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“私の食べたい欲”が友人の「苦手を克服」した“まさかの出来事”

saita

“私の食べたい欲”が友人の「苦手を克服」した“まさかの出来事”

潜在意識インタビュアーkahoのコラム【良い人生は後から】 「良い花は後から」ということわざがあります。先に咲いた花よりも、後に咲いた花の方が美しいという意味を持つこの言葉。人生も同じだと思いませんか? 酸いも甘いも経験した40代頃からのほうが人生の豊かさを感じられるようになります。そんなことを意識しながら生きているkahoが日々思うことをお届けします。

「またこればかり食べてる…」私の“ハマり食い”の歴史

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1つの食べ物にハマって、そればかり食べてしまうという経験をしたことはないだろうか。

私は、分娩台までつわりが続いたタイプだった。妊娠初期は、まともに食事をとることができず、後期になってからも食べられるものと食べられないものがはっきりしていた。そんな私が、里帰り出産のため、実家に戻った8カ月頃からハマったのが、「パン・オ・ショコラ」。どこのお店のでも良い。とにかく、必ず1日に1個、パン屋さんに行って、「パン・オ・ショコラ」を食べ就続ける日々を送った。

妊婦の食生活としては、決しておすすめできるものではない。けれど、つわりがひどく、食べるものが本当になかった私にとって、「これが食べたい!」とはっきりいているものだけが、おいしく食べられる時期だったのだ。

思い返せば、1つの食べ物にハマり、一定の時期食べ続けるということを、妊娠期間に限らず人生の中で何度か繰り返している。

小学生の頃は、ポテトチップスを毎日食べた。おかげで、ぽっちゃりとした小学生女子に仕上がった私は、周りの人から、「無類のポテチ好き少女」として知られていた。

社会人になって、ストレスを抱えながら働いていた頃、毎日コンビニでアメリカンドッグを食べるということを続けたこともある。

とにかく、「これだ」と思ったら、1日に1回食べたないと落ち着かない性格なのかもしれない。

どこを探しても出会えない、理想のチョココロネ

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常に何かにハマっているわけではない。それが日常だったら、40代後半の私の体は何かしらのアラートを出すに違いない。

年齢もあってか、最近はスイーツを食べたり、お菓子をつまむことも減ってきた(体重はへらないのだけど)。

そんな私が最近、数年ぶりに、ある食べ物にハマった。それが、「チョココロネ」。

妊婦のときの「パン・オ・ショコラ」に続く、パン。私はどうやらチョコ好きらしい。

何のタイミングだったか忘れてしまったけど、気づくとチョココロネを探して買うという日々が続いた。なぜ、このタイミングで突然「チョココロネ」にハマったのかは謎である。

ただ、毎日頭の片隅にチョココロネがいて、「食べたい」という欲がある。なので、チョココロネを探す。

ところが、チョココロネを欲する生活をスタートさせると、意外と売っているパン屋さんが少ない。近所にただでさえパン屋さんがない私にとって、毎日、チョココロネを買うというのはなかなか大変なことだった。

そして、いろいろ食べてみるけど、「これじゃない感」がすごい。これまで、特段好きだったというわけではないので、「好きなチョココロネ」があるわけでもなかったのに、食べ続けていくうちに、「パンの部分はやわらかくて、クリームの量はこのくらいで~」みたいな理想のチョココロネが頭の中に完成してしまった。

けど、その理想形に出会えない。そもそも、チョココロネに出会えない。そんな日々が続いた。

食べた瞬間わかった“気持ちのこもった味”

私には、東北でパン屋を営む友人がいる。彼女が作るパンは、それはそれはおいしくて、私は、彼女が焼くパンたちを「人を幸せにするパン」と呼んでいる。

送料が高いので頻繁には難しいけれど、時々彼女が焼くパンをお取り寄せする。うちの夫は、そんなに口が肥えたタイプではないので、基本何を出しても「おいしい、おいしい!」と言うのだけど、彼女が焼いた食パンを朝ごはんに出したら、「何この食パン! めちゃくちゃおいしい!」と言った。違いがわからない夫でも、その違いがわかるおいしさなのだ。

そんな彼女に、「実は最近、チョココロネにハマってて毎日買って食べてるんだけど、理想のチョココロネに出会えないの」という話をした。彼女から来た返信は、「私が唯一苦手で作れないチョココロネ。どうしてもうまくできなくて、うちのパン屋にも並んでないの」だった。

意外! どんなパンもおいしく焼く彼女が、チョココロネは作らない。びっくり情報だった。

「ちなみに、どんなチョココロネが好きなの?」と聞かれたので、頭の中にできた理想のチョココロネについて語ってみた。

そんな話をして数週間経った先週末、彼女から宅急便が届いた。箱の中には「チョココロネ」がぎっしり。

見た目からして、私の頭の中に作られた理想のチョココロネだった。すぐに1個食べた。食べた瞬間、涙が溢れてきた。「これ……。私が食べたかったのは、これ……」。チョココロネを食べながらボロボロ泣く私を見た夫と娘が驚いていた。

友人にすぐLINEをした。

「kahoさんのイメージを聞いたとき、私の頭の中にレシピができて迷うことなく作れたの。母にも食べてもらったら、『あんなにチョココロネは作れないと言っていたのに、上手じゃない!』って(笑)。本当に今まで一度もうまくできなかったのに、kahoさんに食べさせたいと思ったら焼けた! kahoさんのおかげでチョココロネ克服できました!」

私は、このLINEを見てまた泣いた。

何より、私に食べさせたいと思って、材料を揃えて作ってくれた彼女の気持ちに感動した。家族3人でおいしく分け合ったけど、私が1番たくさん食べた。一口食べる毎に、やっぱり涙が出た。

食べ物って、作っている人の気持ちがこもっている。食べるたびにそれを感じる。こんなに特別なチョココロネを食べてしまったら、もう他のチョココロネで満足できるはずがない。それに、このチョココロネを食べ終えたら、チョココロネ欲が治まった。

私は今回、友人のチョココロネを作るのが苦手という意識を克服するためにチョココロネにハマったのかもしれない。だって、苦手だったなんて信じられないくらい、絶品のチョココロネを作っちゃったんだから。

今、彼女のパン屋さんにはおいしいチョココロネが並んでいるそう。人気の1品になっちゃうこと間違いなしよ。

潜在意識インタビュアーkaho/ライター

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