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『ゴールデンカムイ展』プレス内覧会に潜入 120点を超えるイラストや関連資料を多数展示

SPICE

『ゴールデンカムイ展』

『ゴールデンカムイ展』が、4月28日(木)から6月26日(日)まで、東京ドームシティ Gallery AaMoにて開催されている。

『ゴールデンカムイ』は、漫画家・野田サトル氏による人気コミック。北海道のどこかに隠された金塊をめぐる、元兵士&アイヌの少女のコンビによる冒険活劇……なのだが、『週刊ヤングジャンプ』連載時のキャッチコピーがあまりにも秀逸なので引用させていただきたい。「冒険・歴史・文化・狩猟グルメ・ホラー・GAG&LOVE! 感情闇鍋ウエスタン!!」初めて見た時はなんじゃそりゃ、と思ったけれど、これが言い得て妙。あらゆるジャンルの興奮がごった煮になって、次のシーンで何が口に飛び込んでくるか予測できない作品なのである。

会場エントランス (C)野田サトル/集英社

本展では120点を超えるイラストのほか、作中に登場した民具などの関連資料を多数展示。国内外で高く評価されている『ゴールデンカムイ』の魅力がギュッと濃縮された大規模な展覧会となっている。本展が開幕した2022年4月28日(木)は、約8年にわたり走り続けた漫画連載が最終回を迎えた日でもある。愛すべきキャラたちがゴールテープを切る直前である開幕前日、ひと足早く展覧会のプレス内覧会に潜入した。

※本展ではコミックス既刊以降の物語、アニメ化されていないストーリーも含めて展示が構成されているため、触れている媒体によってはネタバレとなってしまう可能性もあることをあらかじめご承知おきください。

※アシ(リ)パのリ、チタタ(プ)のプ、マタンプ(シ)のシは小文字が正式表記。

ひとりひとりに思いを馳せて

展示風景 (C)野田サトル/集英社

まずは、主要登場人物をひとりずつピックアップする第1ゾーン「金塊争奪戦の開幕」から。冒頭から、出し惜しみのない展示にぐいぐい引き込まれる。

展示風景 (C)野田サトル/集英社

やっぱり目を引くのは、主人公・杉元佐一のトレードマークと言える軍帽だ(温泉シーンでさえ脱がなかった、もはや顔の一部である)。実際にモデルとなったものを目にすると、杉元が実在していた兵士のように思えてくる。隣には、決め台詞「俺は不死身の杉元だ!」のシーンのイラストも。

展示風景 (C)野田サトル/集英社

そしてもうひとりの主人公であるアイヌの少女アシ(リ)パは、特に多くの作中に登場したもののモデルになったものやそれに近い資料が展示されていて見応えがある。マタンプ(シ)(鉢巻き)やテクンペ(手甲)の装飾刺繍は人それぞれ異なったデザインなのだそう。

展示風景 (C)野田サトル/集英社

ヒロインらしからぬ百面相で、印象的な変顔も多いアシ(リ)パ。巻数を重ねていくごとに、ギャグだけでなくシリアスなシーンでの表情も豊かになっていく。特に下瞼の表現がどんどん繊細になり、迷いや憂いを含んだ複雑な感情が表現されているのには驚かされる。ちなみに左上のイラストは、アイヌの文化には無い“味噌”を初めて食べた記念すべき瞬間だ。

(C)野田サトル/集英社

会場内には、ヒグマの剥製が展示されている。爪の鋭さがエグイのでご注目あれ。手作りの毒矢でこんなものを仕留めるなんて、アイヌの狩猟スキル恐るべし……である。

敵も味方もたっぷりと

展示風景 (C)野田サトル/集英社

孤高の狙撃手・尾形が作中の後半で使用している三八式歩兵銃のモデルになったものも展示されている。射程距離はおよそ2400メートルに及ぶという。……かっこ良すぎる。イラストで抜粋されているのは、弟とのシーンとロシア兵との狙撃対決のシーン。作中で必殺モードに入ったときにしばしば使われる“目玉がギラリと光の尾を引く表現”を実際に堪能することができるので、ぜひお近くで!

展示風景 (C)野田サトル/集英社

さらに第七師団のキャラクター紹介のゾーンでは、作中に登場したもののモデルになった鶴見中尉&月島軍曹の軍服が展示されている。ちょっと見づらいが、写真中央のケースには作中に登場したもののモデルになった鯉登少尉のサーベルも。キャラクターたちの賑やかな声が聞こえてきそうな、実在感溢れる展示だ。

展示風景 (C)野田サトル/集英社

第2ゾーン「24人の刺青囚人」でも同様に、24人の刺青囚人についての展示がテンポよく続く。選りすぐりのイラストを眺め、エキセントリックなキャラクターたちにニヤニヤしよう。この展示空間全体が網走監獄をイメージしているそうで、見上げると天井から潜入を試みる主人公ら3人のパネルがぶら下がっているのが可愛い。

ツボを心得た文化パート

展示風景 (C)野田サトル/集英社

続いての第3ゾーン「命を繋ぐものたち」では、アイヌをはじめ様々な衣食住や文化的な面にスポットを当てる。おべんきょう色強めのパートかと思いきや、豊富な資料&物語とリンクさせた丁寧な解説で、個人的にはとても面白いパートだった。

展示風景 (C)野田サトル/集英社

ガラス玉の装身具や制裁用の棒「ストゥ」、寝つきの悪い子どもを脅かすための「キサラリ」など、作中に登場した民具のモデルになったものやそれに近い資料が展示されている。解説パネルではそれぞれの使い方や歴史など、さらに一歩踏み込んだ内容が書かれていて、どんどん知識が深まっていくのが心地いい。

なお、展示されている資料はほとんどが作者の野田氏の所蔵品。手元の全てを展示すると多すぎるので、この量でもだいぶ厳選しているのだそう。しみじみと、『ゴールデンカムイ』は入念なリサーチと考証に基づいて描かれた作品なのだと実感する。

出たっ、チタタ(プ)! (C)野田サトル/集英社

冒険の道中で動物を狩るたびに登場する、生肉・生魚のタタキ料理「チタタ(プ)」。これを食品サンプルで丁寧に再現してくれたところに、企画陣の愛情を感じる。こちらはカラフトマス(樺太鱒)のチタタ(プ)だそうだが、立体で見ると想像以上のインパクト……。手前にはおやつとしてしゃぶるという目玉がコロッと並んでいる。初めて食べる杉元が何ともいえない顔になっていたのも納得かもしれない。野田氏の解説によると「チタタ(プ)、チタタ(プ)」と言いながら肉を叩くのは、実は伝統ではなくアシ(リ)パ独自のお作法とのこと。

ここでは、アシ(リ)パたち「北海道アイヌ」の文化だけにとどまらず、作中に登場した「樺太アイヌ」「ウイルタ」「ニヴフ」といった他民族のカルチャーについてももれなく紹介されている。もちろん、樺太編で登場したロシアの文化も……。そう、アレである。

はい、ズドーン! (C)野田サトル/集英社

『ゴールデンカムイ』でロシアといえば、バーニャ(ロシア式蒸し風呂)! みなさんお好きでしょう、と言わんばかりにこのイラストを壁一面の大きさに引き伸ばして展示しているところがニクい。さっきまで戦っていたはずの屈強な男たちが、寒さを凌ぐためにバーニャに飛び込んでなぜかキメ顔……というシーンである。改めて見ても、唐突な筋肉グラビアっぷりに笑ってしまう。

見開きの力にぶち抜かれる

展示風景 (C)野田サトル/集英社

続いては第4ゾーン「それぞれの役目」。物語の大きな節目である網走・樺太・札幌での3つの戦いを、時系列順に並べられたイラストで追体験するゾーンだ。中央には作中に登場したもののモデルになった、金塊をめぐって攻防を繰り広げる杉元・土方・鶴見中尉ら各人の武器の資料が展示されている。

展示風景 (C)野田サトル/集英社

樺太編での、相棒同士が再会する感動シーンのイラストも。スマホの画面では収まりきらない、見開きの大コマ本来のインパクトに胸が熱くなる。隣には野田氏のコメントが添えられており、オチから逆算して考えたというこのシーンの創作背景が伺えて面白い。

三十年式小銃 (C)野田サトル/集英社

こちらは杉元の三十年式小銃の資料。よく見ると、中央に「三十年式」の文字が刻まれているのがわかる。

厳選カラーイラストに、シャッターが止まらない

展示風景 (C)野田サトル/集英社

第5ゾーンは「黄金色名画廊」と銘打たれている。厳選された50点以上のカラーイラストが壁一面を鮮やかに彩る、眼福コーナーだ! こちらは撮影OKなので、お気に入りのイラストと写真を撮ることも可能。

展示風景 (C)野田サトル/集英社

カラーになるとさらに映える、アシ(リ)パの青い瞳。単行本2巻表紙の素敵なイラストにシャッターを切ったら、図らずも隣にふんどし姿の谷垣一等卒のグラビアが……。隙あらば筋肉をさし挟んでくるこのノリ、好きです。

そしてこの後には、第6ゾーン「そして未来へ」が続く。物語終盤の内容に触れるため、こちらは現地へ足を運んでのお楽しみだ。本展のための描きおろしイラストも複数展示されており、とてもホクホクした気持ちで会場を後にすることができた。アイヌの言葉で言うならば、心の中で「ヒンナ(感謝を表す言葉)」が止まらない展覧会である。

笑ったら負け(笑)!

さて、会場併設の公式ショップでは、本展を記念して制作されたオリジナルグッズが90点以上も販売されている。ストーリーやキャラ特性にちなんだクスッと笑えるアイテムばかりで、ここにも製作陣の愛情が滲んでいる。

※商品画像は最終サンプルを撮影しております。

オリジナルグッズ(一部) (C)野田サトル/集英社

最強に可愛いアシ(リ)パの名シーンをプリントした「コミック皿〜杉本のオソマじゃなきゃ嫌だッ‼︎〜」(税込2200円) (C)野田サトル/集英社

ちなみに会期中『ゴールデンカムイ』に登場する北の大地の動物たちのパネルが、東京ドームシティのあちこちに隠し展示されているという。展覧会鑑賞後にはまわりを歩きまわって、ちょっとした狩り気分を味わってみるのもおすすめだ。筆者も周辺をウロウロしてエゾシカを1頭仕留めた。

『ゴールデンカムイ展』は、6月26日(日)まで東京ドームシティ Gallery AaMoにて開催され、その後は京都、福岡など全国巡回も決定している。連載最終回、実写映画化決定、秋にはアニメ第4期……と否応なしに高まった『ゴールデンカムイ』熱をがっちり受け止め、愛をもって打ち返してくれる展覧会だ。ぜひ、高めのテンションでお出かけを!

​​文・写真=小杉美香

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