Sakurashimeji、自身主催の対バンツアー『Sakurashimeji Live Tour 2025「唄と謳」』完走!みんなと音楽を楽しんでいる喜びやこのライブに懸ける気合いの溢れる公演に!
Sakurashimejiが、自身主催の対バンツアー『Sakurashimeji Live Tour 2025「唄と謳」』を完走した。
【写真】自身主催の対バンツアー『Sakurashimeji Live Tour 2025「唄と謳」』完走したSakurashimeji(全5枚)
全国5都市を巡った今回のツアーでは、各公演1組のゲストアーティストを招き、ガチンコのツーマンライブを展開した。12月6日に埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3で開催されたツアーファイナル公演には、リュックと添い寝ごはんが出演。心弾む音楽でフロアを包んだ。
Sakurashimejiのライブは、田中雅功、髙田彪我、サポートベーシストとドラマーによるセッションからスタート。雅功も彪我もエレキギターを携えた攻めのロックモード。音を重ねながら熱を高めていくなか、雅功の「始めます」という宣言をきっかけに、オープニングナンバーの「who!」へ突入した。疾走感溢れるサウンドに乗せて、雅功が「やったるぜー!」と叫ぶ一方、彪我はリフを爪弾きながら笑顔。衝動を解放させるような雅功のボーカルや、彪我がステージ中央で披露した抜群のギターソロに観客は大喜び。そして雅功がピースサインを掲げて歌い始めた「ランドリー」では、フロアに手拍子や歌声が広がり、温かなムードに包まれた。Sakurashimejiにとってライブハウスでの対バンライブは、この身一つで音楽を鳴らせる場所。2人の演奏からは、ツアーの充実感、今まさにみんなと音楽を楽しんでいるのだという喜び、このライブに懸ける気合いが溢れている。
「いつかサヨナラ」を経てMC。ここでは雅功が、リュックと添い寝ごはんは大好きなバンドであり、以前から対バンのオファーをしていたと語り、「ようやく一緒にできて嬉しく思います」と喜んだ。また、ベースの堂免英敬とは一度食事に行ったことがあるのだそう。その時「敬語はやめよう」と約束したが、今日再会した時に「お久しぶりです」と挨拶を交わしたこと、絶妙な距離感にあることを明かし、観客の笑いを誘った。
今年10月に4thフルアルバム『唄うこと、謳うこと』をリリースしたSakurashimeji。同作は、全曲を雅功と彪我が作詞作曲に携わり、一部は彪我が編曲まで担った意欲作。今回のツアーでは、その収録曲を中心に披露。初めてSakurashimejiのライブに来た観客に対し、「音楽で自己紹介したいと思ってます。たくさん曲をやるので最後までよろしくお願いします」と伝えて、演奏を再開させた。
雅功がアコースティックギターに持ち替えてから臨んだ中盤ブロックで、最初に披露されたのは、アルバムリード曲の「ガラクタ」。昨年のデビュー10周年を経て、彼らが辿り着いた音楽を奏でる意味――〈その憂いも理想も戸惑いも全部/綴って/紡いで/君と歌いたいんだよ〉という想いをまっすぐ届ける2人の姿と、2人の想いを受け取り、シンガロングで返す観客とのコミュニケーションが素敵だった。次に披露されたのは、バラード「ただ君が」。2人の美しいハーモニーやドラマティックなギターフレーズを、観客は静かに心で受け止めていた。
ここで「リュックと添い寝ごはんに捧げます」と、リュックと添い寝ごはんの「グッバイトレイン」をカバー。直後にはツインギター体制に戻り、Sakurashimejiの楽曲「春が鳴った」が演奏された。歌詞に〈急行〉が登場する点が共通している2曲だ。前回の対バンツアーと同様、今回のツアーでも各地でゲストアーティストの楽曲をカバーしたSakurashimeji。対バン相手の楽曲を自分たちの手で鳴らすことで、その魅力や難しさを体感する。相手への理解を深め、敬意を示すための、実に音楽家らしいアプローチだ。
ラストスパートをかけるため、雅功がエレキに持ち替える。ドラムのビートが曲間を繋ぐなか、雅功は熱い言葉を観客に次々と投げかけ、コール&レスポンスを導く。その姿があまりにも情熱的だったからか、彪我から思わず笑みがこぼれ、雅功が「お前もだよ!」とツッコむという微笑ましい場面もあった。そうしたやりとりもありつつ、場内のテンションが最高潮に達したところで「大好きだったあの子を嫌いになって」がスタート。続く「英雄のススメ」は、ライブでの光景を思い描いて制作された曲。バンドが阿吽の呼吸で鳴らす鋭いキメや、彪我の抒情的なフレーズを翼に変えて、全身全霊で歌う雅功は完全にゾーンに入っている。ベースとドラムのソロ回しを経て、満を持して彪我がギターソロを披露する場面も最高だ。観客も積極的に声を出したり、拳を突き上げたりしながら全力で応える。2人が楽曲制作時に思い描いた通り、いやそれ以上の爆発的な盛り上がりが生まれた。そして「明日を」では、掛け合いを経て、雅功と彪我の歌声が一つになる。観客の歌声も加わり、フロアに力強く響いた。
ライブの終盤に差し掛かり、彪我は「やっぱりツーマンライブって楽しいです」と笑顔を輝かせる。対して雅功は、「自分たちで曲を作るようになって、それが世に出てから……4年くらい?」と回想。それまでは憧れだけで音楽をやっていたが、この4年間は妬みや嫉みも原動力になっているのだと打ち明けた。この日共演したリュックと添い寝ごはんのメンバーと、雅功と彪我の年齢は同じ。雅功は早くから世界観を確立していたリュックと添い寝ごはんにかねてから敬意を抱いていたが、だからこそ、自己嫌悪に陥ることもあったという。そして「でも、そんな自分を助けてくれるのも音楽なんですよね。自分の感情に素直になって音楽をやろうって、改めて思いました。そう思えたのは11年間続けてこられたからこそ。今日こうして顔を突き合わせて僕らの音楽を聴いてくれるみなさんがいてこそだと思ってます」と語った。
「同じ気持ちだよって、ちょっとでも分かってくれたらなと思いながら歌います」。ラストナンバー「normal」は、そんな言葉とともに届けられた。ギターの演奏を彪我に任せた雅功は、マイクを手に、感情をぶつけるようにしてこの曲を歌った。MCで語られた雅功の葛藤が、歌詞の中でもう一度赤裸々に響くなか、観客は自分の声をそこに重ね、穏やかに寄り添う。「またライブハウスで会いましょう」。そんな約束とともにライブは幕を閉じた。
充実の対バンツアーを終えたSakurashimejiは、12月29日の忘年会ライブ『きのこりあんの集い Vol.Miracle X』まで、2025年を全力で走り切る。そして来年2月15日には、LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)でワンマンライブ『Sakurashimeji Hall Live 2026「▷再成」〜Sakurashimejiが6年越しに渋公リベンジするってよ!〜』を開催。2月21日からは、2人編成での全国ツアー『Sakurashimeji 桜TOUR 2026』がスタートするなど、2026年の楽しみも満載だ。
セットリスト
1. who!
2. ランドリー
3. いつかサヨナラ
4. ガラクタ
5. ただ君が
6. 春が鳴った
7. 大好きだったあの子を嫌いになって
8. 英雄のススメ
9. 明日を
10. normal
写真:鈴木友莉
文:蜂須賀ちなみ