日本代表でも躍動したバスケ界のレジェンド渡邉雄太が千葉ジェッツに参戦! 今季、熱い戦いが予想されるBリーグから目が離せない! 【バスケ】
NBAで6シーズンプレー、レジェンド渡邊雄太の帰還!
日本代表のパリ五輪での躍動などもあって、バスケットボール熱が高まりを見せる日本。そんな日本バスケ界に今年、大きなトピックスが訪れた――。
それが、渡邊雄太のBリーグ入りだ。香川・尽誠学園ではウインターカップで2年連続準優勝。高校卒業はアメリカに留学し、NCAA1部のジョージ・ワシントン大などでプレー。NBAドラフトでの指名はかなわなかったが、卒業後にサマーリーグ参加を経てメンフィス・グリズリーズとツーウェイ契約。2018‐19シーズンの開幕5戦目に出場登録されると、田臥雄太(現宇都宮ブレックス)以来、日本人としては2人目となるNBA公式戦出場を果たした。
以降はトロント・ラプターズ、ブルックリン・ネッツ、フェニックス・サンズ、最後は古巣グリズリーズに復帰するなど、日本人としては史上最長となる計6シーズンNBAでプレー。206センチという日本人離れしたサイズながら、2022‐23シーズンには3P成功率44.4%をマークし、ディフェンス面でもNBAの「怪物」たちを相手に一歩もひるまない「熱いプレー」は日本のみならず目の肥えた本場アメリカのファンまでも魅了した。
また、日本代表でも主力としてプレーし、五輪には東京大会、パリ大会と2大会連続出場。パリ五輪出場を決めた2023年ワールドカップでは「五輪出場を逃したら代表引退」の覚悟でチームを牽引。見事、自力での五輪出場を手繰り寄せた。
今年で30歳を迎える現役バリバリのプレイヤーながら、すでに日本バスケ界の歴史に残る「レジェンド」と言っていい渡邊。そんな渡邊が今季、プレーの舞台をNBAから日本のBリーグへと移す決断を下した。
昨シーズン終盤、負傷や「個人的な理由」で欠場が続く中、自身のインスタライブで突如、パリ五輪後はプレーすることを宣言。そんな渡邊が選んだクラブが、B1東地区に所属する千葉ジェッツだ。ジェッツは2020‐21シーズンにBリーグ年間王者に輝き、昨シーズンまでの8年間で4度の地区優勝を誇るBリーグを代表する強豪クラブ。チームの司令塔は渡邊とともに日本代表を長年牽引してきた富樫勇樹。ちなみに富樫は渡邊の1学年上でプライベートでも親交があり、SNSではパリ五輪後、ともにフランス観光をする仲睦まじい姿も投稿されている。
ジェッツに電撃加入! 渡邊雄太に期待されるモノは?
ジェッツは昨シーズン、天皇杯で2年連続優勝を飾ったものの、シーズンでは地区3位、チャンピオンシップでも準決勝敗退。4シーズンぶりの王者返り咲きを目指す今シーズンは1万人収容の新本拠地・ららアリーナ 東京ベイが開場。渡邉の加入は新シーズン最大の目玉となる。
ジェッツには渡邊、富樫だけでなく昨シーズンの新人王・金近廉やリバウンド王のジョン・ムーニーらスター選手がそろっており、選手の質・層ともにBリーグ随一。「2チーム作れる」「欧州リーグでも通用しそう」といった声も聞かれるなど、圧倒的な優勝候補として開幕を迎えることになる。
そんなスター軍団・ジェッツに加入した渡邉だが、期待されるのは得点などの「目立った」活躍だけではない。本来、「チームファースト」を体現したようなプレースタイルが持ち味なだけに、自らが積極的に攻め込むだけでなく、周囲を活かしたプレー、スタッツには反映されにくい泥臭いプレーも見せてくれるはず。ファンからすれば、「平均20得点以上で得点王に絡む」ような結果を期待したくなるところだが、ジェッツには渡邉以外にも主役になれる選手が多くいる。SGからPFまでこなせる万能型で、なおかつ外国籍選手枠にとらわれない日本人プレイヤー。今年で30歳を迎えるレジェンドが果たして、日本でどんなプレーを見せるのかも注目したいところだ。
また、オフコートでも渡邊の存在は大きくなるはず。チームにとっては経験豊富な渡邊のプレーや言動が大きな意味を持つはずで、それ以外にも五輪を経て加熱した日本のバスケ界にさらなる「ブースト」を生み出してくれる存在になるはず。
たとえば、渡邉のリーグデビュー戦は間違いなく注目され、地上波のスポーツニュースでも大きく取り上げられるだろう。現在はBリーグの試合を地上波で見られる機会はあまりないが、渡邉の活躍次第では今後、そんなケースも増えるかもしれない。遠く離れたNBAではなく、自国のBリーグで「ワールドクラス」の実力を持つ渡邊のプレーが見られる――。ファンはもちろん、バスケットボール選手を夢見る子どもたちにとっても、貴重な機会になるはずだ。
Bリーグが開幕して今年で9シーズン目。この9年間で、日本のバスケ界を取りなく環境は大きく変わってきた。そして今、渡邉雄太の帰還によって、日本バスケ界は新たなフェーズに突入しようとしている。
「生けるレジェンド」のプレーを生で見られるチャンスは、そうそうない。今シーズン、渡邉雄太が日本でプレーする――。それを間近で見られる幸せを、噛みしめたい。
文・花田雪