子どもが「嘘」をつくのは理由がある。子どもが嘘をついたら実践したい"3つのステップ”
臨床心理士・公認心理師のyukoです。大きさや程度は人それぞれですが、“一度も嘘をついたことがない人”はいないのでは。嘘には、悪意のあるものから、優しさから生まれる嘘まで多岐にわたります。子どもが嘘をついたとき、どのような対応を心がけたらよいでしょうか。“子どもの嘘”との付き合い方について考えていきます。
どうして嘘をつくの?
発達心理学上、子どもは3歳頃から嘘をつけるようになるといわれています。
語彙の知識や想像力が伸びていくと、「自分の発言が変われば、相手の反応も変わる」という事実を理解できるようになります。
そして、成長に伴い、様々な嘘を身に着けていくのです。
・空想と現実の曖昧さから生じる嘘空想と現実の曖昧さから生じる嘘
(「大好きな人形がおしゃべりしたんだよ」など、思い込みから話す)
(「大好きな人形がおしゃべりしたんだよ」など、思い込みから話す)
その場しのぎの嘘をとっさに口にしてしまい、口に出した言葉から話を作った経験はありませんか?
”とっさの嘘”はなぜ必要だったのでしょうか。
相手を欺くため、怒らせるため、悲しませるため?
それだけではありませんよね。
子どものついた嘘の背景にも、きっと大切な何かが隠されているはずです。
子どもの嘘に気づいたとき、大切にしたい3ステップ
1.嘘に隠された本音を知る
「もう宿題は終わった」
「今週はテストないみたい」
「友達とは仲良くやってる」
子どもの言葉に疑いを持たなければ、すんなり信用して聞き流せる言葉です。
一方、”本当に?”と感じると、探りを入れますよね。
詳しく聞いていくと、
「もう宿題は終わった(と言わなければ、ゲームをやらせてくれない)」
「今週はテストないみたい(と言わなければ、また成績について怒られる)」
「友達とは仲良くやっている(と言わなければ、友人関係を心配される)」
という本音が引き出されてきます。
嘘をついた子どもの態度に腹が立ち、裏切られた気分になるときもあると思います。
しかし、本音を知ったとき、余計に厳しくする・叱る・心配すると、子どもはさらに嘘をつくようになります。
本音を受け止めてもらえなければ、「本当のことを言わなければよかった」と感じるからです。
一度立ち止まって考えたいのは、”なぜ嘘をつかなければならなかったのか”。
”本音を隠した理由”を考えていくのが大切です。
2.話し合いのチャンスと捉える
・親の感覚や世間の平均から設定したゲームの制限時間。
・”他の子はもっと頑張っている”など、周囲との比較。
・友達ができない子には、その子なりの問題があるという認識。
家庭のルールや、子どもに抱いている期待、親自身の価値観は、子どもの視点に合ったものでしょうか。
子どもの本音に耳を傾け続けると、予想を超えた答えが返ってくることも。
「クラスの子の話題はゲームばかり。ゲームが弱いと話についていけない」
「机に向かうと頭が痛くなってくる。周りと比べられると息苦しい」
「仲良かった子とはクラスが離れ、今は1人で休み時間を過ごしている」
”子どもの言った嘘の先”に耳を傾けていくと、率直な願望やニーズ、そして孤独や辛さに気づけるときがあります。
子供が嘘をついたとき、「嘘の背景にある環境」を、見つめなおしていくのもひとつです。
3.嘘を否定するのではなく、本音を肯定する
「嘘はよくない」と、子どもの嘘を否定して正す関わりも、時には必要かもしれません。
一方、「嘘を言わざるを得なかった子どもの気持ち」を受け止め、「本音を言っても大丈夫」な関係を築いていくのも必要な関わりだと思います。
そして、「本音を話してくれて嬉しかった」と肯定的な気持ちを伝えるのも大切です。
本音を肯定してもらえれば、嘘をつく必要はなくなっていきます。
子どもが「守っているもの」に気づく
嘘には、一時的に「守る」効能があります。
自分のプライドを守る、恐怖や心配から身を守る。
そして、親が抱く期待を守る、悲しみや不安から守ってあげる。
子どもがついた嘘は、何を守っているのでしょうか。
嘘の中にあるメッセージを受け止めていけるといいですよね。
yuko/臨床心理士・公認心理師