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「50cc原付」の製造が終了!!新基準原付・特定小型原付を専門家が解説

TBSラジオ

50cc以下のバイク・原動機付き自転車、いわゆる「原付」。
今年10月、国内すべてのメーカーで生産を終えました。11月から新たな「排ガス規制」が始まったことで、原付免許で運転できる排気量50cc以下のバイクは実質 終了となります。みなさんご存じでしたか?

昔は、維持費の安さと免許取得の手軽さから“原付”は多く方に利用されていました。
一方、近年では、電動キックボードなどが使用されることが増えてきました。
このあたりの“乗り物”に関する法律がここ数年で大きく変わってきています。
乗らない人でも改正法の変化など知っておいたほうがいいかもしれません。

「いま乗っている50cc原付はそのまま乗れるの?」など、交通技術ライターの川辺謙一さんに伺いました。


Q.そもそも50cc原動機付き自転車とは、どのようなものなの?

“原チャリ”なんて呼び方もありますが、若い世代はそもそも存在を知らないかもしれません。
川辺:総排気量50cc以下の二輪車のこと。50ccを超えると、「自動二輪」「大型自動二輪車」のいわゆるバイクという区分になっていました。

Q.なぜ製造終了に?

川辺:利用者数の減少が一つの要因ですが、環境に対する意識の高まりから環境規制が厳しくなり、50cc原付を販売するには環境基準を満たすことが難しくなったことも大きいです。
構造上の問題もあります。「小さい分、触媒が温まるまでに時間がかかり、一酸化炭素や窒素酸化物などの有害物質の排出量が大きくなりがちです。基準をクリアするためにはコストがかかり、バイク本体の価格が上昇してしまうため、メーカーにとってもメリットが少なくなっていました。

既存の50cc原付は引き続き利用可能

Q.いま乗っている50cc原付は今後も乗ることができる?

川辺:既に所有している50cc原付バイクについては、引き続き利用することができます。
ただし、原付と一言でいっても、最近の法改正により区分が変わっています。道路交通法の改正によって区分が変わり、『新基準の原付』というものが登場しました。これには排気量50cc以上125cc以下のもの、または最高出力4kW以上の電動バイクが含まれます。ルールとしては、2人乗り禁止や交差点での2段階右折など、従来の原付と同様の規制が適用されます。

特定小型原付の台頭
最近街中で見かけるようになった電動キックボード「LUUP」などは、法律上「特定小型原動付き自転車」として分類されています。

特定小型原付の主な基準:
*最高速度:時速20km/h以下
*定格出力:0.6kW以下
*大きさ:法定の基準あり

注目すべき点は、この特定小型原付は16歳以上であれば免許なしで運転できることです。海外では電動キックボードなどが日本よりもはるかに普及しています。日本もその流れに乗り、社会全体の移動手段を多様化させる必要があるという背景があります。

安全な利用と注意点
川辺:免許不要とはいえ、交通ルールを守る必要があることは言うまでもありません。特定小型原付は歩道では時速6km以下で走行することが求められており、車道では時速20km以下という制限があります。

利用者が特に注意すべき点については、バックミラーがついているものもありますが、後方確認をしっかり行うことが重要です。車のように安全に対する注意を払うというのが、自転車とは大きく異なる点です。


共存に向けた課題
川辺:パリなどの海外都市では電動キックボードが街中で多く走行しており、歩行者として怖い思いをした経験があります。日本でも今後普及が進めば、歩行者の安全確保が課題になるでしょう」と指摘します。

一方で「海外からの観光客にとって、電動キックボードが利用できないと観光という意味でも日本の魅力が薄れる可能性もあります。こうした新しい移動手段を適切に取り入れていく必要があるでしょう。

今後はこれらの新しい移動手段と歩行者、自動車などが安全に共存できる社会づくりが求められています。

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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