上映「7時間18分」の超大作『サタンタンゴ』が復活上映!30周年記念タル・ベーラ監督による伝説の傑作【新ビジュアル解禁】
伝説の誕生から30年、再びスクリーンに蘇る
タル・ベーラ監督、伝説の傑作『サタンタンゴ』が製作から30年を迎えたことを記念して、10月25日(金)からシネマート新宿にて1週間限定で上映されることが決定。このたび30周年を記念した新たなビジュアルが解禁となった。
横たわる少女と、それを囲み、疲れ果てた様子で見下ろす村人たち……。終末感が漂う、物語のターニングポイントとなる衝撃のシーンが、まさにスクリーンと同じ横位置にレイアウトされ、悲劇性とともに崇高さをも感じさせる印象深いビジュアルとなっている。
また、『サタンタンゴ』をもっと深く知るために、タル・ベーラ監督の4作品『ファミリー・ネスト』、『アウトサイダー』、『ダムネーション/天罰』、『ヴェルクマイスター・ハーモニー』も、11月1日(金)よりシネマート新宿にて順次上映が決定。その映画魔術の深淵に迫る。
救世主がやって来る。悪魔のささやきが聞こえる。
経済的に行き詰まり、終末的な様相を纏っている、ハンガリーのある村。降り続く雨と泥に覆われ、村人同士が疑心暗鬼になり、活気のないこの村に死んだはずの男イリミアーシュが帰ってくる。彼の帰還に惑わされる村人たち。イリミアーシュは果たして救世主なのか? それとも――。
2015年に世界的権威のある英文学賞ブッカー国際賞を受賞したクラスナホルカイ・ラースローの同名小説が原作。タンゴのステップ<6歩前に、6歩後へ>に呼応した12章で構成され、前半の6章は複数の視点で1日の出来事が描かれ、後半の6章はイリミアーシュが戻ってきてからを描いている。
デビュー以来一貫して人間を、そして世界を凝視し見つめ続けてきたタル・ベーラ。本作でも秩序に縛られ、自由を求め、幻想を抱き、未来を言じ、世界に幻滅し、それでも歩き続ける人間の根源的な姿を詩的かつ鮮烈に描いている。
日本初上陸から5年、製作から30年
『ニーチェの馬』(2011年)を最後に56歳という若さで映画監督から引退したタル・ベーラ。彼が4年の歳月をかけて完成させた伝説的な傑作が『サタンタンゴ』(1994年)だ。
製作から25年後の2019年に4Kレストア版が、日本で初めて劇場公開され、7時間18分という長さにもかかわらず、多くの観客が劇場に詰めかけ、大きな熱狂を巻き起こした。その興奮から5年、1994年の製作から30年となる今年、『サタンタンゴ』が再び、スクリーンに蘇る。
映画の極北に屹立する、伝説の7時間18分。
『ニーチェの馬』(2011)を最後に、56歳という若さで映画監督からの引退を表明したタル・ベーラ監督。彼が4年の 歳月をかけて完成させた伝説の傑作『サタンタンゴ』(1994)。ジム・ジャームッシュ、ガス・ヴァン・サントといった映画監督たちに大きな影響を与え、ルーヴル美術館やニュー ヨーク近代美術館(MOMA)でも上映された7時間18分の大作が、35ミリフィルムにこだわり続けてきたタル・ベーラが初めて許可した4Kデジタル・レストア版で蘇る。
本作は、製作から30年経った現在でもロッテントマトで批評家 からの100%評価を維持し続けている映画史に残る傑作である。
『サタンタンゴ』は2024年10月25日(金)よりシネマート新宿にてロードショー
『サタンタンゴ』をより深く知るためのタル・ベーラ4作品
また、『サタンタンゴ』をもっと深く知るためのタル・ベーラ監督4作品も11月1日(金)よりシネマート新宿にて順次上映。ラインナップは以下のとおり。
『ファミリー・ネスト』
住宅難のブダペストで夫の両親と同居する若い夫婦の姿を、16ミリカメラを用いてドキュメンタリータッチで5日間で撮影した、22歳の鮮烈なデビュー作。不法占拠している労働者を追い立てる警察官の暴力を8ミリカメラで撮影して逮捕されたタル・ベーラ自身の経験を基にしている。「映画で世界を変えたいと思っていた」とタル・ベーラ自身が語る通り、ハンガリー社会の苛烈さを直視する作品となっている。社会・世界で生きる人々を見つめるまなざしの確かさは、デビュー作である本作から一貫している。
1977年/ハンガリー/105分/モノクロ/1:1.37/原題:Családi tűzfészek/英題:Family Nest
『アウトサイダー』
社会に適合できないミュージシャンの姿を描いた監督第2作にして、珍しいカラー作品。 この作品がきっかけで、タル・ベーラは国家当局より目をつけられることになる。本作以降すべての作品で編集を担当するフラニツキー・アーグネシュが初めて参加。酒場での音楽とダンスなど、タル・ベーラ作品のトレードマークと言えるような描写が早くも見てとれる。日本でも80年代にヒットしたニュートン・ファミリーの「サンタ・マリア」が印象的に使われている。
1981年/ハンガリー/128分/カラー/1:1.37/原題:Szabadgyalog/英題:The Outsider
『ダムネーション/天罰』
クラスナホルカイ・ラースローが初めて脚本を手掛け、ラースロー(脚本)、ヴィーグ・ミハーイ(音楽)が揃い、“タル・ベーラ スタイル”を確立させた記念碑的作品。ラースローと出会ったタル・ベーラは『サタンタンゴ』をすぐに取りかかろうとしたが、時間も予算もかかるため、先に本作に着手する。 不倫、騙し、裏切りー。荒廃した鉱山の町で罪に絡みとられて破滅していく人々の姿を、『サタンタンゴ』も手掛けた名手メドヴィジ・ガーボルが「映画史上最も素晴らしいモノクロームショット」(Village Voice)で捉えている。
1988年/ハンガリー/121分/モノクロ/1:1.66/原題:Kárhozat/英題:Damnation
『ヴェルクマイスター・ハーモニー』
ハンガリーの荒涼とした田舎町を舞台に天文学が趣味のヤーノシュを通して描かれる、全編、わずか37カットという驚異的な長回しの漆黒の黙示録。
広場に忽然と現れた見世物の“クジラ”と、“プリンス”と名乗る扇動者の声。その声に煽られるように広場に群がる住人達。彼らの不満は沸点に達し、破壊とヴァイオレンスへと向かい始める。四半世紀前の製作ながら、見事なまでに現在を予兆している。ファスビンダー作品のミューズとも言えるハンナ・シグラが物語の重要なカギを握る役で出演しているのも見逃せない。
2000年/ハンガリー=ドイツ=フランス/モノクロ/146分/配給:ビターズ・エンド