高い枕で脳梗塞やくも膜下出血のリスク?殿様枕症候群に注意!
暑くて寝苦しい夜も多くなりましたが、いい睡眠に欠かせないのが、枕です。
「殿様枕症候群」とは
今この枕に関して、ある病気が注目されています。
その名も「殿様枕症候群」。どんな病気なのか、
国立循環器病研究センター脳神経内科 江頭柊平医師のお話です。
国立循環器病研究センター脳神経内科 江頭柊平医師
簡単に言うと、高い枕によって首の後ろの血管、椎骨動脈っていう血管が裂ける。脳梗塞、くも膜下出血を起こしたりします。睡眠の姿勢がすごく大事。おそらく寝ている最中に、寝返り2、30回は打つと言われているので、その間に血管が傷つくんじゃないかと。
「殿様枕」は、主に江戸時代に使われていた、すごく高さのある枕のこと。
江頭さんたちが行った調査では、高い枕を使っている人ほど、脳梗塞や、くも膜下出血の原因にもなる
「椎骨動脈解離」を発症する確率が高くなるというもの。その病気を、高い枕という点から「殿様枕症候群」と名付けて発表しました。
江頭さんたちが発表した調査結果としては、椎骨動脈解離の患者は、条件を合わせた他の人に比べて、高い枕を使ってる人が多かったんです。12センチ以上の枕を使っている人は、発症のリスクがそれより低い枕に比べておよそ2.9倍、さらに15センチ以上の枕では、およそ10.6倍「椎骨動脈解離」になりやすいという結果が出ました。枕が高いと、首が大きく曲がるので首に負担がかかる、さらに、寝返りを打つ、首が左右に回るときに、血管が傷ついてしまうのではないかということでした。
寝ながらスマホやテレビを見る人も要注意
この「殿様枕症候群」になりやすい状況、現代ならではの特徴もあるようです。再び国立循環器病研究センター脳神経内科 江頭柊平医師に伺いました。
国立循環器病研究センター脳神経内科 江頭柊平医師
硬い枕を2個重ねしている、そういう人だったので、そういうのはやめたらいいんじゃないかな。よくあるのは、睡眠中にスマホを見ていたり、寝る前に枕を高くして、ベッドの中でテレビを見る習慣がある人。今回我々が知っていただきたいことは、あくまで極端に高い枕、極端な睡眠習慣が重大な健康問題を引き起こし得るということです。
ベッドに横になってスマートフォンを見やすくしようと首を立てるために、枕を重ねて高くする人も多いそうなんです。それが「殿様枕症候群」になるリスクを高めていると江頭さんは指摘します。
脳卒中の原因の一つでもある「殿様枕症候群」。脳卒中自体は一般的に、高齢者に起こりやすい病気ですが、「殿様枕症候群」に限っては、比較的若い人でも発症するそうです。「殿様枕症候群」は、脳卒中全体のうち2%に満たないけれど、ある研究では、15歳から45歳ぐらいの働き盛りの人口で起きる脳卒中のうち、ほとんどメインの原因を占めていたといいます。
「殿様枕症候群」はそもそも母数として多くない、珍しい病気なので「高い枕を使っているから今すぐどうにかしないと!」と恐れすぎる必要はないそう。ただ、ちょっと枕や睡眠習慣を見直そうかな、と考えるきっかけにしてほしいということでした。
枕選びのポイントは
今はいろんな枕がありますが、私たちが枕を選ぶとき、どんなところに気を付ければいいのか、オーダーメイドまくらを扱うお店でそのポイントを聞いてきました。じぶんまくらレイクタウン店 店長 佐藤大さんのお話です。
じぶんまくらレイクタウン店 店長 佐藤大さん
1番は高さですね。高すぎるのが一番良くないですし、逆に低すぎても首が痛くなったりする原因になるんです。目安としては、立っている姿勢で寝ると、自然な姿勢であることが多いと言われています。一度立って、深呼吸でもして、自分の目線がまっすぐなのかな、ちょっと下なのかな、負担のない角度を知った上で寝ていただいたときに、同じような角度になる高さが望ましいです。一般的には、真っ直ぐより、目線が水平よりも下5度くらいの範囲に入ることが多いと言われています。柔らかさは、首が太い人・筋肉量が多い人ほど硬め、首が細い方・筋肉量が少ない方は柔らかめが合いやすいと言われています。5ミリくらいの違いで、とても快適なものが辛い枕にもなったりするので、首が何か調子悪いなと思ったら枕を疑っていただいた方がいいかと思います。
私も枕選びの体験をさせてもらいましたが、確かにたった5ミリ高さを変えるだけで感覚が全く違いました!私の場合は、普段しっかり枕で首を支えられていないことも分かったので枕を見直してみようかなと思いました。
睡眠は毎日必ずとるもの。健康のために定期的に見直すのも大事かもしれませんね。