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老舗銭湯が「若者も繰る場所へ」幾度の対立・トラブルも乗り越えた38歳【北海道・旭川市】

Sitakke

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経営難で60年の歴史に幕を下ろした北海道旭川市の銭湯を銭湯文化を愛する若者たちが蘇らせました。

1年半ぶりに復活した旭川市神楽の銭湯「菊の湯」。

「ところどころスタイリッシュで、なんか、昭和と令和の融合みたいな感じで、カッコイイです」
「いいね」

お客さんの反応は上々のよう。
しかし、銭湯の再開には多くの試練がありました…。

逆風となった入浴客の減少や燃料代の高騰。

「菊の湯」前経営者、熊谷清志さん(70)は「入浴客減少などのダメージがすごく大きくて、最終的に営業が難しいという判断をした」

菊の湯は2023年3月をもって閉館。

ところが、銭湯を継ぎたいと名乗り出る若者が現れました。

京都で銭湯文化を広める活動をする「FRO CLUB」の塩路道徳(しおじ みちのり)さん(38)です。

「菊の湯が閉店したことで、悲しんでいる神楽の人たちが来てくれるのではないか。若者が積極的に来てくれる銭湯カルチャーを旭川に広めたい」

しかし、銭湯経営の厳しさを知る熊谷さんにこの復活案を猛反対されます。

「目玉」をめぐって意見の対立も

「菊の湯」前経営者の熊谷さんは「お風呂屋さんだから大変です。時間的な拘束や金銭面とかあることを分かった上でやってほしい」と「菊の湯」復活案になかなかうなずくことができませんでした。

「やる以上は長く続けてもらいたい」

そんな熊谷さんを、塩路さんは半年かけて説得し、施設を借り受けました。

「新生・菊の湯」の目玉に据えたのは、若者にも人気のロウリュ式のサウナ。

クラウドファンディングでの資金調達も順調に進み、「3年くらいでサウナ代をペイにできる計算になっている」と意気込んでいたところ、またしても意見が対立します。

光熱費が割高のサウナの導入を、熊谷さんが心配したのです。

塩路代表「サウナを残すことは銭湯には重要」

熊谷さん「今はな」

塩路代表「今じゃなくて今後もです」

熊谷さん「いや、わからんぞ」

塩路代表「銭湯からサウナを無くすことで客は減っていく」

熊谷さん「まぁ、やってみれ。俺なら絶対やらんぞ」

塩路代表「僕らもそれで…頭を打つこともあるかもしれないけど1回僕らはそれでチャレンジしたい」

熊谷さん「やってみれ」

サウナにも勝る、熱い思いが通じました。


オープンまでも波乱の道のり

「菊の湯」前経営者の熊谷さんが、「新生・菊の湯」を見守ります。

「2度と風呂屋はやらないと思っていた。若い人たちがやらせてくれ、やらせてくれって何とか再生させたいと言うから。新しい感覚で経営していくなら、それはそれでいい」

当初は、5月の大型連休までにオープンする予定でしたが…

引き継いだ塩路さんは建物の老朽化に苦労していました。

「めちゃくちゃ大変です。想像していた以上に大変。1年の間で、これだけ老朽化していくのを肌で感じている」

本来は、新・菊の湯の運営にタッチしないつもりだった前の経営者の熊谷さん。
作業の遅れを見かねて、本腰を入れ始めます。

8月には、待望のロウリュ式サウナの設置や配管工事が完了。

そしてようやく試験運転の日を迎えましたが…
今度は、何度点火してもボイラーがうまく動きません。

じわじわと塩路さんに焦りの色が…。

「職人も初めて扱うバーナーだったので、どうなることかと思った。一瞬、目をそらしていたけど、最悪の展開にならなくてよかった」

原因は煙突の目詰まり。ようやくボイラーに火がつき、浴槽に湯が張られ、目玉のロウリュ式サウナも無事に動き出し…。

「最高です。思った以上にいい」

塩路さんもようやく笑顔です。
そして待ちに待った開店の日がやってきました。


対立乗り越え迎えた初日

「新生菊の湯」の開店を迎え、前経営者の熊谷さんは「一旦、やめると言ってやめているから、再開はすごくうれしいけど心境としては難しい…」と話しました。

「でもいいんじゃない、にぎわってくれて常連客とも会っていろんな話もできて、この次につながっていけばいいことだから」

初日の入浴客は、目標の300人に到達。
幾度もあった対立やトラブルを乗り越えての大入りでした。

「菊の湯」新経営者の塩路さんが、「頑張ります。ありがとうございました」と声をかけると、前経営者の熊谷さんが「はい、ごくろうさん」と応えます。

再開後の「菊の湯」には、多い日は150人のお客さんが訪れるそうです。
2023年の閉店のときには、常連客が70人程度だったそうなので、半分以上が新規客ということになります。

いつまでも残したい銭湯文化。再び、「菊の湯」が地域に根付こうとしています。

■「菊の湯」
・北海道旭川市神楽5-14
・午後2時~午前0時
・不定休
・大人500円(サウナ 別途200円)

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年10月3日)の情報に基づきます。

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