「不登校の出席扱いや成績は?」 「フリースクール」の費用と知っておきたい法律・制度[教育ジャーナリストが解説]
子どもが不登校になり、フリースクールを検討しはじめるとき、親として気になるのが「費用」、そして学校の「出席日数」や「成績」のこと。「学校を休んでも出席扱いになるの?」「成績表はどうなる?」と不安に思う方も多いでしょう。教育ジャーナリスト・おおたとしまさの新刊『フリースクールという選択』(講談社+α新書)5月11日刊行から、全国のフリースクールの実態と、注意すべき出席認定や成績評価の代行業者、保護者が知っておくべき法律について一部再構成してご紹介します。
半数近くは児童生徒数が10人以下
現在全国に500以上のフリースクールがあると推測されていますが、その実態はほとんど謎です。
公的な制度に基づいた機関ではありませんからしかたありません。特定非営利活動法人フリースクール全国ネットワークがまとめた『フリースクール白書2022』(学びリンク)には、フリースクールに関する貴重なデータが満載です。
それによれば、半数近くのフリースクールが児童生徒数10人以下です。逆に51人以上はたった2.1%しかありません。一般的な学校における1クラスにもならないような人数のフリースクールがほとんどなのです。
また、約4分の3が年間1000万円以下で運営されています。家賃、光熱費、教材費はもちろん、ここからスタッフの給料も支払われています。
現在の日本の平均年収が約500万円であることを考えると、非常に厳しい財政状況であることがわかると思います。運営母体にはNPO法人や株式会社が目立ちますが、個人や任意団体が法人格を取得しているケースが多いのが実状です。
一方で、約7割が月会費を3万円以下に設定しています。財政状況は厳しいけれど、ただでさえ不登校の状況に困っている家庭から多額をもらうわけにもいかないというジレンマのなかでぎりぎりに設定されている金額であることが想像できます。
ただしここ数年、各自治体においてフリースクール利用料を助成する制度をつくる動きが盛んです。
たとえば東京都では月額2万円まで、滋賀県草津市では月額4万円まで助成されます。お住まいの都道府県、市町村に同様の制度がないか、調べてみましょう。
出席認定や成績評価の代行業者には要注意
さらに、フリースクールを検討するうえで知っておいたほうがいい法律や制度を、最低限だけ押さえておきましょう。
まずは出席認定。現状の法律では、義務教育段階の子どもは一条校に籍を置かなければなりません。
フリースクールに通うときは、たとえば居住地域にある公立小中学校または受験して入った私立小中学校に籍を置きながら、そこを欠席している状態になります。
しかし、定期的に学校と学習状況を共有し相談を受けるなど、いくつかの条件を満たしていると在籍校の校長が認めれば、子ども個人の書類上は出席扱いにしてもらえます。オンライン教材を使った学習でも一定の条件を満たせば出席と認められます。
次に成績評価。フリースクールでの学習履歴をもとに、学校の通知表に評価をつけてもらうことです。
ただしフリースクールでの学びは在籍校のカリキュラムとは考え方からして大きく違いますから、評価のしようがないのが実状です。出席扱いにはなっても成績まではつけられないケースが多いようです。
出席認定や成績評価をもらう交渉を代行してくれるかのような業者には注意してください。
特別なノウハウなんてありませんから、お金を支払うほどのことではありません。ましてや出席認定や成績評価は、見方を変えればフリースクールを在籍校の下請けのようにみなす制度です。
出席日数が少なくても、成績がついていなくても、小中学校を卒業することはできます。高校受験の内申書には影響する可能性がありますが、上位進学校を目指すというのでなければ、不登校経験者でも進路は見つかります。
むしろ、出席や成績という“形式”にこだわる社会の空気こそが子どもたちを苦しめているのではないでしょうか。
覚えておきたい たったひとつの法律とは?
日本の学校教育は、憲法と教育基本法に基づき学校教育法によって定められていますが、学校教育法で定められた学校以外での学びについての考え方を定めたのが2016年に成立した「教育機会確保法」です。
この法律ができてから、不登校に対する世間の風当たりががらりと変わりました。フリースクールに関連してまず一般の保護者が知っておかなければならないのはこの法律ひとつだけで十分です。
しかも直接的に大事なのは、この法律に基づいて文部科学省が2017年に発した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本方針」のほうです。
不登校はどの児童生徒にも起こりえる。不登校というだけで問題行動には当たらない。不登校児童生徒への支援の目的は社会的自立であり、学校復帰のみを目的にしない。不登校の親子を追いつめてはならぬ。――という主旨が明記されたことが画期的でした。
これらをもとにしてさらに文部科学省が2019年に発した「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」には別記1「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」と、別記2「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」が添えられています。
出席認定や成績評価について学校側との話し合いで認識のズレを感じる場合には、基本知識として、いちどこれらの別記に目を通してみてください。
【編集部より】
不登校に悩みフリースクールを検討している親御さんにとって、各スクールの仕組みや費用はもちろんのこと、「出席」や「成績」といった学校の枠組みも重いプレッシャーになります。
しかし、法律や制度の正しい知識を持っていれば、不要な不安を減らし、悪質な業者から身を守ることもできます。
新書『フリースクールという選択』(講談社+α新書)では、このような基礎知識に加え、著者・おおた氏が実際に足を運んだ全国の多様なフリースクール約20校を徹底取材。
公立小学校とフリースクールを併用する柔軟な通い方や、大学内に設置された無料フリースクールなど、多様化する学びの形に「そんな選択肢があったんだ!」と驚かされます。
わが子に合った学びの場を探す第一歩として、ぜひお手に取ってみてください。
おおたとしまさPROFILE
教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートから独立後、教育に関してさまざまな観点から取材を行い、著書は90冊以上。どこの組織にも属さない在野の視点で現代の教育への考察・提言を続けている。メディアへの出演や講演も多数。
“フリースクール探し”で最初に読む本、登場! 『フリースクールという選択』(著:おおたとしまさ/講談社+α新書)