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抹茶ブーム逆風で“お茶王国”にも異変 製茶業者の倒産・廃業が過去最多ペース

Shizuoka

■1~7月の製茶業者倒産11件 すでに昨年1年間を上回る

抹茶ブームが逆風となっている。製茶業者の倒産・廃業が過去最多ペースで推移している。“お茶どころ”静岡県でも異変が起きている。

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抹茶ラテや抹茶スイーツなどの人気に支えられ、国内外で高まる“抹茶ブーム”。その一方で、静岡県を含む製茶業界で深刻な経営難が広がっている。

民間の調査会社・帝国データバンクによると、今年1月から7月までに倒産・休廃業・解散した製茶業者の件数は全国で11件に上り、3年連続の増加となった。すでに昨年1年間の件数を上回り、通年で過去最多を更新する見通しだ。

背景には、世界的な抹茶ブームによる茶葉価格の急騰がある。特に、飲料やスイーツに使用される碾茶(てんちゃ、抹茶の原料)に注目が集まり、大手メーカーの大量買い付けが続いている。

こうした動きが煎茶やほうじ茶など従来製品向けの茶葉価格にも波及し、中小の製茶業者にとっては仕入コストの高騰が経営を圧迫している。電気・燃料費の高止まりも重なり、採算割れに陥る企業が増加している。

収益の二極化が進む製茶業者

■静岡県内の製茶業者も破産手続き 収益力の二極化加速

さらに、若年層を中心とした日本茶離れ、仏事・葬儀での需要低迷など、従来の販路が縮小していることも業績悪化に拍車をかける。2024年度の製茶業界では「増益」企業が51.2%と過去20年で最高だった一方、「減益」「赤字」など業績悪化に陥った企業も4割を超え、収益力の“二極化”が顕著になっている。

静岡県内では、すでに複数の製茶業者が破産手続きに入っている。島田市の「丸栄製茶」や「お茶のあおしま」などが2023年以降に破綻しており、2025年に入ってからも業界の厳しい現実は変わっていない。生産現場では高齢化や担い手不足も深刻。近年は鹿児島県に荒茶の生産量1位の座を明け渡すなど、静岡県が長年守ってきた「お茶王国」の地位にも陰りが見える。

ただ、抹茶ブームを好機と捉え、碾茶生産にシフトするなどして業績を伸ばす企業もある。地元自治体や農協ではブランド化や海外輸出に活路を見出す動きもあるが、ブームの持続性は未知数であり、商品開発力や加工技術に乏しい業者は今後さらに淘汰が進む可能性がある。

お茶どころ・静岡の危機は、単なる地域経済の問題にとどまらない。気候や地理、文化に根差した伝統産業が時代の波にどう立ち向かうのか。今、静岡の製茶業界は転換期を迎えている。

(SHIZUOKA Life編集部)

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