが融合し、新たな進化を遂げた時代だったのである。

人気歌手がアニソンを歌った最初の例は、1965年に弘田三枝子が歌った虫プロ制作の『ジャングル大帝』の主題歌「レオのうた」だと言われている。また、ある時代まで、アニソンは映画音楽やテレビの劇伴、CMソングなどを手掛ける作曲家によって作られていた。そういった時代の代表的な作曲家に、菊池俊輔や渡辺岳夫、冬木透、渡辺宙明がいる。もちろん、筒美京平や宮川泰、阿久悠ら歌謡曲ジャンルの作家もアニソンを手掛けたが、それは限定的な起用に留まっている。

1970年代までのアニソンは、基本的にレコード会社では童謡扱い。その制作方法も、ヒットを狙う歌謡曲とは別の作り方であった。70年代のアニソンをほぼ一手に引き受けていた日本コロムビアでは、文芸部というセクションが一括して制作。この部署ではアニメの他、童謡や特撮、テレビドラマ作品も手掛けており、同社文芸部専属の歌手として、水木一郎やささきいさお、堀江美都子らが所属していた。70年代までのアニソンは専門ジャンルの音楽だったのである。

アニメが大人の鑑賞対象になり始めた70年代後半


これが変化するきっかけとなったのが、70年代後半。78年の沢田研二「ヤマトより愛をこめて」や79年のゴダイゴ「銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)」など、アニメの映画版主題歌、劇中歌が、ヒット曲として世に流れて以降である。これらの作品は、高校生〜大学生層が多く劇場に足を運んだ。いわゆる “ヤングアダルト層" と呼ばれる客層が開拓され、次第にアニメが大人の鑑賞対象になり始めたのである。

また、1979年の『週刊ヤングジャンプ』の創刊を契機とした、青年コミック誌の隆盛もあって、子供向けと成人向け(アダルト系漫画やバイオレンスもの、劇画などが中心)の中間層にあたる漫画が増えることにより、これらの漫画を原作としたアニメも数多く作られるようになった。アニメで表現されるジャンルが広がりを見せたことにより、必然的にアニソンのあり方も変化していく。

ヒーローものや魔法少女もの、ファミリー向けアニメに加え、ロボットアクションやSF、ラブコメといった “大人が主人公のアニメ” が増え、そこでかかる主題歌や劇中歌も、大人が聞いて満足できるポップス、ロック系の作品が増えてきたのだ。

杏里が一躍トップシンガーの仲間入りを果たした「CAT’S EYE」


その象徴的な現象が、1983年にリリースされた杏里「CAT’S EYE」の大ヒットだった。日本テレビ系アニメ『CAT'S EYE』のオープニング曲で、オリコンチャートの1位を獲得する大ヒットとなり、杏里は一躍トップシンガーの仲間入りを果たした。作詞は三浦徳子、作曲は小田裕一郎。松田聖子の「青い珊瑚礁」などの初期作を手掛けたコンビによる作品で、従来のアニソンとは一線を画す、というより普通にダンサブルなポップチューンとしても聴ける。

実際、アニメの主題歌を歌うことに対する抵抗は、杏里の中にも少なからずあったと後に語っており、アーティスト側には、まだアニソンを歌うことへの躊躇があったであろうことは想像に難くない。だが、ここで都会的なダンスミュージックがアニソンとして選ばれているのは、『キャッツ♡アイ』の作者・北条司の描く世界が、恋愛要素も絡む、泥棒三姉妹の洒脱なアクションものだったから。故に、歌とアニメの世界観はピッタリとリンクしている。テレビアニメが、こういった大人向けの都会的な世界を描くことにより、アニソンのスタンスにも大きな変化が起きたのだ。

「悲しみよこんにちは」の斉藤由貴など、アイドル系シンガーが多く起用


アニメの表現ジャンルの多様化によって、その主題歌を歌うアーティスト側にとっても、「アニソンであり、ポップスでもある」という両輪での活動が可能になった。特にこの傾向が強かったのが、ラブコメ系アニメで、あだち充原作『タッチ』の主題歌を歌い続けた岩崎良美は、「タッチ」「青春」といった楽曲が彼女の代表作となった。他にも『さすがの猿飛』の主題歌「恋の呪文はスキトキメトキス」を歌った伊藤さやか、『めぞん一刻』主題歌の「悲しみよこんにちは」をヒットさせた斉藤由貴など、アイドル系シンガーが多く起用されている。

一方で、80年代中盤以降は『シティーハンター』の関連楽曲に、EPICソニー系のアーティストが数多く参加。ラブコメの名作『きまぐれオレンジ☆ロード』も同様で、アーティストの作るロックやポップスがアニソンに起用されるケースが増えてきた。物語の世界とのリンクが自然に為されているのは、歌を聴く世代とこれらのアニメを鑑賞する世代が一致していたこともあるだろう。

売野雅勇と林哲司が作詞作曲し、中村由真が歌った料理アニメ『美味しんぼ』の主題歌「Dang Dang気になる」など、普通に爽やかなアイドルソングにしか聴こえないが、実のところ、主人公の山岡士郎に思いを寄せる栗田ゆう子の視点で歌われている。ある種、アニメのイメージソング的なアニソンの作り方も、80年代半ば以降、一般的になった。

人生の哀歓や孤独、別れや宿命を歌う「機動戦士ガンダム」シリーズの主題歌


SFロボットアニメ『機動戦士ガンダム』シリーズは、井上大輔の「めぐりあい」「哀・戦士」、やしきたかじん「砂の十字架」、森口博子の「水の星へ愛をこめて」など、人生の哀歓や孤独、別れや宿命を歌う名作揃いである。「ガンダム」の楽曲は、明らかに大人の世界観で、初見の時点では子どもだったリスナーも、大人になってから、歌で表現された内容の深さが実感できるのだ。

そして、「キン肉マン Go Fight!」や「CHA-LA HEAD-CHA-LA」といった、従来のアニソンの進化系と言える楽曲も、多くのリスナーの人気を獲得した。この2曲の作詞を手掛けたのは森雪之丞で、語呂合わせやダブルミーニングを多用するその作詞法は、氏が手掛けてきたシブガキ隊の作風と根本は変わらない。だが、森雪之丞自身は、作詞する際に、「自分の中にキン肉マンや悟空が入ってこないとアニソンは書けない」と語っており、まずアニメの世界を理解し、それを体現するという、アニソンに向かう基本姿勢あってのもの。

作曲家ではアイドル歌謡の世界で売れっ子だった馬飼野康二も、その派手でイケイケな作風は明らかにアニソン向き。『おはよう!スパンク』『ゲームセンターあらし』『戦闘メカザブングル』など、子ども向けからヒーローアニメ、ラブコメまで多彩なアニソンを書き分けている。こういった人気アーティストや、売れっ子作家のアニソンへの起用は、ポップスやロックの世界とアニソンの間に、音楽的な差異がなくなりつつあったことの証明だろう。

また、元レイジー(LAZY)の影山ヒロノブや、ソウルシンガーとしてデビューした串田アキラなど、新たなアニソンの歌い手の登場も、この現象に拍車をかけた。水木一郎やささきいさお、大杉久美子ら70年代から活躍するアニソンシンガーも元は別ジャンルの歌い手だったのであり、こういった「アニソンに向いた、アニメのキャラクターに成り切れる歌手」というのは、いつの時代でも重要な存在である。

1980年代のアニソンは、従来のスタンスに加え、新たな進化と発展を遂げていく、過渡期のダイナミズムに溢れている。ふっと口ずさんでしまうアニソンが多いこともこの時代ならではの特徴で、それは図らずも、日本の音楽の幅が広がり、豊かになっていった時代の象徴的な現象でもあるのだ。

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