可愛らしさと、心地良さと、癒やしのミストに包まれて──アニメ『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』久野美咲さん×伊瀬茉莉也さん×土岐隼一さん×豊崎愛生さんによるキャスト座談会【連載 第1回】
4月よりABEMAで先行配信され、7月から地上波放送がスタートした『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』。伯爵家の長男・菊乃井鳳蝶に生えたのは、前世(料理と手芸を愛する日本に生まれたフツーの男性)の記憶だった!? ちょっぴり太めでもっちもちほっぺの5歳児・鳳蝶が、突然出来たひよこな弟・レグルスくんのために、前世の記憶と特技を使って子育てに挑戦。料理と教育と音楽と、癒やしの領地経営ファンタジーです。
今回は『しろひよ』の物語を紡ぐキャスト4名で座談会を開催! 全4回シリーズの1回目です。
初めはネガティブな意味で使ってたその言葉が、段々と愛おしくなってくる感じがいい
──ユニークなタイトルですが、初めて聞いたときはどのように感じましたか?
久野美咲さん(以下、久野):タイトルがとっても長くて、思わず声に出して読んでしまうようなインパクトがありますよね。記憶が「生えた」っていうのもユニークな表現で、色々と想像が膨らみました。
伊瀬茉莉也さん(以下、伊瀬):初めてこの作品についてお話があったとき、「『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』の件ですが」って言われて、「すごい長いな(笑)。省略するとき、どうするんだろう?」ってまず考えました。『白豚貴族』じゃ、ちょっとあんまりだし……。でも、インパクトのあるタイトルだからこそ、記憶にも残りますし、愛着を持って愛でてくださるんじゃないかなと感じました。
土岐隼一さん(以下、土岐):僕はもう、『貴族』すら抜いちゃって、『白豚』って呼んでたんですけれど、さすがに『白豚』は外で話すとき、コンプライアンス的に危ないので止めました(笑)。最近は内容すべてをタイトルで説明する作品が多いと思うんですが、本作の場合は絶妙に分かるようで分からない。白豚貴族ってどういうこと? ひよこな弟ってどういうこと? そもそも記憶が生えるって? そういうキャッチーなワードがとても多く、引き込む力があるタイトルだと思いました。
豊崎愛生さん(以下、豊崎):白豚もひよこもいて、大変賑やかで(笑)。
──動物が2匹も。
豊崎:そもそも「白豚貴族」ってなんだろうと思ったら、鳳蝶くんの自虐ワードなんですね。でも、初めはネガティブな意味で使ってたその言葉が、段々と愛おしくなってくる感じがいいですよね。ちなみに、アニメの推奨愛称は、『しろひよ』らしいです。
土岐:久野さんのお声で「白豚貴族」って言うと、全然、嫌な感じに聞こえない。どこにも棘がない声で、本当にぴったりな声。
久野:白豚にぴったりの声……(笑)
土岐:いや、あの、違っ……ちゃんと書いてください! 今の話の流れ、すべて端折らずに……!
伊瀬:まずい、まずい(笑)。
土岐:鳳蝶です! 鳳蝶くんが、タイトルを言うのにピッタリなお声です(笑)。
──『しろひよ』は絵作りも特徴的で、とても美しく可愛らしいのですが、絵に関してはどのような印象を持たれましたか?
久野:色使いがすごく素敵だなって。カラフルなんですけれど、けっして派手じゃなくて、心地の良い艶やかさに引き込まれました。
土岐:全部、優しい色合いですよね。輪郭線も黒じゃない。
──鑑賞の際は、ぜひそこもチェックして(笑)。
豊崎:私、元々、原作小説の挿絵を描かれている、keepout先生の絵が大好きなんです。光がとても綺麗に入っていてキラッキラで、でも、優しい雰囲気で……。原作ファンの方はkeepout先生が描かれた鳳蝶くんやレグルスくんを思い浮かべながら小説を読まれていると思うのですが、アニメーションでも先生の唯一無二の世界観はしっかり表現されていて、アニメーターチームの作品に対する愛情を感じます。
伊瀬:鳳蝶くんのほっぺのもちもち感が動画になってより分かるようになったよね。
久野:柔らかさが映像から伝わってきて、思わずモチモチしたくなっちゃいます。あと、鳳蝶くんのお腹、こんなに出てたんだって、アニメになって再認識しました。
一同:確かに(笑)。
久野:演技中も一応、お腹が出ているということは意識してたんですけれど、想像以上でした(笑)。
伊瀬:私もレグルスくんのお父さん譲りの肌が、もう可愛くて可愛くて……。絵や色から得る情報量がすごく多いので、アフレコの助けになりました。
豊崎:あと、神様とエルフ族のエフェクトがキラキラと派手なので、演技でもそれに負けないようなオーラとカリスマ性を出さなきゃと思ってプレッシャーを感じてます!(笑)
演じているキャラクターの推しポイントはこれ!
──初回ということで、演じられているキャラクターの推しポイントをアピールしてください。
久野:鳳蝶くんはものすごく心が広くてたおやかな人。見た目はちょっぴりお腹がプニプニしている5歳の男の子なんですけれど、前世の日本の成人男性の記憶が生えているので精神年齢はとても大人で、頭の回転も速い。
レグルスくんとの間に怖い未来が待ち受けているのにも関わらず、その運命をまるごと受け入れて、それでもレグルスくんに優しく接することが出来る。レグルスくんだけじゃなく菊乃井家の人など周りのすべての人に対して、みんなが毎日楽しく幸せに過ごせるよう気を配っている。そこが鳳蝶くんの魅力だと思います。
──普通の30歳でもそこまで気を遣えるかどうか……。対するレグルスくんはいかがですか?
伊瀬:レグルスくんは私が演じているキャラクターの中でも、特に幼いキャラです。最年少かもしれない。彼はまだ世の中のことを何も知らなくて、善悪の区別すら付いていない。本当にピュアな状態の子です。
──ピュア過ぎて個性を出すのが難しそうですが?
伊瀬:あのぐらいの年齢の子たちって、みんな内面に大きな差はないと思うんです。私はキャラの性格というか、その子の“芯”のようなものを持たないと演じることができないんですが、レグルスくんはその芯がまっさらな状態。なので、敢えて何も考えず、嬉しいとか楽しいとか、そういうシンプルな感情をそのままセリフに乗せています。
豊崎:茉莉也ちゃんの「うちゅのみやー」って言うのが、可愛くて可愛くて……。
久野:魔術を「まじゅちゅ」って言うのもめちゃくちゃ可愛いんですよ。隣のマイクに立ってセリフを聞いていて、キュンキュンしちゃいました。
土岐:我々が必死で噛まないようにしているところを、敢えて噛んでいる(笑)。
──これは台本にもそう書いてあるんですか?
伊瀬:そうです。「うちゅのみや」「まじゅちゅ」って平仮名で書いてあります。そのほかのセリフも全部平仮名で書いてあって、実は逆にちょっと読みづらいこともあるんですが(笑)、それがレグルスくんらしさだと思うので、その通りに読んでます。
──ロマノフはいかがでしょう?
土岐:ロマノフは、人間、特に鳳蝶くんとの距離感が絶妙なんです。彼はとても長い年月を生きてきて、その結果、人間というものに興味を持つようになった。そして、そんな自分のことも嫌いじゃない。もちろん、エルフなのでエルフ特有の考え方から人間に冷たく当たることもあるんですが、ロマノフ自身にも人間味のようなものを感じることがあるんです。そういうエルフっぽくないエルフさっていうのが彼の魅力のひとつだと思います。だから、演じる際もエルフだけど、より人間味のある、ぬくもりの感じられる奥行きのある人物像にしたいと思ってます。TVアニメの前に実はドラマCDがあったんですが、そのときより少し崩してしゃべっているんですよ。やり過ぎると音響監督の渡辺(淳)さんに怒られちゃうんですが(笑)。
──人間ではない種族といえば、百華公主もそうですよね?
豊崎:彼女は大地の豊穣を司っている女神様で、見目麗しいお姿をされています。ちょっと和風のテイストもあって、羽衣のような布をまとった着物風の衣装を着ていて、花のように美しい。そして、驚くほどミーハーです(笑)。鳳蝶くんに対しては、当初「なんか変わった人間がおるな」程度の認識だったのが、接するうちに「幼い兄弟が世界を変えていこうと一生懸命に頑張っている」のを見守るスタンスに変わり、物語後半では手助けもしていきます。
土岐:僕、豊崎さんが百華公主を演じるときの、「許せよ」っていう言い方が好きなんです。普通だったら語尾をふんわりさせて優しめに言うと思うんですけれど、豊崎さん演じる百華公主は語尾が下がらず、厳しめに言い切るんです。そこに神様の威厳を感じる。すごく凜々しくて格好いい。僕が演じるエルフとは違う、もう一段階上の存在なんだなって感じがしました。
豊崎:そう言っていただけると嬉しいです。土岐さんのロマノフもすごいんですよ。ロマノフはこの世界の設定や込み入った状況の解説を全部担当しているので本当に大変だと思うんですが、土岐さんの美しい、耳心地の良い声で説明していただけると、すっと頭に入ってくる。土岐さんの長ゼリフも見どころのひとつだと思います。
伊瀬:神様やエルフの方々のお声には、ベールというか、癒やしのミストのようなものがかかっていて、独特な周波数があるように感じます。もちろん意図的に狙って演じられている部分もあるとは思うんですが、元々、声色に神様っぽい、エルフっぽい部分があるのかなと思います。
豊崎:えー!? うれしい!
久野:愛生さんの百華公主のお芝居は、すごく気品があって神秘的なんです。いつも鳳蝶くんとレグルスくんのことを優しく見守っている、優しさや包容力も素敵で。あと、百華公主の周りはいつもキラキラしていて絵がとても綺麗なので、そこにも注目していただきたいです。
※続きは、第3話放送後に公開!