演出家・宮本亞門が初めて沖縄で手掛ける舞台『生きているから~対馬丸ものがたり~』 宮本亞門、松永梨楓(啓子役)からコメントが到着
太平洋戦争末期の1944年、沖縄県から九州へ向かう学童疎開船「対馬丸」がアメリカ軍の魚雷攻撃を受け沈没し、1484人もの命が失われた。この悲劇を題材にした舞台『生きているから~対馬丸ものがたり~』が8月16日(土)・17日(日)、那覇市で上演された。
企画・脚本・演出は宮本亞門が担当し、戦争の悲惨さと命の大切さが描かれました。物語の中で、主人公は絶望の中でも「生きて帰る」という母との約束を胸に、希望を捨てずに歩む。フィナーレでは、出演者全員が「生きているだけで素晴らしい」と平和への思いを込めて歌い上げ、観客に命と平和の尊さを訴えかけた。
宮本亞門 コメント
沖縄のオリジナルの舞台で観客動員が難しいと言われた、なはーと大劇場で、即完売で異様な熱気と感動に包まれた公演でした。
対馬丸がアメリカの潜水艦に撃沈されても、負けずにイカダで6日間生き抜いた少女や大人たちの姿も描き「今を本気で生きること」「戦争は人を野獣以下の生き物にすること」を問いかけました。実力派の俳優や子どもたちが熱い思いで追体験をして、観客は涙を流し、感動と温かい希望に満ち劇場を後にしました。僕もこれほど心震わせた体験はなく、我が演出家人生でも至福の時となりました。願わくは、まだこの事件を知らない本土や世界でも上演したいです。世界で戦争が続く限り、この作品は上演する使命があると信じています。
宮本亞門
啓子役 松永梨楓 コメント
舞台「生きているから〜対馬丸ものがたり〜」で啓子さんの役を演じました、松永梨楓です。
初めての大舞台で主役をいただき、大役のチャンスをいただいたからには、絶対成功させるとの思いで、挑みました!
でもはじめの主役の大舞台で、稽古ではたくさん苦戦しました。
素晴らしい役者さんたちに囲まれて、大きな舞台に立つ自分の実力の差が見えて落ち込むこともありました。
それでも亞門さんや共演者の皆さん、スタッフのみなさんに支えていただき、本番では精一杯、啓子さんの想いを込めて演じることができたと思います。
観にきてくださった皆様が笑ったり時には涙する方を見て、演じる事の素晴らしさを生で感じました!そして、戦争の悲しみや命の大切さ、今生きていることがどれだけ幸せなことかを少しでもお客さまに届けられていたら嬉しいです。
私はこの舞台をきっかけに、戦争は二度としてはいけない、啓子さんの想いを引き継ぎ私なりの形で伝え続けられる人になりたいです。
そして、亞門さん、役者の皆さんとまた共演できるよう努力していきたいです。
撮影=三上一行