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本気でぶつかりあってきたからこその感動がある。ミュージカル『RENT』ゲネプロレポート〜平間壮一、甲斐翔真、遥海らver.

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ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ミュージカル『RENT』が2020年11月2日(月)から日比谷シアタークリエで開幕した。1996年の初演以来ブロードウェイで12年4ヶ月のロングラン、世界15か国で各国版の上演、2006年には映画化もされた本作。日本では1998年に初演された後も、繰り返し再演され、今回は多くのキャストを一新して約3年ぶりの上演となる。11月1日(日)に行われたゲネプロ(総通し舞台稽古)の様子を写真と共にお伝えする。

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

まず、改めて『RENT』について。1830年ごろのパリの下町を題材にしたオペラ『ラ・ボエーム』をベースに20世紀末のニューヨーク、イーストヴィレッジに舞台を置き換え、当時の若者の生き方や世相を描いた作品。そこに描かれている若者は、若き芸術家や音楽家たち。貧困やエイズ、ドラッグ、同性愛といった生々しい問題に直面しつつ、愛や友情を信じて、夢に向かって輝き続けようとする若者たちの姿が、バラエティ豊かな楽曲によって魅力的に描かれている。

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

作詞・作曲・脚本を担当したジョナサン・ラーソンは、1996年1月プレビュー公演の前日に35歳の若さで亡くなるが、1月26日にオフ・ブロードウェイのニューヨーク・シアター・ワークショップで初演。たった3ヶ月でブロードウェイのネダーランダー劇場に進出、そして、ピューリッツァー賞ドラマ部門をはじめ、トニー賞ミュージカル部門作品賞、脚本賞、作曲賞、助演男優賞の4部門を獲得する。

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ジョナサン・ラーソンはブロードウェイでの成功を夢見て、ニューヨークで暮らし、日々のレストランのアルバイトをして食いつないでいた。友人をエイズで亡くすなど、自身の経験を通して7年という時間と魂をかけて作り上げたミュージカルだった。彼自身はその成功を目の当たりにはできなかったが、彼の遺志を継ぎ、今も世界中で上演されている。

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

「未来もない。過去もない。今日という日を精一杯愛し、生きていく」。いまのコロナ禍や分断された社会の状況から鑑みても、そのメッセージは初演から20年以上経った今も色あせることはない。
 
メッセージ性の強さに加え、やはり『RENT』が熱狂的に支持される理由の一つは楽曲の良さだろう。2幕冒頭でキャストが舞台上に一列に並んで歌う「Seasons of Love」をはじめ、R&B、ロック、タンゴまで、幅広いジャンルの名曲がそろっている。脚本のみならず、作詞と音楽も手掛けたジョナサン・ラーソンの才能を感じてほしい。

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

さて、今回の『RENT』。筆者が見たゲネプロのキャストは以下の通りだ。
 
☆マーク:平間壮一
☆ロジャー:甲斐翔真
☆ミミ:遥海
☆コリンズ:加藤潤一
☆エンジェル:RIOSKE(COLOR CREATION)
☆モーリーン:鈴木瑛美子
★ジョアンヌ:宮本美季
☆ベニー:吉田広大
(☆はWキャスト、★はシングルキャスト)

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

まず、平間壮一のマーク。往年の『RENT』ファンならば「あのエンジェルがマークに......!」という驚きと感慨深さを感じるキャスティングだっただろう。筆者も、とにかく踊って可愛くて優しいあの平間エンジェルが非常に印象に残っていたので、観劇前まではどんなマーク像になるのか、正直予想がつかなかった。
 
実際にみて見ると、いい意味で「普通」で「地味」で「どこまでも第三者」なマークだった。これはそう簡単にできることではない。この『RENT』はいろいろな登場人物のストーリーが群像劇的に折り込まれているが、中でもマークはそれをずっと映像に撮っている。人生を主体的に動かしているようでそれほど動かしてこなかった、ある意味一番観客に近い、「普通の」存在。演出の妙もあるのだろうが、平間マークは、自身の役割を理解し、とても軽やか。感情を出すときとは出すけれど、存在感を消すときは消す。その差し引きがうまく、この作品の世界観に完璧に溶け込んでいた。終盤で歌われる「Halloween」の曲がこれほど染みたマークが他にいただろうか。これまでのどの日本人キャスト版のマークとも違う、平間が作ったマークそのものだったと思う。 

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

続いて甲斐翔真のロジャー。2020年の『デスノート THE MUSICAL』で夜神月役として華々しくミュージカルデビューを果たした甲斐。185センチという身長で、端正な顔立ち。しかも、アンニュイな色気と男らしさを持ち合わせているのは、ずるい。しかもしかも、歌も芝居もパワーがあっていい。元カノの死を引きずりながら、目の前に現れたミミに惹かれていくロジャーの葛藤と愛と苛立ちと優しさと。ロジャーのいろいろな感情を見せてくれた好演だった。

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

遥海のミミ。日本人の父と、フィリピン人の母を持つシンガーソングライターで、今回がミュージカル初挑戦。伸びやかでソウルフルな歌声はもちろん期待通りなのだが、芝居もよかった。HIVポジティブでヘロイン中毒のSMダンサーという設定のミミだが、遥海ミミは「Out Tonight」のハイな感じと「Without You」のか弱い感じをうまく共存させて表現していたと思う。

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

安定の宮本美季のジョアンヌ、加藤潤一のコリンズ、初キャストの鈴木瑛美子(モーリーン)、吉田広大(ベニー)も健闘していた。
 
初日を前にした囲み取材で、ロジャー役の甲斐が言っていたが、日本版リステージのアンディ・セニョールJr.はリモート稽古のなかで「君たちの潜在能力の限界を突破したい。そこに僕は興味があるんだ。それはとても苦しくて気持ち悪い作業だから覚悟しておいてね。でも、その代わりにその先にあるものはとても素晴らしいものだから、楽しみにしていくれ」と語っていたという。
 
つまり、それぞれの配役はあるけれど、それ以上に役者としての、人間としての生き様や思いや悩みや感情が垣間見える演出になっているわけだ。本気でぶつかりあって生まれてきたからこその感動がここにはある。ぜひ劇場で体感してほしい。

ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子

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取材・文・撮影=五月女菜穂

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