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「みんなの介護」ニュース

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介護業界のICT化が求められる中、各メーカーが現場の業務効率化を後押しする、さまざまな製品を販売している。最新の機器を導入したものの、それらの設備をうまく使いこなせずに、宝の持ちぐされになっていしまっている施設も多い。介護施設に欠かせないシステムの一つがナースコール。だが、導入にあたってはハード面の整備に大きなコストが掛かる上に、運用も簡単ではない。そこで今注目を集めてるのが、名電通株式会社が開発した「ナースエコール」だ。介護現場の業務効率化とコスト削減を同時に実現する、次世代ナースコールシステムについて、介護通信ソリューション営業本部の山倉智貴課長に話を伺った。

エコノミーでエコロジーなナースコールが介護業界には必要

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「ナースコールならぬ、”ナースエコール”、ユーモアのある製品名ですね」

山倉
「実は、ナースエコールという製品名の中のエコは、経済的という意味のエコノミーのエコ(Eco)なんです。近年注目されているSDGs(持続可能な開発目標)でも掲げられている『すべての人に健康と福祉を』の方針に基づいたソリューションだと自負しています」

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「そもそも、なぜナースエコールを開発されたのでしょうか?」

山倉
「まず、夜間に利用者が宿泊する介護施設には、法律としてナースコールを設置しなければならないという前提があります。病院の場合は、高価なシステムを導入するだけの金銭的な余裕があるケースが多いのですが、実は、介護施設に病院と同じものが必要かというとそうとは限らないのです。
敢えて一言で表すと、病院向けのナースコールは介護施設向けにはオーバースペック。一般に病院の場合は、医師・看護師・その他大勢のスタッフを有機的に繋ぐ連絡系統が必要となるため、大規模なナースコールが求められます。しかし、介護施設の多くには、そこまでの規模は必要ではありません。
そこで、必要な機能は備えつつ、介護現場に安価に導入できるナースコールシステムがあれば、金銭的リソースを入居者や働き手の方向けに適切に分配できるのではないかと考えて、開発をスタートしました」

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「では、病院向けの一般的なナースコールと、こちらのナースエコールは具体的にどんな違いがあるのでしょうか?」

山倉
「まず、どの施設にもある電話回線とナースコールを統合していることが最大のポイントです。従来型のナースコールは、専用回線を整備する必要がありましたので、ハードの敷設だけで莫大なコストが掛かりました。一方、ナースエコールは既存の電話回線と統合したことで、大幅なコストカットを実現することができました。
さらにその他のシステムも、できる限り既存の電話設備を連携して統合するなどして、コストを抑えています。その結果として、システムの保守の一本化にも繋がり、さらなるコストカットを成し遂げることができました」

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「一般に、コストカットを行うと機能的には不便になることもあると思いますが、例えば使い勝手の面で、支障などは無かったのでしょうか?」

山倉
「介護施設の皆さまにとって本当に必要な機能はそのまま保っていますので、運用上の支障はほとんど無いと思います。介護現場で実際に使われている方々からは、『複数の端末を操作したり、電話を複数台持ち歩く必要がなくなった結果として業務負担が減った』という声を多く頂いています」

介護業界で起こる「端末増えすぎ問題」

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複数の端末が使われることによって業務効率が下がる、という話を詳しく説明してください」

山倉

背景にあるのが、補助金です。補助金といっても色々な種類があるのですが、大まかに言うと、スマートフォンやwi-fiを導入するための補助金だったり、見守りのシステム、 あとはインカムなどですね。そのようなIT機器を導入するための補助金というのが、今、ものすごく増えているのです。補助金が出て安価に購入できたり、無料で入手できる場合もあるので、当然、施設さんは導入しますよね。しかし、それらの機器がバラバラで、連携ができないケースがあるのです。

例えば、見守りを導入するにしても、見守り単発のシステムだけを入れて、ナースコールとは連携していない。要は、見守りを受けるスマートフォン と、従来のナースコールを受けるPHSの2台持ちをしなければなりません。さらに、インカムを受けるためにまた別のデバイスが必要になったりということが起きます。。介護現場の声をお聞きしていて、2台持ち、3台持ちをなんとか集約したいというご要望がものすごく増えています。

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最新の機器が逆に業務の効率化を妨げてしまうこともあるのですね・・」

山倉
はい、アナログで行っていた作業がデジタル化されるという面では効率化されましたが、 受けるものが多すぎて、本当の意味で生産性が上がっていないケースが散見されます。補助金が出るからという理由だけで購入するのではなく、どのように製品を活用するのか、その先のことを考えて導入を検討していただければと思います。

意外なほどスムーズだった開発 シンプルなプロジェクトで開発期間の短縮も

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「実際、開発される上では苦労も大きかったのではないでしょうか?」

山倉
「実をいうと、開発自体はそこまで大変ではありませんでした。」

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「そこまで大変ではなかった… 一体、なぜでしょうか?」

山倉
「というのも、名電通には情報通信業界で50年に渡って培ってきた技術があります。今回のナースエコールを構成する要素については、すでにテクノロジーを持っていたのです。既存の確立されたテクノロジーを水平展開して組み合わせ、一体化するところが、ナースエコールの技術的な肝の部分です。
どんな機能が必要か要件を適切に定義し、全体の構成を作り上げることができれば、あとはそれを組み立てていくだけです。開発工程が極めてシンプルだったことも、コストカットに繋がっています」

開発プロジェクトと聞くと、紆余曲折、山あり谷あり、人間ドラマがつきものだ。しかし、本当に安価で使いやすいシステムとはシンプルなものだという。ビジネスフォンやナースコールなどのコミュニケーションシステムを手がけてきた名電通のスキルとノウハウ、介護現場に対しての深い理解があったからこそ、ナースエコールの開発は順調に進んだようだ。

“変化”への抵抗とどう向き合うか?が 現場への導入のカギ


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「開発プロジェクトは順調に進んだとのことですが、介護施設への導入フェーズはいかがでしたか?」

山倉
「介護施設の経営者の方にヒアリングをすると、複雑化した現場の業務効率化のためにも新しいシステムの導入に前向きなケースも多いものです。しかし、現場の従業員サイドからすると、慣れ親しんだシステムを捨てて、全く新しいシステムに習熟するのは負担でもあります。そのため、仮に導入して頂いても、なかなかスタッフの利用が思うように進まない、使いこなせないという話は多く伺いました」

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「今までのやり方を変えることへの抵抗感は実際ありますよね。この点については、どのように解決されたのでしょうか?」

山倉
「こちらについては地道に説明会などを開催させて頂いて、負担無く習熟して頂けるよう努めています。せっかくシステムを導入して頂いても、使って頂けなかったら意味がありませんから、現場が混乱しないように最善を尽くしています」

次世代ナースコールが切り拓く介護現場の未来

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「今、介護業界ではICTの活用やDXの必要性が叫ばれていますが、今後については、どのような展望を描かれていますか?」

山倉
「介護の現場では必要な業務が日に日に増えていますが、一朝一夕に人手不足を解決するのは難しいという課題があると思います。いかにICTの力で現場の負担を軽減し、働きやすい職場環境に変革できるかが、介護業界の未来のためにも大切です。
ナースエコールは、これから、緊急通報(ナースコール)が受けられることに加えて、電話も、介護記録の入力も、見守りカメラの映像確認も手元のスマートフォン端末1台から対応可能です。介護現場で必要となる、あらゆる機能やシステムをさらに使いやすい形で統合していきます。
安価で使いやすいのはもちろんですが、使われる介護施設の皆さまのニーズをしっかりと受け止めて、サービスを進化させて行くのが私たちの使命です。そうすることで、現場の利便性が向上し、介護サービスに対してリソースをより合理的に配分できるようになるはずです。その結果として、施設の魅力が高まれば入居を希望される方が増えて、経営の安定にも繋がるでしょう。
その先には、日本人の福祉と健康がより良いものになる未来が広がっていると確信しています」

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